今の社会を生き抜くのに大事と言われる能力の定義は、びっくりするほど分かりにくい。辞書で引くと、意味不明過ぎて眠くなるくらいだ。
例えば、タイトルに挙げた『語彙力』『読解力』『論理的思考力』の意味、皆様は正確に説明できるだろうか?(僕も怪しい)
こういうチンプンカンプンを生徒に教えるとなると、極めて難しい話である。その年齢層が下がれば、なおさらだ。
だが、これらを一斉に鍛える、手頃な方法があるとすればどうだろう?早速使ってみたくはないだろうか。
ということで今日は、最近ちょっと重いテーマが連続しているので、これをテーマにした軽めの記事を投下しておく。
『語彙力』『読解力』『論理的思考力』を一度に鍛える方法。
それは、『なぞなぞ』である。
これこそ意味不明なので、具体例を基に紹介してみよう。
例えばこのなぞなぞ、皆様は分かるだろうか。
消防隊員がいちばん好きな惑星はなーんだ?
―実はこの命題を考えるプロセスにこそ、上記の能力全てを鍛えるカギがあるのだ。
まず、問題文の意味を正確に理解することからすべてが始まる。無意識に何度も反芻し、『どういうこと?』と問いながら読むはずだ。
それこそが『読解力』強化に効く。文意を掴むには、正確な理解が必要だ。正確な理解には、精読が必須。
言葉にするとめんどくさいが、『なぞなぞ』ではそれが無意識に行われる。
さて。文意を把握してからは、あれこれと推理するモードとなる。そして、『なぞなぞ』が解けるかどうかの要は、実は『語彙力』にあるのだ。
上記の例だと、そのままでは解けないのは明白なので、文意から逸脱しない範囲での『言い換え』が始まる。
消防士→火消し、ファイアファイター・・
惑星→星、火星・・
みたいな。このプロセスを挟むと、『類義語や言葉のカテゴリのネットワーク』が勝手に構築される。少なくとも、その練習が出来る。
さて。ものすごく察しが良かったり、或いはこちらがヒントを出したりした場合は、以下のヒントに行きつく生徒が出てくる。
消防士→電話番号は119
となれば、答えはあと一歩。だが、そこで大切なのが、『論理的思考力』である。
なぜそうなるのか?を筋道立てて説明できて初めて、『なぞなぞ』は『解ける』のだ。
筋道を立てるとは、簡単に言えば、AだからB、BだからC・・を積み重ね、最終的にAだからZみたいな結論を出すことと言える。
今日は曇り→雨が降るかもしれない→雨が降ったら自転車で出かけられない→行った先で降り出したら帰れない→天気予報では大体帰るくらいに雨・・
ってのをつなげて、『今日は曇りで雨が降りそうだから、バスで行こう』という結論を出す感じである。
かんなり雑だが、雰囲気が伝わってくれればいい。
では、話を戻そう。
消防隊員がいちばん好きな惑星はなーんだ?
というのに答えるためには、
消防士を呼ぶ番号は『119』→ひらがなに直すと、『いちいちきゅう』これはつまり、『一位地球』→だから答えは『地球』!
という論証が必要だ。無意識であるだけで、結構頭を使っていることがよくわかる。
そんなワケで、僕はこれに気付いてから、たまーに授業の導入に『なぞなぞ』を取り入れて遊んだり、問題集を校舎に置いたりしている。
学力を伸ばすぞ!という爆発的な効果としてはもちろん弱いが、地道にその能力を鍛えるという意味ではアリかもしれない。
何かの参考になればありがたし。では今日はこの辺で。