精神年齢9歳講師のブログ

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【講師のネタ帳】生徒が『間違えて覚えている率が無茶苦茶高い』語句の話。 -歴史編-

ウチの生徒がそうなのか、それとも全体としてそうなのか、時折社会の記述問題でとんでもない覚え違いをしている子を見かける。

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ただ、『とんでもない』と思うのはあくまでコチラ目線での話らしく、生徒に再度説明すると、『え、そうなんすか!?』と目を白黒させることも多い。

 

すなわち、いつの間にか間違った方が『常識』にすり替わっているのだ。これは怖い話ではないか。

 

そこで今日は、もしかしたら大人の学びなおしになるかもしれない語句の超よくある覚え違いについて、間違いと正解を軽く解説しつつ載せてみよう。

 

 

 

『元軍と日本軍の戦い方の違いを説明しなさい。』

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E5%AF%87#%E9%9B%86%E5%9B%A3%E6%88%A6%E6%B3%95%E3%83%BB%E4%B8%80%E9%A8%8E%E8%A8%8E%E3%81%A1

 以下の『元軍の戦い方』の記述は、中学受験でよく見る答案だ。この中に1つ、現在ちょっと微妙になっている箇所がある。探してみてほしい。

 

元軍は日本軍と異なり集団戦法を用い、『てつはう』という重火器も使用した。

 

―さて、どうだろうか。ここだけだと、一見だけでは気付けない場合も多いと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、解説。おかしいのはココ。

 

元軍は日本軍と異なり集団戦法を用い、『てつはう』という重火器も使用した。

 

実は、日本軍として戦った武士が描かせた絵にも、元軍の書物にも、『日本軍も集団で戦った』という証言がある。

 

つまり、日本軍は別に一対一で戦ったわけではないのだ。

 

だが不思議なことに、『日本軍はいちいち一対一で戦ったから大苦戦!』というイメージが、すごく濃く、生徒間に染み込んでいる。

 

 もし直接指導することができるなら、一度確認してみてはいかがだろうか?

 

大政奉還とは何か?』

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%94%BF%E5%A5%89%E9%82%84

 

最近ちょいちょい、大政奉還を説明させる問題が出てくる。

 

要するに、誰が持っていた何をどこへ返上したか、が答え方のテンプレなのだが・・・・・

 

ハッキリ言う。ここを完璧に書ける生徒は、僕が見る限り少数派だ。申し訳ないが、ため息が出てしまう。

 

以下、珍解答例。

 

将軍が持っていた政治の権利を中国へ返す

 

天皇が持っていた政治の権利を将軍へ返す

 

各藩が持っていた土地と人民を天皇へ返す(これは版籍奉還の説明!)

 

―うーん、胃袋が酸っぱくなる。一応、各問題集にある模範解答は、

 

将軍が持っていた政治の権利を朝廷(天皇)に返す

 

である。別に政治の権利は中国から借りていたわけでもなんでもないのだ。

 

大人からすれば簡単かもしれないが、意外と滅茶苦茶に考えている中学生は多い。注視されたし。

 

六波羅探題って何するところ?』

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https://study-z.net/21736

響きがカッコいいので覚えてはいるのだが、その意味は結構抜けている語句の1つ。―あなたは、『六波羅探題』とは何か、説明できるだろうか?

 

・・・となれば専門語句がたっぷり登場し、無茶苦茶話が難しいので、基本は『目的』を知っていれば大丈夫だ。

 

例えば、テンプレな答え方は、以下の通りである。

 

六波羅探題』を設置し、_____________に当たらせた。

 

という具合。直前に『承久の乱』が起きたことを踏まえていれば、狙いが分かるのだが・・・・。やはり記述させると珍解答が入り乱れる。

 

例えば、以下の記述、惜しいようで無茶苦茶遠いのだが、間違いを指摘できるだろうか。

 

六波羅探題』を設置し、西国の武士や朝廷を束ね、そこの監視をさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『六波羅探題』の狙いはそもそも、『西国の武士や朝廷の監視』である。監視される土地の人間を使うわけが無いではないか。

 

ここは結構言葉を砕いても、生徒の記憶に浸透させるのに苦労している。歴史の基本・流れに当たる知識だから、習得はマストにしたいのだけれど・・・・。

 

難しい話である。

 

終わりに。

 

ということで今日は採点をしていて毎度毎度頭が痛くなる語句をピックアップしてご紹介した。

 

理由は分からないが、よく見るということは、それくらい引っかかり易い何かがあるということなのだろう。

 

間違いをダイレクトで指摘すると生徒が下手すれば傷付くので、これまた間違い探し形式で小テストを作ろうかなぁと考え中である。

 

それでは今日は、この辺で。