仕事柄、参考書ばかりではなくネットの情報も使いながら、特に英語授業のネタ・構成をよく考えている。
そういうことをしていると、嫉妬しているだけに聞こえるかもしれないが、聞かれてもないのに『輝かしい経歴ばかり』が並んでいる人が書いたブログ等が目に留まる。
例えば、ありそうなタイトルで言えば、『実は日本人は理解しきっていない、現在完了形の正しい理屈!』みたいなのがあるブログ。
そしてその記事全てに、『出身大学・留学経験・TOEIC満点(英検1級・通訳)』みたいなのが添えられている感じである。
―素直な感想を書くと、僕は経歴の並び立てができる人に驚く。僕ならそんなこと、リスクが高すぎてできないからだ。
今日はそんな、卑屈なお話をいたす。
あるモノが無いと、簡単に揚げ足を取られます。
実は、ある種のテンプレを知って置けば、『それっぽい紹介』を書くことは意外と簡単である。
どうでもいい話だが紹介すると、基本は以下の流れで構成されている。
①出身大学・出身県。
↓
②スタートがいかにポンコツだったか or どんなに恵まれた環境で勉強していたか。
↓
③目を引く資格の紹介。(エピソードが付いていれば、なおよし)
↓
④今の仕事。
ってことで、これらを使い、背中にヘンな汗を流しながら、僕の『それっぽい紹介』 を書くと、こうなる。
某地方国公立大学経済学部国際経済学科卒業。広島県出身。中学時代は成績に『2』を付けまくる落ちこぼれであったが、高校2年の時に出会った講師と、その提唱する勉強法で覚醒。偏差値50弱から、最終的に70代にまで引き上げる。その後は塾講師として指導に当たりながらも勉強を続け、2017年に人生初となる英検を受検、準1級に一発合格する。その後、2018年には英検1級に挑戦。一次を一発突破しつつも二次試験に跳ね返されてしまう。しかし、4ヶ月の猛勉強の果て、二度目の挑戦で合格。普段の担当科目は、中学・高校の受験英語がメインである。
―うーーーーーーーーん、なんというか、むっちゃくちゃ恥ずかしい!!恥ずかしくて仕方ない!!
まずこれをあちこちに書ける時点で、ハートが強すぎるだろう!そういう意味でも素直に尊敬である。マジ、リスペクト。
・・・しかし、だ。
実はこの経歴紹介には、非常に大事なあることが抜けている。それを勘づかれると、自分の状況次第では揚げ足を取られてすってんころりんとなってしまう。
では、その『あること』とは何か?それは、以下の質問にスムーズに答えられるかどうかで分かる。
『では、あなたはどんな結果を出させてきたのですか?』
はい、これに尽きる。
極端な話、ビジネスの世界では、経歴ではなく実績の方が遥かに大事である。
指導がまるでゴミな旧帝大の卒業生と、教え方が上手い専門学校生なら、僕は後者を採用したい。そういうものである。
逆に言えば、よく見ると実績が書かれていない場合、もしかしたらグレーな何かが裏に潜んでいるかもしれない。そう捉えた方が良い場面、少なくないと思う。
例えば僕の場合なら、『合格実績』とか、『生徒の点の伸び幅』などが添えられていないと、ただの眉唾な自慢で終わりとなってしまうのだ。
―ちなみにここ数年では、『個別授業2コマで定期テスト平均60点の生徒に80点を取らせる』とか、『中2で英検2級合格』とか、他にもちょこちょことやれている。
もちろん裏では失敗もあるが、リスクを取らないことが最大のリスクだと自分で自分を戒めつつ、頑張っているところではアリマス。
数字で『隠せるモノ』もあるよ。
―では、実績として数字が書かれていればそれで安心なのか?僕はそうは思わない。いくらでもその辺は操作が可能だからだ。
数字そのものを捏造するというのは論外だが、嘘を付かずとも、遠からず近からずなことは出来る。
例えば以下のような文言はよく掲示物として貼られているが、あなたならどう質問するだろうか?少し考えてみてほしい。
『特待生クラス、○○高校全員合格!!』
―ってことで、僕なら、ということで紹介する。僕が確認したいことは2点だ。
『その特待生クラスって、何人いたんですか?』
『そのクラスに入れる条件って何なんですか?』
ってところかなー。
例えば、2人いて2人受かるのも、50人いて50人受かるのも、100%という数値では同じである。母数の存在は大切だ。
そしてここに、そもそも過剰なまでの条件が加わっているなら、話はさらに眉唾となる。
これまた例え話だが、Aラインが得点率8割、内申点も4以上のが県内最高レベルの学校を目指すクラスを作るとしよう。
そのクラスに参加する条件が、直近2回の模試が両方9割、内申点は4.5以上とかだったらどうだろうか。
『授業により成績を上げる!』というより、『ほっといても受かるヤツを集める』というのが実になってしまうだろう。条件って怖いぜ。
逆に言えば、この辺りの隠しデータまでも臆することなく公表している講師や塾は、非常に能力が高いことや、自信があることの裏返しとなる。
この辺を突っ込まれても大丈夫なようにするには、生半可な努力や時間では無理だ。だからこそ、僕も適当な仕事は絶対に出来ないと、常々考えている。
終わりに。
ってことで、僕が思うもやもやを書き殴ってみた。
ちなみにこれは、『過剰な宣伝をするのはダメな塾だ!』とか、『謙虚な人が最強なのだ!』みたいな、複雑な要因を過度に一般化した話ではないのでご注意くだしあ。
あくまでも『こう考えることもできますよね?』という、僕の性格が悪いことを紹介しただけに過ぎない。使うも使わないも、自己責任でオナシャス。
では今日はこの辺でー。