以前紹介した手前、この名著を頭から読み直している最中だ。
『論理』というアバウトな力を実践的に高めていく方法論や解説がぎっっしりと詰まっており、毎日頭をぱんぱんにしながら何とか食らいついている。
そしてそれを読んでいる中、ふと閃くものがあった。それは、
『このトレーニング方法を授業で行えば、作文の成績が上がるんじゃね?』
というヒントである。
今日はそのトレーニング方法と、実践したレポートを、ここに紹介してみよう。
『間違い探し』最強説。
非常に効果が高いと感じる論理トレーニング。それは『間違い探し』である。
『以下の文には、言葉のルールとしておかしい点が○個ある。それを見つけて、正しい言葉遣いに直しなさい』
みたいな形式で、とある文章を渡し、制限時間10分で取り組ませた。尚、著作権等がウルサイので、恥ずかしいが自分オリジナルのそれを書いたうえで。
-せっかくなので、どんな問題をやったか、載せてみる。
Q次の文章において、誤っている箇所を7つ指摘しなさい。
私は、二十代で結婚するのは、少し早いと思います。なぜなら、今の世の中の状況を考えると、そこまでして急ぐ必要はありません。
例えば、人生で始めて結婚する年齢を『平均初婚年齢』と言いますが、2015年の時点でのそれは、男性も女性も三十歳前後となっています。しかし、二十代での結婚は全体の平均と比べて早いと言えます。
で、『自分の時間を大切にしたい』『まだまだ結婚資金が貯まらない』と答える男女の割合も増え続けています。これらの思いを重視すると、必然的に、結婚に踏み切る年齢を遅くする必要があることです。
もちろん、『二十代で結婚が妥当だろう!』と考える意見もあります。しかし俺は、そういった声に応え、両親の顔を時折頭に浮かべながら、出来る範囲で『結婚』というゴールを目指し、駆け抜ける所存でございます。
-いかがだろうか。8つ以上あったら、それは単純にゴメンナサイである。
ちなみに、6個見つけた生徒は割といたが、7つ全てを見つけた生徒はほぼ皆無だった。皆様はいかがだろうか。
では、以下答え合わせ。(僕が予期した)正しい言葉遣いに直してみる。
私は、二十代で結婚するのは、少し早いと思います。なぜなら、今の世の中の状況を考えると、そこまでして急ぐ必要はないと思うからです。
例えば、人生で初めて結婚する年齢を『平均初婚年齢』と言いますが、2015年の時点でのそれは、男性も女性も三十歳前後となっています。つまり(すなわち・だから)、二十代での結婚は全体の平均と比べて早いと言えます。
また、『自分の時間を大切にしたい』『まだまだ結婚資金が貯まらない』と答える男女の割合も増え続けています。これらの思いを重視すると、必然的に、結婚に踏み切る年齢を遅くする必要があると言えるでしょう。
もちろん、『二十代で結婚が妥当だろう!』と考える意見もあります。しかし私は、『別に必要ない』という自分の価値観や想いを大切にして、しばらく独り身を満喫し、二十代を充実させようと思います。
どうだろうか。最終段落が丸ごと違うというのは、ほとんど見抜ける生徒はおらず。(違和感があることには気づいたという)
一応補足しておくと、元の文のままだと、
第一段落→『二十代の結婚は早い!』≒まだしない!
最終段落→『結婚できるよう頑張る!』≒結婚する!
という『主張の矛盾』が発生しているのがキモ。そして真ん中の2,3段落目は、明らかに前者のサポートの働きをしている。
よって答えは、『結論』を『書き始め』の主張に揃える、・・・・という意図で書いたのだが、伝わっただろうか。
そんな具合で、準備がちょっと手間だったが、その効果は良さげだった。
新鮮な学習方法だったからか、生徒の反応も良かった。また集中力の度合いも結構強く、これは今後も折に触れて解かせたいものだと感じた。
-ということで今日はちょっとした日記であったが、『国語』の指導のスパイスとしていかがだろうか。
それでは今日はこの辺で。