『まずは何から勉強させたらいいのか・・』『全然勉強しないんです・・』
という手垢べとべとの相談を何度されたことか。僕自身が勉強しないガキだったので、苦笑するしかない。
入試前の切羽詰まった状況なら、ケツを叩いてでも取り組ませればいいが、もっと根本だったらどうすれば良いか。今はちょっとした一家言がある。
『好きなこと、興味があるものに徹底してハマらせてあげましょう』
である。暴論だろうか?
実際こんなことを言うと、
ウチの子はゲームばかりして勉強しないのにそんな無責任なことをいうとか何なの講師失格じゃないバカになったらどうしてくれるのよ...etc
と怒られそうだが、とりあえずスルーして、その理由を述べる。
- 『楽しい』は『つまらない』の後にあるという経験値を得られる。
- 自分の『メンタルモデル』が確立される。
- 情報入手のため、読書や速読を期待できる。
- 『ワーキングメモリ』を強化できる。
- 自分の中に一本の拠り所ができる。
『楽しい』は『つまらない』の後にあるという経験値を得られる。
どんなゲームもスポーツも楽器も、最初の最初はぶっちゃけクソつまらない時間である。理由は、まず基本ルールの暗記から始まるからだ。
だが一度その段階を超えれば、後に待っているのは割と楽しくて自由な時間だ。自転車だって、乗れるようになってからが本番である。
そしてそれは勉強も同じだ。やはり勉強の出だしはツマラナイ。ツマラナイしできない、というのがどうしても続く。
しかしそこを超えると、『わかる』『解ける』などのモチベーションが生まれ、気づけば良いリズムに乗れる。ここは何事も同じなのだ。
何かにハマっていると、これが経験則として蓄積されているはず。
『多分今できてなくても、終えたら少しは面白くなるだろ』
こういう感覚がある人は強い。それを得るためには、何かに入れ込んでハマりぬくのが最短である。
自分の『メンタルモデル』が確立される。
『メンタルモデル』というちょっと難しい言葉がある。
要はその人なりの世界や出来事の解釈の仕方である。ひとりひとりにおける、物事の捉え方の違いといっても良さげ。
例えば僕は、新規生徒に講師を充てるとき、頭の中でシミュレーションゲームをしているような気分になる。
https://www.onlinegamer.jp/game/533/
『この講師は英語がAくらいの能力だから、高校生に充てようかな・・』とか脳内で独り会議をしつつ決めている。
さてさて。一度何かにハマることの恩恵は、僕はここにあると思う。つまりどんな概念も、
アレで言うところのコレか!
という取っ掛かりが作れるのだ。
『英文法は将棋で言う定跡みたいなもの』『英単語は音楽で言う演奏記号みたいなもの』と言えば、『あー、そんな感じね』という輪郭ができる。
何言ってるか、イメージもわかずチンプンカンプンだぜ!
なんて状態より、比べるまでもなくマシである。没頭することで、でっかい知識の幹をしっかりと育てさせよう。
情報入手のため、読書や速読を期待できる。
何かに興味が出てくると、自然にそれに関する情報を集めるはずだ。ではその情報は、どのようにして得るか?
恐らく、まずはネットに落ちている莫大な量の情報を漁るはずだ。その経験を積むと、自然と『読解』の経験値となる。
Youtubeの動画視聴も、根っこは同じだ。人の話を理解するためには、語彙力などの知識とそれを活用する力を動員せねばならない。
興味もなく面白くもない説明文を嫌々読むより、嬉々として雑誌やネットの眉唾情報を読む方が、純粋に『読む』という経験値として良いと思う。
コチラが本を指定するのではなく、興味があるものをきっかけに手を伸ばすよう、仕掛けたいところである。
『ワーキングメモリ』を強化できる。
『頭の良い悪い』とは、アバウトでまだまだ研究が進んでいない分野だが、最近ある説が有力となっている。
それは、
『頭の良し悪し』≒『ワーキングメモリの性能』
という話だ。そもそもワーキングメモリとは何か、説明を引用すると、
短い時間に心の中で情報を保持し,同時に処理する能力のことを指します。
会話や読み書き,計算などの基礎となる,私たちの日常生活や学習を支える重要な能力です。
という感じ。例えば、話の内容を頭の片隅に置きつつ、国語の読解問題を解く際に使うのも、ワーキングメモリである。
いわゆる成績上位の生徒程、このワーキングメモリの能力が高い傾向にあるというので、少なくとも上の式はハズレではないと思われる。
―では、どうすればこのワーキングメモリを高められるのか?実はそれに有力なものとして、よく挙げられるものがある。それは、
『楽器』『運動』『(一部の)TVゲーム』
である。最後のはちょっと意外だが、3D空間を飛び回り、リアルタイムな判断を求められ、かつ謎解きがあるタイトルだと、その効果が見込めるらしい。
もし上記のどれかに子どもがハマっているのなら、それは止めずに見守ろう。
リフレッシュになるだけでなく、直接的に頭を良くしているかもしれないのだから。
自分の中に一本の拠り所ができる。
何かにハマることの最後の恩恵は、『俺にはコレがある』という拠り所ができるという点だ。
仮に勉強ができなくても・・・運動がダメでも・・・俺には大好きなコレがあるのだ!
という『(謎の)自信』はかなり強い。そして大切だ。
今や何かに極端に入れ込めば、それでメシが食える時代だ。Youtubeを見ればよく分かる。(例えばヒロシのソロキャンプとか)
お勉強ができて立派な大学に行き、一流企業へ就職
なんてテンプレな幸せも否定はしないが、
何かに極端に入れ込み、それを発信する
という夢の描き方だって大いにアリだ。(むしろ最近こっちの方が栄えてる気がする)
モデルケースな夢にうんざりしているなら、こういう考え方をされてみてはいかがだろうか。
―ということで今日は不思議と集中できて、結構すんなり2400字ほど書けた。
抑制をしても、案外物事は好転しない。むしろ才能が潰れて終わるかもしれない。
そんな悲しい話が1つでも減れば嬉しい。では今日はこの辺で。