最近毎朝、『死ぬこと以外かすり傷』という本を読み返している。
そこには、『インフルエンサー』という言葉が繰り返し登場し、その重要性が強く説かれている。
『インフルエンサー』とは、簡単に言えば強い影響力を持つ人のことで、例えばTwitterやインスタグラムのフォロワー数が、千とか万の単位になる方のことを指す。
この方々の知見を得たり、自分がしたいことに巻き込めたりできれば、それだけで状況が激変するくらい心強いのは間違いない。
しかし、あまりにも膨大な数の人たちと、それぞれの思惑に接してきた方々だ。通り一遍の口説き文句では絶対に動かない。
―著者の箕輪厚介氏は、結果自身が『インフルエンサー』になる道を選んだのだが、その章のくだりには、『徹底的なブンセキ』という言葉が登場している。
そしてこの言葉の意味と具体例を読んだとき、僕はハッキリ、『小説を勉強する意味はここにもあるなぁ』と感じたのであった。
今日はそんなお話。
人を巻き込むためには、まず『ブンセキ』ありき。
お願い事をすること、されることはあるだろうか。ちなみに僕は、最若手ではあるが両方結構行っている。
そこで強く思うのだが、お願い事一つとってもそこには駆け引きがあり、色々方法を間違えれば受けてもらえないどころか叱咤を食らうこともある。
―ちなみに、僕にもちゃんとイラッとするポイントがある。例え依頼主が上司であろうと、『暇でしょ?』というニュアンスを感じたら本当にイラっとする。
或いは、時間が掛かってしゃーない方法を強制されるのも非常に嫌いだ。例えば、何かしらの時間を伝えるのに電話を掛ける、みたいな。
―実はこれ、逆に考えると、相手の地雷に当たるポイントや利益を探ることさえできれば、駆け引きの結果を意識的に良い方へ運べるという話にもなる。
そしてここの『ブンセキ』に活きてくるのが、僕は小説の読解問題で鍛えられるスキルなんじゃないかなと考えている。
ってことで、さらに詳しく以下説明。
根性論の限界と想像の効用。
まず、当たり前のことを少し伝える。
依頼を出したり、遊びに巻き込んだりしたい人がいたとして、その人が『いいよ』と言いたくなるタイミングもポイントも、十人十色である。
―しかし意外と、ここをないがしろにする人は多い。部下なら仕事をやって当然だ、困ったときは根性論だ、そんな感じ。
ハッキリ言うが、例えば僕はどんだけ土下座をされようが、強めに命令されようが、要らないものは要らないし、したくない仕事はしたくない。
しかし、他者目線の想像が欠けてしまうと、結構簡単にこの辺の罠にドハマりする。表面上では人は動くかもしれないが、裏ではさて、どうだろう。
―先述の本を読んでからというもの、『俺は他者目線を考えていたか?』とかなり強めに自戒した。そして、絶対に不十分だという結論に至った。
何故かというと、本文内で紹介されていたレベルが、非常に高かったためである。
自分が仕事をしたい人のSNSを追いかける。著書を読む。言動から、思考タイプの仮説を立てる。延々、これの繰り返し。
もはや『憑依』とまで書かれていた。これが『ブンセキ』ならば、今まで自分がやってきたことなど取るに足らないのだ。
・・・さて。
そろそろやっとメインのお話である。こういう風に他者を分析するにあたって、絶対必要不可欠なモノとは何だろうか?
―それは、その人の『ジョウホウ』である。拍子抜けされたであろうか?
では、少し思考実験をば。上司でも部下でも、誰かのことを浮かべてほしい。その上で、以下の質問に答えられるだろうか。
その人の好きな食べ物は?
座右の銘は?
仕事のスタイルは?
趣味は?
嫌いなことは?
普段どういうスケジュールで暮らしている?
出身校やその人のプロフィールをいくつ言えますか?
―『ジョウホウ』の意味が伝わっただろうか。そう、意識を向けない限り、こういう要素は得られないのである。
そしてここでいう『意識を向ける』とは、読解問題を解く際に必要な『意識』と驚くほどそっくりなのだ。
長くなるので軽い紹介に留めるが、思いつく限り以下のが浮かぶ。
① 人物のセリフに注目する。
② 人物の動作に注目する。
③ 感情移入をしない。
④ そしてそもそもある程度の興味を持つ。
てな感じ。ちなみにこれらの究極形は『恋愛』らしいのだが、心当たりはあられるだろうか?
まとめ。
ってことで乱暴にまとめる。
『小説』が得意な人は、人物の『ブンセキ』が上手である。それは『人を動かす力』の根幹に当たるため、鍛えている人は仕事ができる。
ま、反例とか山ほどあるでしょうけど、それはそれでございやす。
エッセイ風味なお話でしたが、今日はこの辺で。