僕の勤める塾は漢検の準会場に登録しており、本会場に行かずとも受検ができる。
でだ。
その結果がつい先日出たのだが・・・。それを見たとき、目玉が飛び出そうになった。
3級の結果が異様に悪いのだ。受けたのは中3がほとんどなのに、30%くらいしか受かってない。これって・・どうなのだろう?
漢検3級は大体『中学卒業レベル』とされており、『そんなにムズくないっすよ』的な意見がネットでひしめいている。
だがこの結果だ。僕はちょっと慄然とする。一体原因は何だ?どこにある?そういえば去年の同時期も、中3はほぼ落ちていた!
・・・ということで今日は、この『漢検3級』について、出来る限りまとめてみようと思う。
何かしらの突破口が見つかればいいなぁ。では、以下続き。
漢検3級はどんなレベル?
日本漢字能力検定協会が、受検者数と合格者数、そして合格率を発表している。
それによれば、大体去年は45.7%の合格率だったという。ただしこれは全体の話で、例えば中3限定なら何%・・とかはさすがにわからない。
尚、細かい難易度とか合格点は、以下のページを参照すれば一発なので割愛する。
んで、どういった問題が問われるのかだが、今手元に最新の過去問があるため、ザッと並べてみよう。
1 読み仮名を書く
2 同音異義語を選ぶ
3 共通する漢字を選ぶ
4 熟語の構成
5 部首
6 対義語・類義語
7 漢字と送り仮名を答える
8 四字熟語の一部を答える
9 誤字を指摘し訂正する
10 漢字を書く
ーで、合計200点。何というか、漢字の問題フルコースである。ちなみに、140点を超えれば大体合格という。
この級で問われる漢字は、結構形が複雑だったり、意味が似通っていたりと、少々歯ごたえがある印象だ。
対策無しのノー勉ではキツいのではなかろうか。
さてさて。次は、僕が思う『これをしてないから漢検3級で詰んでるんじゃね?』という私見を書いていこうと思う。
漢検3級に求められる力とは?
①漢字の『意味やイメージ』を押さえているか?
基本的に『運用能力』とは、『漢字と漢字の知識のつながりの広さに比例する』と、僕は考えている。
例えば、『卓越』という言葉が読み書きできる生徒と、そこから『卓抜』という類義語や、『平凡』『低劣』という対義語まで思い出せる生徒がいるとする。
この二人には、知識の広さにおいて、雲泥の差が付いているに違いない。
また、ただ何となく『海』『湖』『河』を覚えている生徒と、『さんずい』が付いているから全部水に関する意味だろと察しがつく生徒の差も大きい。
こういう風に、漢字一つを覚える際、例文などで意味を把握する、対義語・類義語も知っておくなどの広いインプットができるかどうかが要だと感じる。
逆に言えば、一問一答見たく『こう聞かれたらこう』という単純暗記をしていると、漢検の突破は厳しいのではと思えて仕方ない。
②反復練習の圧倒的不足。
重めのディスレクシアでない限り、基本漢字の学習は反復によって習得ができる。
つまり、いつまでたっても漢字が書けないのは、単に反復練習が足りてないのが原因だと言えるわけで。
ただ、工夫はあった方が良いと思う。例えば、『讒』という漢字があるが、これを丸暗記するのはかなりしんどい。
だがこれを、『ごんべんにクロ比免点』と教える参考書があり、僕はこれで一発で覚えることができた。
これが使えるのはケースとして稀だが、漢字は大体がパーツの組み合わせで出来ているモノだ。
自分なりの工夫をしつつ、きちんと暗記する努力をしているか?
これが欠けていると、やはり3級の突破は難しい。
③熟語の構成が理解できていない。
『長短』『把握』『乗馬』『市立』等々の二字熟語は、それぞれ『構成』が違う。
説明はめちゃ文字数を要するので、今回は分かりやすいサイトに丸投げするとして。
小5の時くらいに習う単元だが、その短い期間で完全習得できるかと言われれば眉唾物だ。
しかも漢字が難しくなれば尚のことだ。意外とこの構成があやふやだと、問題が解けないのは当然として、漢字の暗記に支障をきたす。
今一度漢検5~6級の問題からトライし、自分が理解できているかは見た方が良いかもしれない。
―ということでここまでは、『原因』だと僕が思っていることを単に愚痴っただけだ。
具体的にどうすれば良いのだろうか。僕自身が考えている手を、これからはまとめていく。
僕が考えるオススメの学習法。
①音読学習
『漢検』の問題を見ていると気付くのだが、実は漢字をひたすら『書いても』、そこまで点を取るという意味では効率的ではないと感じる。
それよりも、『対義語』『類義語』『同音異義語』をパッパと閃く力を鍛えた方が得策だ。
となれば、こういった知識の定着を図るために効果的な方法を使う方がベター。だから僕は、とりあえずの『音読』を推す。
一度解いた過去問の間違えた読み仮名に限定してもいいし、もう全部それにしてもいいのだが、単に書くより心理的ハードルは大きく下がる。
声を出す分記憶の定着率は上がると言われているので、ウォーミングアップとしてもオススメの方法である。
②『何かに似ていないか?』を常に考えて演習。
例えば、『晦』と『悔』という2つの字があるとする。右はなじみがあるから良いとして、左の『晦』は何という音読みだろうか。
実は両方同じで『カイ』だ。
これを、『ふーん』で終わらせるか、『あー、確かに右半分が同じだわ』と共通点を見つけるかは、微差に見えてかなりの大差だ。
『後悔』と『後ろ髪を引かれる』って、なんか『後ろに引っ張られる』って意味じゃ同じだよね、という発見でもいい。
自分なりのルール(チャンクともいう)をたくさん持っていると強い。何より単調な学習の素晴らしいアクセントになる。
常々頭を使って演習を重ねさせたいものである。
尚、他にも『必ず例文ごと暗記しろ!』とか、『類義語は必ず確認!』とか、細かいことを色々と言いたいが、今回は字数が長くなるので割愛する。
余談。
そんなことを愚痴った僕だが、実は漢字検定はどの級も持っていない。高1の時に軽い気持ちで2級を受けて、普通に撃沈したのが唯一の経験だ。
ぶっちゃけこれはちょっとしたコンプレックスである。
うーん、自分が提唱する学習法が正しいことを証明したいし、資格も欲しいし・・。
ということで、来年6月を目途に、準会場で生徒と一緒に受けようと考えている。まぁ、こちらが頑張る姿を見せた方が良い側面もある、というワケで。
最後のは完全にボヤキだが、とりあえず『漢検3級』について言いたいことは言えたので満足である。
では今日はこの辺で。