精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

なんでもかんでも『思考力だ!思考力のせいだ!』と騒ぐのは滑稽だよな、という話。

前も記事にしたが、やはりどうしても『思考力ブーム』のにおいを強く感じている。

www.missiondrivenbrand.jp

 

ーそれの一環で実際にプログラミングとかが大人気だし、既存の塾でもそれの強化をバンと打ち出しているケースは結構多い。

 

まるで『思考力があればなんでもできる!』『思考力が無ければ落伍者だ!』といった相反するメタをそこからバリバリに感じるようである。

 

それを受けてか、かなり低学年の段階からディスカッションに挑ませたり、大人でも難しい哲学的な問いを考えさせたりといった教育も登場しているそうだ。

 

さながら、『狂騒曲状態』だと思えちゃうなぁ、と。ここで個人的なことを書いてみます。

 

僕自身は、いきなり思考力だけを鍛えようとしてもマジで無駄としか思っていないし、それは強制もできないと考えている。

 

・・・・わけがわからないので、例え話交えて解説してみよう。

 

 

『思考力』の前提。

f:id:pochihiko_inunosuke:20210213112926p:plain

まずこの『思考力』の前提について触れておく。それは、以下の質問で一発だ。

 

『比較優位』についてどう思われます?

 

style.nikkei.com

 

・・・経済に関する学部を出たか、金融業界に勤める人でないと、『はぁ?』以外の答えが出てこなかったのではなかろうか。

 

 

ほとんどの人はそもそもこれに関する基礎知識が無いと思われるほど、あまりにも専門的なためだ。知らないテーマについて『思考』は出来ない(哲学は別)

 

実はここをすっ飛ばして『思考力!思考力!!』と騒ぐ人って、意外と多いのだ。『うちの子、思考力が無いからドリルをやらすんですが、進まなくて・・』みたいな。

 

やんわり伝えるに留めているが、僕は内心たまに、『能力云々の前に、あまりにも周りのことを知らないからじゃないですか?』と訝っていることもあるほどだ。

 

勉強が超できる、或いは点数はそうでもないのに『頭いいなぁ』と思う生徒・友人は周りに数多くいるが、大抵ある共通点がある。

 

それは膨大なインプットができる、そして認められていた環境にあったことだ。そしてその媒体はマジで何でもいい。

 

名探偵コナンを全巻読破している小6の生徒は、とある市立中学校に特待生で受かっているし、ある公立中で一番成績が良いヤツは、家に小説が超並んでいるそうだ。

 

もちろんそんな地頭があるからそんなインプットができたと思われるかもしれないが、その議論は正直言って不毛すぎるから割愛。

 

・・とにかくひったすらに頭に『知識』をずっとずっと貯め続けることが可能で、かつ褒めてくれる・認めてくれる環境にあった人に、ある種のバカを僕は知らないかなぁ。

 

好ましい環境で知識をプールし続け、それが表面張力を超えてザーッと流れ出たとき、結果『思考力』が開花するんじゃないかなと僕は思うワケで。

 

結構あるあるだが、そこそこ知識量が高まってくると、『じゃあこの場合はどうなるんだ?』と仮説を立てるようになる。これはRPGゲームだとわかりやすい。

 

あるボスが倒せない。物理攻撃に非常に強く、殴ってもダメージが入らず、ジリ貧で敗れてしまう。

 

そんな折、『物理に強いヤツは魔法に弱い』という知識を得た。

 

『じゃあ、魔法を当てればどうだ?』と仮説を立て、使ってみる。確かに物理攻撃よりダメージは入るが、思ったほど入りはしない。

 

何故かと考えていると、攻略サイト『モンスターには属性があり、それによって強い魔法・弱い魔法がある』という知識が書いてあったのを見つける。

 

では、色々な属性を当ててみて、弱点を見つけることからやってみるかと行動を決める。以下、倒すまで繰り返し。

 

・・・自分が知識を基に立てた仮説は、答えを知る人に聞いてもいいが、それが叶わない場合はこの例みたく自分で確かめることになる。

 

ここでも、そもそも『物理に強いヤツは魔法に弱い』という知識があったからこそ、最初の仮説がスタートできたことに注目だ。

 

考えられるようになる前には、やはりどうしても『知る』ことがマストである。これを無視すれば、英語の初学者が延々と英英辞書を読むようなものだ。滑稽である。

 

だから再掲しておこうっと。思考力についての僕なりの定義は、

 

ある困難事や謎を解決するため、問題を自分で作り、それを解決する力

 

である。大人だって、問題を解決するに際しては、まず調べることが大半ではないか。つまり、インプットスタートなのだ。

 

例えば『このデータを計算して昇順で並べといて』と言われれば、『Excel 計算 関数』とかを検索するように。

 

ーだが不思議なもので、子どもたちには『テメェの頭で考えろ』という風に放任してしまうことも多々あるワケで。『俺はいいけどお前はだめ』状態である。

 

ここまで書いてきて、LEGOが思考力強化に非常に良い理由が、急にストンと腑に落ちた。

www.lego.com

 

あれは仮説立て(どうすればこの形になるのか)と検証(本当になるのか組み合わせる)の繰り返しで思考力強化に適しているのに、驚くほど『コトバ』を必要としないからだ。

 

ぶっちゃけ完成図と『こそあど言葉』があればいい。その内生まれるであろう姪っ子か甥っ子、或いは友人の子どもの出産祝いは、絶対にこれだな!今決めました。

 

ーはい。最後はちょっと脱線したけれど、結局伝えたいことは以下の1つ。

 

そもそも色んなことを知らなすぎる状態では思考もくそもないですよ。

 

という話である。

 

『いいや、いきなり考えればそのうちできるんじゃ!』と思われる方は、ぜひ習っていない外国語の単語の意味を、その言葉で書かれた辞書で調べてみてください。

 

てなわけで今日はこの辺で。

 

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