精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

【小・中学生編】授業時における【衝動性】について調べ倒したことと、その実践録。

この日はちょっと落ち着きのない生徒がいるクラスで授業があるため、ノープランだとチョイ危険である。(↓ボヤ騒ぎもあったばかりだし)

jukukoshinohibi.hatenadiary.com

 

特に顕著なのが、【得意科目における衝動的な言動】である。その生徒は社会が得意なのだが、知ってるという自負が強く、僕の説明を聞くことが難しい。

 

例えば発問する前に答えを言う癖があり、それを食い止めても、他の生徒が違った回答を言えばそれをたまに笑ってしまったりと、無邪気が故に浮いてしまうのである。

 

また、発問した際も、求めた回答の1.5倍以上の情報量を答えてしまう。得意が故にその答えも情報もあっているのだが、苦手な生徒の混乱を生む素になっている。

 

この辺りはかなり突発的であり、結構強めにその都度指摘するのだが、最長10分ほどしかその効果は持続しない。(ちなみに指摘する理由は、他の生徒のガス抜きという意味合いもある)

 

・・こういうのに対し、『はぁ~、コマッタコマッタ』とだけボヤいて、同情票を得ようとするのはナンセンスだと僕は考えている。

 

『行動の指摘』で効果が得難いなら、他の手を打つしかない。では、他の施策とは何があるのか?同様のケースは他にもあるはずだし、成功事例もあるはずだ。

 

ってことで今日は完全なるメモ書きだが、こういった【衝動性】に関する情報・施策などを調べた上で仮説立てし、授業で実践してみた話を書いてみようと思う。

 

同様のケースで少し悩んでいる方に響けば嬉しい。ではいこう。

 

 

 具体的施策列挙とまとめ。

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今回も色々調べたが、既に知っている情報以外で役立ったのはこのPDFになったパワポ?であった。

 

新発見だったのは、『問題』とされる行動を、『目的』で分類していたことである。まぁこれは、僕が無知すぎるだけの発見かもしれないが・・。

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この目線で考えると、その生徒が取る行動は数あれど、一番顕著なのは『注目の獲得』だと思えてくる。

 

となればそれにフォーカスした施策が効果的なのでは?という仮説が出てくるので、さらに深めてみよう。

 

この資料によれば、以下の手が提案されていた。

 

① 賞賛される場面を創る

→つまり発問?

 

② 自分・他者・相対などの複数評価を策定する

→賞賛・正答率・課題の難度など、自分が達成したことを意識づけさせる

 

なるほど。これは即効性がありそうだ。

 

ただ、工夫ゼロだと確実に不満だらけになる。実は顕著ではないが、『注目の獲得』に飢えている生徒は他にもクラスに居る。

 

Aに当てればBがイラつく。Bに当てればCがブーブー言う。犬でもできるんだから大人しく待てというのが正直本音だが、低学年にはまだ難しいらしい。

 

ということでここでまとめてみる。

 

『発問は全員平等(無視して発言したら強めに怒る)』

 

 

『問題演習時、机間巡視しながら別個に褒めていく』

 

ってのが落としどころでしょうね。ぶっちゃけその他の要素も関わっている部分はあるが、そこまで追求すると僕が苦しくなりすぎる。

 

―そして今回は、『海外の事例やアドバイス』も参考にすることにした。すると、結構わらわらとサイトが出てきて、世界共通のテーマなんだと実感する。 

 

そこで出ていた施策も面白いことに結構共通していたので、シェアしておく。

 

①望ましくない行動は積極的に無視する

 

②容認しきれないそれは、『ハンドサイン』で制する。

 

③指導を入れる場合は集団の前で行わない。

 

―また、授業の流れそのものの一例も載っていたので、丸ごと訳を添えて引用しておく。

 

Starting a lesson

授業開始時

 

Signal the start of a lesson with an aural cue, such as an egg timer, a cowbell or a horn.

授業開始のサインを、ベルや笛、タイマーなどの聴覚による合図で知らせる。

 

(You can use subsequent cues to show how much time remains in a lesson.)

(これらの合図は、授業の残り時間を示す際にも使えます)

 

Establish eye contact with any student who has ADHD.

ADHDを抱える生徒一人一人とアイコンタクトを確実に行う。

 

List the activities of the lesson on the board.

黒板に、レッスンの中身を並び立てる。

 

In opening the lesson, tell students what they’re going to learn and what your expectations are.

授業開始時、今から何を学ぶのか、この授業の狙いは何か、生徒に伝える。

 

Tell students exactly what materials they’ll need.

必要な教材は何か、確実に伝達する。

 

Conducting the lesson

授業中

 

Keep instructions simple and structured.

指示は簡潔ではっきりしたものを!

 

Use props, charts, and other visual aids.

小道具や図表など、視覚補助のアイテムを使おう。

 

Vary the pace and include different kinds of activities.

