大手予備校の先生紹介を見ていると、超絶すごいことがたくさん書いてあり、とりあえず意味もなく感心する。
『授業を行うクラスは常に満員!』『受験生から絶大な人気を集める!』『超実力派講師!』などなど。
たまにそういった先生の授業を参考のために見るのだが、レベルが高すぎて参考にしづらいというジレンマがある。
やはり、プロの中のプロは違うなあと、そしてこれからもっと勉強しようと、強く思わされる。
―ということを書きたくて、わざわざ記事にしたのではない。
常々思うのだが、『わかりやすい授業』と成績向上には、どれくらいの相関関係があるのだろうか。
勿論、ワケの分からない説明をする講師に教わると成績は下がるだろうが、ある程度のレベルから先になると、その辺はどうなのか疑問に思う。
今日なそんなねじくれた視点から、このテーマについて考えてみたので、そのまとめを書き散らしてみる。
僕が説明一辺倒に懐疑的な理由。
それは主に2つある。1つは、『ラーニングピラミッド』を知ったためで、もう1つは『ファインマン効果』の存在を知ったから、である。
順に述べていく。
ラーニングピラミッドとは、以前記事にしたこともあるが、『学習定着率の高さ』を視覚化したものである。
https://fumakilla.jp/foryourlife/140/
そうすると、『講義』の内容は、聴講者の記憶に5%しか残らないという残酷な事実が分かる。
アクティブラーニングな要素を挟まない限り、この数値は劇的に変わることはないであろう。これがまず根拠の1つ。
そしてもう一個の『ファインマン効果』について。これもまた、かつて記事にしたことがある。
簡単に言えば、『わかりやす過ぎる説明をしても、聴講者の記憶には残らない!』という現象である。
ファインマン氏の講義があまりにも素晴らしいがために、全てを理解した気になってしまい、その後の復習等を怠ったのが原因では?と言われる。
―つまるところ、『どれだけ説明を極めても、それで聴講者の能力を高めるには、エビデンスのある限界がある!』と言えてしまうのだ。
だが、成績をアップさせまくる講師というのは現実に存在しているワケで。うーん、一体何が違うのだろう?
ということで、一旦筆を置き、プロの講義ないし講演をじっくりと観てみることにした。
すると、説明の上手さ以外に色々と気付いたことが出てきた。やはり、プロはプロゆえの理由があったというか。
一体それらは何なのか、以下にまとめておく。
プロの授業は何が違う?
まず前提として、話の出だしがとても工夫されているというのが挙げられる。
ある先生は、『俺の説明を聞けば一発でわかる!』と言い切り、また別の先生は、成績がバカ伸びした生徒の実例を挙げていた。
『マジかよ!』という感情、もとい好奇心を掻き立てるような導入に、ほぼもれなくなっていたのだ。
確かに、『どうしてだ?』と興味をもって聞いた話は、未だに覚えている。『スゲェ!』と思った説明も、まだはっきり思い出せる。
導入こそ、もしかしたら一番手をかけて考えねばならない部分なのかもしれない。
―では、メインとなる説明について。抽象的だが、とにかく『分からせよう』という熱意を感じる。
例え話を盛り込む。自分で実演してみる。入試問題を引用する。
方法は様々だが、ありとあらゆる手を使い、説明を噛み砕いているのが伝わってくる。(実際、無茶苦茶わかりやすい)
だが、その説明一辺倒で授業を組み立てているワケではない。
合間合間に笑い話を放り込む。ちょっとふざけた例文を使う。歴史や物語に込められたトリビアを言う。
そういった風に、息抜きもキッチリ、開始25分~45分というコチラの集中が切れるタイミングで挟んでいるのだ。
う~ん、計算されつくされている・・・。
そして、授業の〆はどうするか。ここから先は人によりけりだが、大体は『応用問題』へと進む。
そして、『今日の説明通りに理解しておけば、入試問題だってイケるぜ!』みたいな、バチっとした〆で授業が終わる。
一貫した綺麗な流れ。やはりプロの授業は違う。心の底からそう思わされた。
しかも巧みなのは、『聴講者が自学をしたくなるような声掛け』もふんだんに入れている点だ。
『この説明で問題集を毎日やれば、成績はあるとき急激に跳ね上がる。』
『今の成績は関係ない。やり方を変えれば、入試までに君の成績は劇的に変わる!』
といった、成長マインドセットの話がすごく多いのだ。要は、『やればできるんだ、よし、やろう』と、心に火をつけるのがとても上手い。
宿題と言う形で強制的にさせるのも一手だが、宿題の効果が微妙とされる今、すすんで自学をしたくなるような声掛けが大切だと改めて思わされた。
僕らができそうな声掛けは何だろう。
では、そういったプロの技の内、今すぐ僕らが出来そうなことはなんだろうか。
とりあえず、僕は次のポイントを意識するつもりである。
1 好奇心を抱けるような『導入』を考える。実演する?入試問題を出す?等々。
2 説明1ブロックは、25~45分以内に収める。
3 途中途中で、やる気を復活させるような声掛けを工夫。
4 自学を『やらせる』ではなく、『したくなる』ようなメッセージを言う。
まぁ、言うは易し、行うは難し。すぐすぐは出来るようにならないだろうけど、この辺に七転八倒するのが結局は地力を高める確実な方法なのだと思う。
まとめ。
ということで、僕のひねくれマインドから始まり、気づけば2000字以上も書いてしまった。
結論は、『説明はもちろん、プロは説明以外の工夫もすさまじかった!』という話。
僕ももっと、授業に使えそうなテクは何でも取り入れるように、もっと貪欲になろうっと。
それでは今日はこの辺で。