ADHDは3種類の症状があるのだが、気になる生徒は特に『多動性・衝動性』が強い。
ずっとそわそわしたり何かを握ったり、説明中に謎のことを突発的に言ったりと、理解が無ければ周りからマイナスなことを思われそうなものが多くてひやひやする。
ちなみにこういう行動・言動は、どうやら注意して直るレベルでは無いらしい。
大抵どのサイト・文献を参照しても、代替行動を使ったり、トリガーを引かないよう心がけたりで、減らすよう努めましょう、という結びになっているからだ。
【長所を見つめ、それを活かしましょう】という考え方は賛成だが、集団で極端にハブられないようにケアするという心がけも、講師側なら持っておくべきだと思う。
てなわけで今日は、僕の心がけでどこまで衝動性を減らせるか、意識して試すことにした。そんな記録である。
"衝動のトリガー"は普遍的だが、それですべての説明はつかない。
ADHDの子がいわゆる【不注意・多動・衝動】の行動を起こしてしまう時は、以下のようなトリガーがよく列挙される。
①教室内に【刺激】が多い。
例)派手なポスター、窓側の席など
②授業の見通しが立たない。
例)今から何を何分していつ終わるのか不透明
③同じ作業がずっと続く。
例)単調な説明が15分以上など
・・・ちなみに多分ADHDを持っていた(る)僕も、②と③が極めて苦手であり、大事な研修だろうが終わりの時間がわからないと集中はマジですぐ切れる。
これは盲点にして、結構納得のポイントである。
ーが、これを守れば全生徒の好ましくない言動を減らせるかと言われれば、そんなことは絶対にありえないとすぐわかるハズ。
ここからさらに、【個々人のトリガー】を分析し、突き止めていかねばならないのだ。僕が受け持つその生徒の場合、そういう言動は以下の場合に顕著に起こる。
①『この問題は難しい』みたいな煽りをした場合
→『うわー、ひえー(裏声)』というリアクション
②全体に向けた発問をした場合
→『〇〇が答えなような・・』という大き目な独り言
③よくある間違いなど、ミスった生徒の例を挙げた場合
→『自分のことかよー!』という一人ツッコミ
④5~10分以上の説明
→消しゴム・何かの容器などをずっと触り始める
⑤(得意科目にて)他の生徒が間違った回答をした場合
→超大笑いor『△△に決まってんだろ!』という無邪気なツッコミ
特に⑤は危険で、理解があろうがなかろうがこれは他からすれば腹が立っても仕方がない。
ちなみに⑤の原因については、もしかしたら結構闇が深い深層心理が潜んでいるかもしれないため、思い切り叱るのも憚られる。(2回くらい休憩中別個に指導したけど)
だからその得意科目については、ある別の対策を打っているが、今回は割愛。
さて。これらのトリガーをシビアに分析すれば、『つまり僕は喋っちゃだめ』なのだが、それはマジで仕事の放棄である。よろしくない。
しかし、特にどのポイントも強調せず、問いかけもない授業ってマジゴミなので、他の生徒の得が大激減してしまう。
押しと引き。こういう意味で、好ましくない行動をゼロにすることは他の生徒もいる手前不可能、というのが本当の所なんだと思う。
それらを踏まえ、この日の授業は何をしたか?簡単に下にまとめておこう。
仮説実践例。
―ってことで今回心掛けたのは以下の3点。
①黒板に授業の流れを簡単に書いておく。
②説明→演習を小まめに繰り返す。
③上記のトリガー全てを回避することを心掛ける。(もし発言があっても積極無視)
これで、何がどこまで作用するか?ちなみに今日の科目は英語で、時間割的には2時間目である。
―今回は不思議なことに、ついぞ衝動的な行動は出なかった。こっそりそれをするにはしていたが、声を出さなかったのだ。
これはいい感じの成長だと思う。もちろんすぐさま放任とかは出来ないし、再現性があることなのかまた様子は見ないといけないけれども。
テストが近いこともあって、全体がピリッとした雰囲気だったのも効いたと感じる。周りを取り込んだ雰囲気づくり。何かこう、新しいヒントを得られたぜ。
結構バリバリと演習量も確保できたので、まぁ及第点は確保できたよね。
てなわけで、こちらの工夫によって何とかできる部分は割と大きいのかもと、そんなんを少しずつ体感し始めております。
では今日はこの辺で。