塾講師の仕事が報われる瞬間は、やはり生徒が成績向上や合格を勝ち取り、喜んでいる姿を見たときだと言われる。
そこはもちろん僕も同じなので、この仕事に投下する時間や労力は、全てその未来に向けて投資されていると言っても過言ではない。
となれば、その中間目標に当たるものにも目を光らせないとならないのは自明である。僕が思うにそれは、模試や学校の定期テストの点数である。
そして持論を言えば、ぶっちゃけ大変なのは『成績が伸びたあと』だと考えている。今日はそんなお話。
中学生程度までであれば、塾に来させて、問題を解かせまくり、宿題を出して物理的な時間を確保しさえすれば、実は大抵点数は伸びる。
だからか、点さえ伸びれば勉強が楽しくなるのだから、後は勝手に本人がやり始めてまた伸びるという好循環が生まれる・・・と説く人もテキストも実際多い。
しかし、少し考えればこれはダウトだとわかる。
例えば、テストで30点の子が60点になれば、それは嬉しい話である。平均点による調整が入ることもあるが、字面だけ見ればこれは間違いない。
だが、それと同じノリで60点を90点に出来ると考えるのは危険である。
やってみるとわかるが、比べ物にならない勉強量に加え、この域だと少しずつ『才能』が求められてくるからだ。
つまり、一度伸びた後、その次もまた伸ばすのは、実はものすごく難度が高くなっているというカラクリが隠れている。
現実はドラクエとは違うので、サクサクとレベルを上げ続けるなんてことは出来ない。となれば見えてくるのが、成長の鈍化によるモチベーションの低下だ。
テストの点が上がることをやる気の源にすると、100点とか200点でその限界が来る。伸びを感じられない分野は、いずれ必ずやる気が萎えてしまうのだ。
―だからこそ、生徒の成長を引き出すためには、ここからのリカバリー施策が必ず求められるという話にも繋がる。
そして、成績向上を維持し続ける講師や塾は、得てしてそのスキル・能力が凄まじく高い。手数が豊富なのだ。
逆に言えば、点を上げることだけに頭を使って成長し続けられるほど、教育って甘くないんだなと、強く思わされる逸話でもある。
・・・じゃあ、具体的にどう手を打てばいいのか?僕は、刺激を変えるか、ゴールを先に伸ばすかの2つだと考えている。
前者は非常に簡単で、学校の定期テスト成績の向上が鈍化したり、またはそれを目標とし続けることに飽きたりしたときに、別の手段・観点を提案することだ。
例えば、国語の成績が伸び悩んだ段階で漢検をプッシュするのもその一つ。また、少しリスキーだが、全然違う教科に力を入れさせてみるのも同じと言える。
後者については、その力量を加味し、志望校のレベルを上げ下げしたり、目標とするテストを変えたりと、如何に生徒のことを観察しているかが問われることになる。
同じ刺激や、届かないゴールにうんざりしちゃうなら、それらを変えるだけで激変する例など枚挙に暇がない。
言ってしまうと、同じ教科書・テキスト・ゴールをずっと使って、成長し続けられるもんならやってみろという話だ。
そんなことを感じる出来事があったので、とりま記事にしてみましたよ、と。
では今日はこの辺で。