今日は短編だが、非常に感心させられた出来事を書いてみようっと。
こないだ、冬季講習のシーズンなのもあり、集団授業に生徒が一人増えた。だがその生徒は、他のどの生徒とも学校が別で、かつ人見知りである。
ま、クラスに打ち解ける第一歩を創るのもこちらの仕事なので、様子を見つつ発問したり、コミュニケーションを取りながら教室まで案内したり、というのはした。
けれど、短時間ではなかなか限界がある。まぁ、時間が多少かかってでも、ジワジワ打ち解ければそれでいいかと考えて、腰を据えることに僕は決めたのだが・・。
その後の休憩時間、とある生徒が取った行動が、ハートフルでかつこちらも勉強になるものだった。
『中学校どこ?』
ありふれた出だしだが、その生徒(以後Iくん)は合流した子(以後Mちゃん)にそう聞いた。当然、『〇〇中学校』だと返す。単語で返しちゃうのは人見知りの性。よくわかる。
ちなみにその学校は、このエリアからはやや遠く、車で30分くらいは掛かる場所だ。どう返すのかなと思っていたが、Iくんは気さくな男の子である。
『それってどの辺?ここからみてどっちの方角?』とさらに質問を重ねたのだ。だから話が膨らむ。
M『あっちの方(指をさす)』
I『どれくらいあっちなん?』
M『(微笑)30㎞くらいあっち』
I『めっちゃ遠いやん!俺も家と中学校は遠いけど、じゃあバスか何かを使ってるってこと?』
…てな感じで、休憩時間丸ごと、IくんはMちゃんとのやり取りに当てていた。これには非常に感謝している。ものの見事に、Mちゃんはクラスの一員になったからだ。
ちなみに、このIくんのやり取りを分析すれば、『コミュニケーションスキル』として効果的だと証明されたものがふんだんに含まれていることがわかる。
例えば、質問を多く重ねるとか、相手の話に共感するとか、自分の話を混ぜながらも質問で返すとか・・・。
だが、そんなことをIくんが考えていたとは思えない。きっと彼の旺盛で純粋な好奇心が、自然にそのやりとりを生んだのだ。
このやり取りを見て、僕はハッとさせられた。確かに、『テクニック』としての説明や会話は、たくさん勉強してきた自負がある。
だが、この目線が己に抜けていなかったか、と。俺はコミュニケーションを取りたい相手に『興味と関心』を抱けていたか、と。
僕は今まで、きっと本末転倒なことをしていた。自分がテクニックを使えているかどうかの方に、より強く意識が向いていたからだ。これは猛省モノだ!
人と人のバリアを壊すのは、『興味と関心』。純粋なやり取りを見て、また一つ学ばせていただいたエピソードでしたよ、と。
では今日はこの辺で。