将来のことを話す場面というものは、あまり数こそ多くないものの、こちらにとっては突然現れる勝負所だ。
『何のために勉強するの?』『将来したいことなんてないんだけど!』『夢って要るの?』等々。
これらの質問にたじろぐと、こちらの信頼は権威を著しく損ねてしまう。自分のことは棚に上げてでも、これの答えは用意しておいた方が良さげである。
さてさて。
僕はまだ20代で独身なので、人生について偉そうなことを言えたわけではないが・・。
この手の相談について、僕は2パターンの答え方があると思っている。しかも、決して根性論とかそういう返しではない。(僕自身そういうのがアレルギー)
人によっては『何言ってんだコイツ』と思われるかもしれない。だが、それでこそシェアする価値があるという話。
では、以下僕なりの返答2パターンである。
①夢がハッキリしているなら→具体的な方法を共に考え、支援する。
僕自身は全くそうじゃなかったので驚きなのだが、小学生の内から京都大学を目指すとか、中学生の頃から獣医を志すとか、そういう生徒が割といる。
こういう場合は、彼ら彼女らなりの方向が定まっているので、それを後押しするのが大切。否定的な言葉は論外だ。
後押しといっても、何をすればいいのかはアバウトだ。では例えば、『未来のゴールから逆算してみる』というのはどうだろう。
将来の夢について、その理由からスタートし、必要な情報を調べ、では高校はここにしよう、中学の時点でこの点を取ろう・・と現在におろしていく。
このプロセスを生徒自身が考えられるように、適切な質問をポンポンとこちらから与えていく。いわばコーチングと言える。
その上で必要な情報が見えてくれば、探し方などを教えていけばOKだし、場合によってはすぐに用意して渡しても良い。
―と、こんな風に、未来がカッチリしている生徒は下手に干渉しないのがミソだ。
夢を語るのは、意識しづらいが結構な勇気がいる。それを否定されると、悲しさや怒りを覚えてしまう。僕自身もそうだった。
勿論愚連隊のリーダーとか、ヤクザとかそういう反社会的な行動は防ぐべきだが、それ以外の夢は寛容に認めるくらいで良いのではなかろうか。
尚、将来の夢の形成には、親の意向が大きく働くケースも多い。(跡継ぎだとか、立派な仕事以外認めないとか)
生徒と親の意見が合致しているならさておき、それが衝突しているならどう振る舞うか。
その板挟みを真正面から受け止めるか、それともドライに仕事だと割り切るかは、場合によりけりなのであまり言わない。
ちなみに僕は、『双方の想い』を聞き、必要に応じて伝えたり伝えなかったり、というニュートラルなスタンスを取っている。
下手に関わったがばかりに、精神を病まないように気を付けていただきたし。
②夢がアバウトなら→『スキルを得るスキル』や『ハマること』の大切さを説く。
将来の夢がカッチリ決まっている生徒は、僕の体感だと『超少数派』だ。大抵は、今を楽しんで生きているケースである。
ちなみに僕もまさにコチラであり、そもそも今の仕事を志したのは大学を出てからだし、ここまで続けている未来も全く描けてなかった。
さてさて。こんな生徒は、『将来のことを考えろ!』というと、強い反発を示してくることが多い。まぁ、当然である。
僕自身、実のところ『将来の夢は必須』という風潮が全然腑に落ちていない。享楽主義で何が悪いのだろうか。
そんな人間なので、こういうタイプの生徒からの相談には、つい熱が入ってしまう。その際伝えるポイントは3つ。
まず、『別に夢は無くても死にはしない』という点だ。
現在、AIの台頭だの何だので、色んな仕事が消えると言われている。だが逆に、今後どんな仕事で飯が食えるか、誰にもわからない状態でもある。
そんな中、夢を抱けと言われても、正直キツい。夢を抱けないことを気に病んで、メンタルを病む方が考え物だ。
だからまず、この辺の価値観は伝えるようにしている。
ただ、それを盾に勉強をサボられても困る。なので次に、『とりあえず今ハマっているものを大切にしろ』と絶対伝える。
自分がハマれるものを突き詰めた結果、成功を収めている例では、この方の生活が究極だと思う。
色んな社長とか起業家の著書を読むのだが、押しなべて『没頭』を成功のキーワードに挙げているほどだ。
夢が無くても死にはしないが、『今ハマっているものとその感覚は大事にしろ』というのは、かなり胸に刺さるメッセージだと思う。
その上で仕上げとして話すのは、『スキルを得るスキルを学ぶには、とりあえず勉強が良い』ということだ。
今は、どんなビジネスを始めるにせよ、初期投資は圧倒的に低くできる。カメラはスマホで良いし、サイトは無料で作れる。
―だからこそ今は、『アイデア勝負』の時代になってきている。または、その時々に必要なスキルを、いかに早く身に着けるかの勝負だ。
となれば、テキストに書いてある情報を吸収するとか、知識を組み合わせて問題を解くといった訓練が必須になる。
では一番身近なそのトレーニングは?と言われれば、それが学校でやっている『勉強』という落としどころになるワケで。
この理屈で話をたまにするのだが、何人かはキラキラと目を輝かせるので面白い。今の5~60代の人が聞いたら、とても怒りそうなロジックではあるが・・
ということで足掛け2000字、結構重いテーマについて、軽い感じで書いてみた。
そういう話をする場面は、最初に述べた通り少ないが、ほぼ必ずやってくる。準備は今の内からしとく方が良いと思う。
それでは今日はこの辺で。