わかっていた話だが、やはり『わかりやすい授業』ってのは、手放しに称賛しきれないリスクを内包する。
※ただしコチラは『笑える』という意味の面白さ↑
授業が素晴らしいのはそれはそれで価値となるが、あまりに説明が理解しやすいと、『定着』していないのに『わかった!』と生徒が錯覚するのだという。
要するに、『復習をサボる』んですな。だからこそ、授業力をウリとする衛星予備校も、授業終了後に『確認テスト』を必修としているところも多い。
―とはいえ、雑な授業を行おうものなら信頼とか集中力を削いでしまうので、どこかに『アメ』と『ムチ』の落としどころを探らねばならない。
今日はそんな、教える側にとってはトレードオフとなる、これらの相反するテーマについて考えてみたぞというお話である。
では、この偽りの『わかった!』をどう打ち破れば良いのか。実はこれについて、僕は僕なりに結論を出している。
個人的な感想だが、『わかる!』という感覚の後に、『ヤベッ』というショックを与え、『あ、なるほど』という納得を与えるのが、この現象を打破する要だ。
言葉にするとチンプンカンプンだが、実はコレ、オーソドックスな授業を行う講師の方にとっては、極めて自然な授業の流れである。
では、英語の授業を例にとって説明してみよう。
①まずは基本を理解させる。
昨日、英語の『命令文』の授業をした。(一応世間は春休みなので、新学年に向けての復習として実施)
ぶっちゃけ、『命令文』の説明は難度が低く、生徒もサクサクっとついてくる。
例)You study hard. と板書
→「主語を消して、動詞の原形から文を始めば命令文だよ!」と言いながら『You』を消す、という具合
まずこれで、『わかった!』という感覚は植え付けられた。(同時にDon't~、とか、Let's、Pleaseなども伝えてしまう)
とりあえず、このステップは意識して目指したい。(でなければ満足度に関わる)
②例題で一旦どん底に落とす。
しかしその後、例題を板書していく中で、軽く凹んでもらうのがオススメ。先の例だと、発問しながら問題の難度を徐々に上げていくのだ。
僕の例だと、以下の文を『英訳して』といって、次々と黒板に書いては当てていった。
走れ! → 走るな! → 公園を走るな! → 昼三時に公園を走るな!
みたいな。そしてトドメとして、
親切になさい。
という例文を出した。意外とこれ、解ける生徒は少ない。大半の生徒の顔が曇るのが面白い。
・・後はこの例文が解けるよう、ヒントを順々に伝えていくだけだ。
例)あなたは親切だ、は英語で? → You are kind.
主語を消せば? → are kind.
areの原形は? → ・・・。
areって通称何動詞? → be
それが原形の名前。じゃあ答えは? → Be kind.
でいっちょ上がり。このやり取りが生む『緊張感』は、結構大切。そして、最後のステップに移っていこう。
③あとは演習でいっちょ上がり。
ここはコチラの予習にかかっているのだが、僕は演習時に使うワークの問題が8割は解けるよう、板書計画を先回りして考えている。
そうすれば某通信教育講座のパンフではないが、『見たことあるヤツ!』という感覚が大体生まれ、そして正答率もアップする。
最終的には本物の『わかった!』という感覚と『解ける!』という満足度を持って帰っていただける確率がアップするので、この型はオススメである。
終わりに。
ということで、教える側の人にとっては気の毒?な話をまとめてみた。
わかりやすい説明はもちろん魅力的だが、『危機感』と『復習の必要性』を抱かせないと、長期的な満足度はものすごく下がるリスクがある。
ここに書いたことが参考になればありがたし。では今日はこの辺で。