『暗記系科目』を一夜漬けで乗り切った経験はないだろうか。僕は何度もある。(点数は悲惨とも健闘とも言えなかったが)
ぶっちゃけ試験範囲の狭い定期テストは、それでどうとでもなる。だがこれは、生涯役に立つ知識の入れ方とは、あまりにも遠い。
そしてこの落とし穴には、『真面目』な生徒がよくハマっている。今日はそれについてチクっと言っておこう。
『言える』と『分かる』は別物です。
ここであるワークを出してみよう。
『執権』という歴史の語句がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9D%A1%E6%99%82%E5%AE%97
そしてそれについて、Wikipediaには以下のように書いてあった。
執権(しっけん)は、鎌倉幕府の職名。鎌倉殿を助け政務を統轄した。元来は、政所の別当の中心となるものの呼称であった[1]。
ただし、朝廷においても用いられた語であり、鎌倉幕府独自の職名ではないことに注意を要する。
さて。これらをヒントに、『執権』という言葉を暗記してみてほしい。
ではどうぞ。
・・・・では、私見を述べよう。
先の説明を丸暗記できる人はそこそこいると思うが、それを『わかる』と同義と考えるのはダウトである。
この辺は生徒の問答形式で考えると、その罠がよくわかる。
僕「『執権』って何?」
生徒「政所の別当の中心となるものの呼称です。鎌倉殿を助け政務を統轄しました。ただ、朝廷においても用いられた語であり、鎌倉幕府独自の職名ではないことに注意を要します。(ドヤ)」
僕「へー、よく覚えたね。じゃあ訊くけど、
政所って何?別当って何?鎌倉殿って何?朝廷って何?統轄って何?」
生徒「(;;)」
―という感じ。つまり、分かっていないのだ。あくまで覚えただけ。一夜漬け形式で暗記を行うと、こういう『使えない定義と知識』ばかりが増えていく。
だから僕は、やはり教科書をそのまま覚えることに、意味も意義も、ついでに楽しさも見出してはいないのである。
―この辺を打破する話は以前何度も書いてきたので割愛する。
jukukoshinohibi.hatenadiary.com
そこで今日は、コチラが打てる手みたいなのを代わりに提案しておこう。
教科書の説明を使わずに説明できるか?
http://ijinnokotoba.blogspot.com/2014/11/blog-post_20.html
ファインマン氏の好きな逸話の中に、『1つの物事を2通りの方法で説明できたとき、本当にそれをわかったということになる』みたいな話がある。
これはファインマン氏の父親の言葉だった気もするが、とにかく『言い得て妙』どころか『真理』であると考えさせられる。
ということでコチラが心掛けたいのは、
『教科書の説明を把握しつつも、それを使わずに語句を説明する』
という禅問答みたいなテーマである。
例えば僕なら、超乱暴な言い方ではあるが、
「『執権』は鎌倉幕府のNo.2。会社で言うところの副社長みたいなもの。少し違うけど。」
という風に伝えている。(僕の県の公立高校入試は、この程度で答えられてしまう)
授業をするにあたり、解釈のヒントを与えるのが僕らの仕事の一つである。後は生徒が勝手に、頭の中で例え話を考えてくれればそれでいい。
―余談だが、仮にコチラがそれをできない場合、まずそもそもそれを『理解できていない』可能性が極めて高い。
その際はそこに絞って予習を行い、自らの知識を補完しておくべし。お恥ずかしいが、僕もたまにそういうのがあり、日々勉強を重ねている。
―ということで今日はチクっとした内容にしてみた。
僕はやはり、勉強している"フリ"は撲滅したい。それは生徒の学力向上に繋がらない、言い換えれば時間の無駄だからだ。
そしてそれは人生の浪費に等しい。テーマは大きく聞こえるが、間違ってはいないと思う。
授業前のタッチトークでもいいし、雑談の中での発破でもいい。
もし感ずるところがあれば、このテーマを生徒に伝えてあげてほしい。
では今日はこの辺で。