僕ら講師が抱く永遠のテーマとして、『難しい概念を、どうやって簡単な言葉で教えるか』というのがある。
僕もまだまだ努力中だし、正直このゴールには永遠にたどり着けそうにない。どこまで近づけるかどうかだと思う。
数学の難問しかり、国語の評論に出てくる意味不明なテーマしかり。大人でも難しいテーマを子供に教えるのは、ガチで至難の業だ。
だがそれを生業にしているのが僕らなので、このテーマから逃げることは不可能。どこまでやっても、『しかし回り込まれてしまう』のである。
ということで今日は、僕が普段心掛けているステップを、別に企業秘密でも何でもないので書き散らしてみようと思う。
何かの参考になればありがたし。では、以下続きである。
①まず自分が理解する。
理解していないことを分からせるのは無理だ。それは無味乾燥な教科書を音読しているのに同じ。
『GDPとGNPの違いは?』『金融恐慌と昭和恐慌の違いは?』『微分するってどういうこと?』
等々、咄嗟に説明しろと言われれば、答えに窮する事柄は案外多い。
ちなみに、自分が分かっているかいないかを掴むのは案外簡単で、『人に説明できるかどうか?』を自分に問えばOKだ。
僕も自分にこういう質問をして初めて、『自分が知らないことに気づけた』ことが数知れずだ。
まずは自分が理解することから始めるべし、である。
②例え話を考える。
『例え話』は、難解なテーマを伝えるのに極めて便利なツールである。(使い方を誤れば本質からズレまくるという弱点もあるけど)
『日本がロシアが戦争をするのは、○○さんと横綱白鵬がタイマン張るみたいなもんだよ』
といった例え話は、一種のスパイスにもなるので、かなりお世話になっている。
一部の人は、『例え話を言いまくると本質が伝わらないよね』と難色を示すが、僕は『例え話を使わなければ導入さえ伝わらない』と考えている。
なるべく生徒たちに身近なテーマで、実際のそれの関係性と同じ例えを考える。ここもまた僕らの腕の見せ所で、常に磨いておかねばならない技術である。
③図やイラストを添える。
百聞は一見に如かずというのは、言い得て妙だと思えて仕方ない。
例えば、『fromは出発点などの物事が始まる場所を表す・・』とだけ口頭で言われても、正直何のことかサッパリ分からない。
では、こういう簡単な図がついていたらどうだろうか。わんわん英会話というサイトが分かりやすかったので引用する。
https://wanwanenglish.com/preposition
もちろん補足説明はマストだが、ただ訳の分からない呪文を唱えられるより、はるかにマシだ。
図示することのパワーは計り知れない。ネットで探せば絵心も不要なので、大いに取り入れてみてはどうだろうか。
―ということで少しだけ挑戦的なタイトルにしてみたが、正直難しいことを難しいまま説明するのは誰にでも出来る。
それくらいシビアに考えておかないと、その内『なんでわからないんだ!』と責任を相手に帰すような考えに落ちかねない。
尚、僕は仮に、自分が心の底からそう考えるようになったら、この仕事を辞める。常に説明が伝わらないことの責任は負わねばならない。
なんか最後はアツい話になってしまったが、『説明』が響かないという悩みがあるならそれくらいシビアに考えることが突破口かもね、という話。
そんなワケで今日はここまでとする。