つくづく思うが、この仕事はやはりアイデア勝負だ。独創的で、分かりやすく、かつ生徒にマッチした説明をいくつ持っているか。これに尽きる。
企業秘密なのでバラせないが、僕にも『勝負所用』のネタがいくつかある。落とせない体験授業や、初回授業などで、それらを使っている。
だが、5年近くのキャリアを経ているのに、片手の指の数よりもそれは少ない。アイデアは本当に玉石混交だ。
そんな難しいアイデアを、少しでも多く、速く閃くにはどうするか?
そんな同じ悩みを持つ方に向けて、手前みそだが、僕が『アイデア』を出したい時に採っている行動を、ここでシェアしたいと思う。
①散歩
なるべく自然の多いところ(川とか木とか)を20分程度歩く。たったそれだけで、色んなアイデアが出てくるから面白い。
研究でもはっきりと示されたデータが出ており、アイデアが欲しいならまずこれをどうぞ、と言えるくらい優れた手段である。
個人的な体感だが、歩き始めて10分くらいしてから、自分が考えたいテーマを頭に浮かべると、色んなアイデアが浮かぶような感覚がある。
今現在僕が使っている教え方も、6割くらいは散歩中に閃いたことが基になっている。この効果は侮れない。
まずいの一番に提唱したいのは、絶対にコレである。
②他者の行動をパクる。
すごく節操がない感じに聞こえるが、基本他人のマネをするのは色々とメリットが多い。
完成形"だけ"を再現するなら、マネがやはり一番の近道だ。(ただ、ここを極めても、せいぜい物まね上手で終わるのだが)
だが、他人の教え方を『参考』に、様々な創意工夫をすれば、段々とそれは『自分のオリジナル』へと形を変えていく。
乱暴に例を挙げれば、大手チェーン店の料理をベースに、自分や家族好みの味付けへと変えていく感じに似ている。
この教え方は、自分の生徒にマッチするか?ここで放り込む小ネタは、自分のキャラに合っているか?
こういった問答を経ながら他者のマネをするのは、別に後ろめたいことでも何でもない。むしろ、変な我流に凝り固まる方がどうかと思う。
意外と独創とは模倣の先にあるものだ。参考書、授業動画、なんでもいい。思いっきりパクってみよう。
③徹底的に考えて、思いっきりリラックスする。
数学界の超難問、『フェルマーの最終定理』を証明したアンドリュー・ワイルズ氏も言っていた方法である。
まず、自分が解決したい問題について、ざっくり25分程度をタイマーにセットし、徹底的に取り組む。
ルーズリーフにアイデアを殴り書きしてもいいし、色んな資料を漁っても良い。とにかくそれをテーマに、徹底して考え抜くのだ。
するとやはりというか、大抵はすぐに煮詰まり、どうにもアイデアが展開しなくなる。
そのタイミングで、あえて思いっきりリラックスする時間を挟むのだ。この時間のコツは、『そのテーマを綺麗に忘れる』ことである。
コーヒーを飲みつつ、その味に意識を向けるのでもいいし、何ならお風呂に浸かっても良い。
すると、そのリラックス中に、突如最高の解決策や打開策が、頭の中に飛び出してくることがあるのだ。
しかもこれ、結構多い。
詳しいメカニズムを語ると凄く長くなるが、実は脳は、その対象に意識を向けていない間も、そのことについて無意識下で処理を続けているらしいのだ。
だから寝ている間に夢を見るし、思い出せなかったテストの語句を、後になって閃いたりするのだと言える。
その『閃き』を得るためには、徹底して考える時間を取ることが大切。これは長すぎても短すぎても、良くないらしい。
僕はとりあえず、25分程度の没頭が丁度いいと感じている。試してみたい人は、参考にしてみてほしい。
補足。
気を付けてほしいのだが、アイデアは基本、着想した時点からブラッシュアップしないと、本当の意味での使い物にはならない。
僕の場合は、一度裏紙に板書として書き出してみて、それをチェックしている。大体は使えるが、やはり時々、没にすることもある。
更にそのアイデアを実際に使ってみて、反応を確認、さらにまた改善・・といったプロセスを経て、やっとそれは『自分の武器』になる。
そう感じて仕方がない。
アイデア至上主義だと、閃いた時点で満足している人が時たまいる。
しかし最後の最後は、こういう泥臭い部分も必要なんだということは、ここで念押ししておく。
それでは文字数も長くなってきたので、今日はこの辺で。