精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

『社会』ってぶっちゃけどこまで教えるか?-僕はこうしてマス、というエントリ。

生徒からよく言われるのが、『学校の社会の授業への要望』である。素晴らしい授業もきっとあるに違いないが、リクエストとして多いのは主に2つ。

 

①どうでもいい情報が多すぎて進まない!

 

②全然語句の説明が無くて意味が分からない!

 

とまぁ、こんな感じ。教えていて思うのだが、社会の授業はこれら2つのバランスを取るのが本当に難しい

 

僕自身、模擬授業で怒られ、生徒に不満を言われ、予習し、実践し、最近ようやく、自分なりのテンプレができたかな・・という段階である。

 

ということで備忘録として、僕なりの指針をここに残しておこうと思う。

 

 

 

歴史編

 

①各時代を象徴するキーワードに絞り、知識を繋げつつ説明する!

f:id:pochihiko_inunosuke:20191030201355p:plain

 

歴史を学ぶ際に一番大切なのは、雑多な語句をなるべくリンクさせ、あらゆる観点からそれをアウトプットできるようにしておくことだと思う。

 

何かを思い出す際にはヒントがたくさんあった方が良い。そのヒントは、知識のつながりで作るようにしたい。

 

例えば、『聖徳太子』という名前だけの登場に留めると勿体ない。どうせなら、以下のキーワードをどんどん足していこう。

 

推古天皇の摂政』『遣隋使を始めた』『仏教容認派』『蘇我馬子と協力して政治』『天皇中心の政治を目指した』

 

等々。これらを更に膨らましていくと、本当に一本の線として、歴史を説明し続けることができる。(これこそがいわゆる『流れ』)

 

教科書を見るだけではこのつながりは見えてきづらい。社会は特に、予習が要だ。

 

ネットなり参考書なり、あらゆる情報源を参照して、この『隠れた繋がり』を探し出すようにしよう。

 

②過去に出てきた語句を度々再登場させ、知識を結び付ける!

f:id:pochihiko_inunosuke:20191024152235p:plain

 

とはいえ、一度の説明で語句を暗記させるのは無理ゲーだ。

 

だから僕は、時々時代を大きく飛躍させてまでも、大事なフレーズを確認するようにしている。

 

例えば、以下のやり取りみたいな感じ。

 

僕『ってことで1603年、徳川家康が江戸に開いたのって何だった?』

 

生徒『江戸幕府

 

僕『だよね、これはいけるよね。じゃあ、幕府を開くためには、どういう官職に就かないといけなかった?』

 

生徒『え?征夷大将軍だっけ?』

 

僕『当たり!やるじゃん。じゃあついでに、平安時代に任命された、有名な征夷大将軍って誰だったっけ?』

 

―という感じ。実際は生徒の学力等の様子を見つつ、ヒントを適宜出している。

 

こうやって『知識を想い出し』、『繋がりに気づく』というプロセスを強く意識し始めてから、社会の授業の反応が良くなったと感じている。

 

手前味噌だが、やはりここはある程度の知識と興味が無いと難しい。僕もまだまだなところはあるはずなので、気を緩めずに精進したい。

 

トリビアな話はスパイス程度に。決してメインには据えないこと。

f:id:pochihiko_inunosuke:20191025185606p:plain

 

『社会の授業が面白い』≒『雑談ネタが面白い』

 

という考えは要注意。確かに、歴史に興味を持たせるという意味では、枝葉末節に当たる話も大切だとは思う。

 

しかし、それはきちんと自覚しておかないとダメだ。ウケるからとそれに終始していては、一番大切な『幹』を教える時間が消える

 

これは僕も昔やらかしたミスだ。その時期のことを思い出すと、生徒への申し訳なさなどでいっぱいになる。

 

さて。どうすれば、その辺りを自覚しつつ、ネタ的な話を盛り込めるのか?

