精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

文章題に立ち向かうには、【メタ認知】の知識と訓練が大事ですよ、というお話。

皆さんは文章題は得意だろうか。

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この能力は鍛えるのが非常に難しく、ぶっちゃけ『地頭の良さ!』で片付けられることが多い。だが、そんな単純にスッパリと切り捨てて良いのだろうか。

 

そう思って調べてみると、少し古いが面白い論文を発見した。(R)

 

内容をざっくり言えば、小学生5年生を対象にグループを2つに分け、『ある方法』を鍛えた方とそうじゃない方で、成績に違いが出るのかを確認したというものだ。

 

これによれば、半年の調査で、以下のことが確認されたとのこと。

 

① メタ認知を鍛えると、文章題の成績が有意にアップ(するかも)!

 

② しかもその効果は"ある程度長期にわたって"続いた! 

 

おぉ、これはアツい話だ。せっかくなので、以下の続きから、もっと掘り下げてみよう。

 

 

そもそもメタ認知とは何か?

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これまた乱暴に言えば、『自分の現状を分析するような思考』である。例えば、『この文章題は、あの公式が使えるかな・・』と考えるのも、ある種のメタ認知である。

 

これを鍛えることで、『何が問われているか?』『必要な知識は何か?』といった意識が働き、より難問とされるものに立ち向かい易くなるという話である。

 

言い換えれば、問題を分析し、どんな手段を使えるかというのを無意識化で処理する能力となる。だからこそ、これが強いと文章題が解けるのも当然である。

 

例えば、国語の文章題は、メタ認知が弱いとまず解き切れない。テクニックに落とし込むのは簡単だが、意識して使うのは結構難しいからだ。

 

試しに、以下のチェック項目を常時頭に浮かべながら、問題を解けるだろうか?

 

□ 接続語の後に線を引いているか?(つまり・しかし等)

□ 指示語が指す内容を繋げているか?

□ 本文と問題で言い換えは発生しているだろうか?

□ 筆者の主張は現時点では何だろうか?

□ 本文に書いてない選択肢はどれか?

 

・・・等々。これは訓練せねば、逆にテンパって全てがおしゃかになる。使いこなすには反復が必要だが、それはそうすることでメタ認知が高まるから、という面もある。

 

―ということで専門的な話はいくらでも深められるので、ぼちぼち具体的な鍛え方について触れていこう。

 

メタ認知を鍛えるには?

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まず、そういう知識や観点がないのなら、それを植え付けるところからスタートだ。ということで、問題を生徒に解かせる際、横にチェックシートを置いておくといい。

 

例えば、先の論文での調査には、以下のワークシートが使われたという。

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これに従って情報や自分自身を分析することで、自然にメタ認知を鍛える(というより教える)のだという。(実際はこの後も色々と行っていたが割愛)

 

意外と、頭の中だけでは、何が分かっていないかを掴めない生徒は多い。やはり筆記開示は強いということかも。

 

例えば、これは日頃の学習でも応用ができる。弱点が符号ミスであるなら、符号をチェックする!というリストを横に置いておき、解いた後にそれを見ればOK。

 

また、こちらの記事にも、非常にわかりやすいチェックリストが載っている。

yuchrszk.blogspot.com

 

  • ステップ1.事前評価:「新しいことを学ぶにあたって、自分はすでにこのトピックについて何を知っているだろう?」といった質問で、自分の「現在の思考」を深掘りするように働きかける。
  • ステップ2.混乱ポイント:「今日学んだことのなかで、もっとも自分にとって意味不明だった点はどこだろう?」」といった質問で、「何がわからないのかがわからない!」状態を抜け出す。
  • ステップ3.「事前評価」の評価:事前評価の段階と現在で、自分の考え方がどう変わったかを深掘りする。「このテキストを学ぶ前は◯◯だと思ってたけど、いまは◯◯だと思っている」「自分の考え方の、このポイントが変化したな…」みたいな感じ。
  • ステップ4.思考の記録:ステップ1〜3までを記録に残しておく。「自分がテストのために準備したことは◯◯で、次には何をすべきかを考えた。事前の準備でうまくいったのは◯◯で、次に変えるべきポイントは…」みたいな感じ。

https://yuchrszk.blogspot.com/2017/01/50.html

 

ここを無意識にできる人は『天才』と言われるが、ここは鍛えることが可能だし、知っているか知らないかレベルの話なのだ。

 

是非、文章題全般に苦しんでいる生徒・お子さんに、これを鍛えるよう声掛けをしてみてほしい。

 

おまけ:一時的にメタ認知を高める方法まとめ

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とはいえ、これは長期戦になり、モチベーションとしては維持に難儀する。

 

ということで、一時的にではあるが、メタ認知を高める『方法』をお伝えしようと思う。

 

まず、『独り言』だ。文章題や問題を声に出して読む。それだけでメタ認知はググっと高まるから不思議である。

 

皆さんも無意識に、質問が出たら問題文を音読したり、あるいはそうする人に心当たりはないだろうか。これは無意識にメタ認知を高めていることだと言える。

 

そしてその『独り言』の効果を更に高めるのが、『自分実況』という方法である。これはさらに細かく、自分の状況を声に出す感じ。

 

「えーと、本文には確かこれは書いてなかった、ここらへんに・・はい、みっけ。」 

 

みたいな。周りに人がいる状態で使ったら睨まれるので、その時は問題文に線を引きながら読んだり、脳内に留めたりして、工夫しよう

 

終わりに。

 

こういう研究が進むことの最たる恩恵は、今まで『地頭』『天才』とされていた領域に、努力で近づく方法が分かってきたことだと思う。

 

もちろん厳然と『才能』の壁は存在するが、今までは届かなかったところまで、自分を引き上げることが可能だということになる。

 

手前味噌だが、学生だった自分がここにある方法を知って活かせていれば、今頃確実に違うステージに居ると断言できる。

 

それはもう叶わぬ夢なので、その方法を生徒に伝えることを仕事にしているのかなと、不思議とヘンなことを考えている。

 

では、今日はこの辺で。

 

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