ペースは適宜変えて、色々な種類の活動を混ぜよう。

 

Many students with ADHD do well with competitive games or other activities that are rapid and intense.

ADHDを持つ生徒は、勝ち負けのあるゲームや、速さ・緊張を伴う活動で、能力を発揮できることが多いです。

 

Have an unobtrusive cue set up with the student who has ADHD, such as a touch on the shoulder or placing a sticky note on the student’s desk, to remind the student to stay on task.

作業に取り掛かるべき時だとリマインドさせるため、例えば付箋を机に貼ったり、肩をタッチしたりと、他の邪魔にならない合図をADHDを持つ生徒との間で決めておきましょう。

 

Allow a student with ADHD frequent breaks and let him or her squeeze a rubber ball or tap something that doesn’t make noise as a physical outlet.

ADHDを持つ子には時折休憩を許可し、ゴムボールを握りしめたり、音を立てない何かを叩いたりといった発散の術は、(邪魔にならない限りで)認めてあげましょう。

 

Try not to ask a student with ADHD perform a task or answer a question publicly that might be too difficult.

ADHDの生徒には、皆の前で難度が高いと思われる質問に答えさせたり、問題に取り組ませたりと言ったことは避けましょう。

 

Ending the lesson Summarize key points.

要点を並べてレッスンを終えましょう。

 

If you give an assignment, have three different students repeat it, then have the class say it in unison, and put it on the board. Be specific about what to take home.

宿題を課す場合、別々の生徒三人にその内容を復唱させ、クラスでせ~のでそれを言わせましょう。その後、黒板に書いておきます。家で何をするのかは、絶対に明確にしておくこと。

 

www.helpguide.org

 

 また、もう1つ参照してみたが、そちらには僕が勉強している『コミュニティ論』に通じる話もあった。

 

 ①クラス単位のルーティンワークを作成しよう。

 

②懲罰より問いかけを。

例)今のは良いこと?悪いこと?みたいな

 

www.additudemag.com

 

・・・てなわけで今日の授業で実践できそうな話を抽出すると、

 

① 開始時には手を叩くなどして音を出し、授業時間の計画を書き出す。

 

② 10分以上同じ性質の作業を連続させない。また、なるべく絵を描いたり貼ったりする。

 

③ 発問は『一斉』という形式も採用する。

 

④ 机間巡視しながら『褒め』の補充。

 

⑤ 指示は1度に1つ、何回も繰り返す。

 

ってとこだろうか。 後は僕がどこまで徹底できるか、ですなぁ・・。

 

ま、実験という気持ちで頑張るとします。

 

実際に試してみての考察。

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社会の授業で早速上記のポイントを心掛けて授業に臨んでみた。まずは『発散』のため、開始10分で授業予定の単元に関する知識をノートにひたすら書き殴らせた

 

その際も、『お、めっちゃ書けてるじゃん』と言った風に机間巡視しながら褒めつつ、他のヤツの競争心を焚きつけることも忘れない。

 

それが終わったら、『授業とはわからないヤツのためにある』という趣旨の話をして、いよいよ『説明』に入った。
 

しかし、多動性はそう易々とは収まらない。ポコポコ発言が漏れたり順番を取ろうとしたりという場面があったので、ハンドサインで制する

 

結果説明そのものに若干ノイズが入ったため、終了後に完全に沈黙させてから2分でまとめ直し、演習へと移った。

 

その際、ノルマはかなり多めに出しておいた。ただ、最低でもここ、いけるならここまでという感じで、得意なヤツは先に行けというメッセージを伝えた

 

そして、机間巡視しながら、アシストに回る。こうなれば、説明を聞くのが苦手なヤツでも黙々と取り組むので、逆に苦手側のフォローに回りやすい

 

少し首をかしげていた様子の生徒に小声でフォローを入れ、最終的には8割くらい充てられるまで補充は出来た。

 

そして時間きっちり解き終えて、つつがなく授業は終了、である。

 

ってことで、個人的な感想だが、達成度は75%くらいかなという手応えであった。

 

終わりに。

 

 アドバイスのほとんどは即効性を伴って効いたように感じるが、僕の中で次の課題も見えた。

 

①説明・演習以外に、もっと色々な感覚を使う時間を創る。

 

②授業時における決まりごとをもっと徹底して刷り込む。

 

ここは今後の宿題だな。でも、ずいぶん具体的な話になったと思う。暗中模索・五里霧中がちょっとは開けたような感覚である。

 

尚、今回自分の中で一番効いたと思うのは、『机間巡視個別フォロー』である。演習時に別個に声掛けできるので、後から挽回が非常にし易い。

 

今後もこれは積極的に使いながら、より良い運営に向けて努力を続けようと思う、

 

ってことで4500字以上の大作になりましたが、今日はこの辺で。 

 

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