 

それは、『幹』に当たる知識に関連しているかどうか、で考えたら良いと思う。つまり、話の流れに自然と溶け込めるかどうか、だ。

 

例えば、『蝦夷征討の頃』と『もののけ姫』は時代がほぼ同じという話は、本筋とちょっと絡んでいるのでセーフな気がする。

 

ただ、同じ頃の話でも、『坂上田村麻呂の背中から胸板までは、40㎝くらいあった!』という話は、その後の展開が皆無なのでアウトだろう。

 

慣れてくるまで押引きは難しいが、意識の片隅に置いておいてほしいテーマではある。

 

―では、歴史はこの辺にして、次は地理の話をつらつらと。

 

地理編

 

①国や場所のイメージを再確認し、語句を結び付けていく。

f:id:pochihiko_inunosuke:20191102194826p:plain

 

序盤で特に難儀するのが、『気候区分』を始めとする『世界地理』であり、ここで詰んだままだと、『日本地理』で王手される。

 

ここは、『歴史』よりさらに言葉と言葉のつながりが見えないため、口頭やホワイトボードの説明がとても難しくなってくる

 

―となると活躍するのが、『その国について生徒が持っているイメージ』である。

 

乱暴に言えば、『ピラミッドや砂漠があるエジプトって、暑い?寒い?』と言われれば、知ってさえいればまず間違いなく『暑い』と言うはず。

f:id:pochihiko_inunosuke:20191102195024p:plain

 

そのあとで、『ぶっちゃけ雨って降ると思う?』と聞けば、『砂漠』というフレーズが利いているため、大体は『降らない』と答えるハズ。

 

そこまで下ごしらえしてから、『乾燥帯』とか『赤道』の説明をした方が、僕はスムーズに授業が進むと感じている。

 

もともと生徒が持っている知識を利用する。『地理』の授業のクオリティを高めるには、ここが鍵なのでは?と現時点では感じている。

②産業などは、『そりゃそうだな』と思わせれば勝ち。

f:id:pochihiko_inunosuke:20191102195147p:plain

 

ひっくるめて『地域の特色』とまとめることもあるが、『産業』とかその辺は、そこでそれが発達するだけの理由があるワケで。

 

一番わかりやすいのは、『東北で伝統工芸が盛んな理由』だと思う。

 

ちなみに模範解答は、『冬に積雪が多く農業が困難になるため、その際の副業として始まった伝統工芸が受け継がれているから』とかそんな。

 

へぇー、とか思う前に、僕は正直、『そりゃそうだな』と思った。そして同時に、この知識がストンと腑に落ちたというワケで。

 

工場が海沿いに多いのも、瀬戸内の降水量が少ないのも、ぶっちゃけ『そりゃそうだな』という理由によるものだ。

 

ここを授業に盛り込むと、チマチマした語呂合わせとか、余分な説明が不要になるのでスッキリする。

 

共通編

 

①ゴチャゴチャしすぎない程度に『図』を見せよう。

 

 百聞は一見に如かずというが、あれはガチだと思う。

 

例えば扇状地『三角州』について、言葉でウダウダ言われるよりも、写真を見せられた方が理解は早いし深い。

 

扇状地

f:id:pochihiko_inunosuke:20191102195826p:plain

https://geography-trip.com/alluvial-plain/

 

三角州↓

http://explorer.road.jp/aerialview/20091229hnd-itm/karasu.jpg

http://explorer.road.jp/aerialview/karasu.html

 

という具合。歴史も、写真の無い人物の名前だけうじゃうじゃ出されたら、聴いてる方はぶっちゃけ混乱する。

 

想像図でもいいので、画像を登場させるなどの工夫はした方が吉。(僕はたまに、各時代の登場人物の写真をまとめたプリントを配っている)

 

終わりに。

 

ということで、主観たっぷりの内容で約3000字にわたり、アレコレと書いてきた。

 

これについて色々と思われることはあるだろうが、まぁこれは一個人の意見で、ということでお願いします。

 

あ、そうそう。最後に、僕が思う『歴史の説明の参考図書』を載せておく。

現役受験生の時も使っていたが、最近近現代を復習しなおしたくなり、再購入した一冊。改訂されているとは知らなかった。

 

講師になった今読むと、これくらいシンプルに、でも必要な流れと理由を説明できればなぁ、と思わされる。

 

ヒントの多い、優れた一冊である。

 

―それでは、今日はこの辺で。