2週間ぶりに酒を飲んだら、次の日頭痛いわ、寝起き悪いわで、満足度が完全にマイナスでした。酒、嫌いになりそう・・。中元です。
さて。面談の超ホットなシーズンを終えたのだが、やはり鉄板の質問は決まっていた。「国語力(読解力)」が無い、というものだ。
突き詰めればやはり、「国語や英語のテストで点が取れない」という話であり、将来的に求められるスキルと喧伝されているのもあり、心配な方は多いようだ。
ちなみに読解が苦手な原因は、大きく分けて2つ。単純に言葉を知らない場合か、ワーキングメモリが弱い場合か、である。
前者は言葉を増やすことで爆発的に伸びることもあるらしく、小学4~6年はそういう話をチラホラ聞く。
一方、後者は少し厄介だ。ワーキングメモリとは短期記憶能力のことであり、複数の情報を一時的に脳内に置いておく力と言える。
読解問題とは、どうしてもマルチタスクを強いられる。解答の条件、段落のまとめ、指示語が指す内容等々・・・。
そしてこのワーキングメモリは、多少なら鍛えることが可能と言われるが、基本生まれ持ったものの要素が大きいらしい。それが全てなら、救いが無さ過ぎる。
ーって言うのを踏まえた上で、最近読んだ論文に書いてあった方法が、完全に理に適っていると感じた次第。
それこそがタイトルにある、【段落解き】である。そして生徒に実際に試してみたのだが、なるほど確かに効果的であった。
今日はそれの簡単なレポートを書いてみる。
【段落解き】とは?
参考にした論文はコチラである。(R)
簡単に内容を言うと、【読解に困難を示すのは、ワーキングメモリが弱いためでは?】という考察と、【それに配慮したケアを探る】という調査、という感じである。
対象となった生徒は、ADHDと自閉症傾向の診断を受けた小学6年生の男子生徒1名だという。全19回のセッションを通じて、生徒に伝えられたことの詳細は以下の通り。
①文章を短く区切って、その都度問題を解かせる。また、それが自分でできるよう指導する。
(負担を減らすため)
②生徒がミスをするパターンを書いたリストを作成し、目に入る位置に置いておく。
(ミス発見のため)
③本文にある難しい言葉を解説した教材を別途用意。
(語彙力向上のため)
ーってのを踏まえて全19回のセッションが終わったらどうなったのか?これがまた凄いのだが、
正答率が大幅アップ!また、ミス率は大幅ダウン!
語彙力も向上!
ただ、セルフチェックの習慣はあまり身に着かなかった・・。
https://www.nipec.nein.ed.jp/kyouiku-db/haken-shuusi/h29/1.pdf
という具合。そういえば段落ごとに問題を解くという方法は、東進の出口先生も板野先生も提唱していた方法ですなぁ。
ーこれを踏まえると、ちょっとした仮説がみえてくる。
元々得意だろうが苦手だろうが、読解問題は段落ごとに整理して解く方が正答率が上がるのでは?
・・・実際、僕は読解が比較的得意だが、全部読んでから一気に解けと言われたら、絶対に出来ない。それは英語も国語も同じである。
センター試験の現代文も英検1級も、段落ごとに内容を確認し、問題を解いていた。そのやり方で、それぞれ85%くらい取れたので、間違ってはいないのだろう。
そしてこの段落解きは、英語が苦手な生徒程、実践した方がいい。ただし、こちらのアプローチは、少し国語とは異なってくるので、解説を入れたいと思う。
英語の読解初心者は、基本超ミクロ視点。
英語の読解力を高めるためには、単語と文法の知識がまずはマストと言われる。確かにこれは、スポーツで言えば超基本動作に等しいので、やらない手はマジで無い。
だがそこで終始すると、実は結構早い段階で読解能力が頭打ちになる。単語や文法にこだわるあまり、視点が超絶ミクロになってしまうためだ。
例えば【えっと、『expect』は「予測する」だから・・・】という風に、単語を一度日本語に落とし込まないといけない生徒は、脳にかかる負担が人の数倍大きい。
結果、1~2行前の情報すらきれいさっぱり頭から消えていくという現象が発生するのだ。
そのため英語の読解力を高めるためには、単語・文法に加え、さらにトレーニングが要る。
有名どころはやはり音読である。音読学習は語学全般で効果的という研究は、それこそ山のように出てくるほどだ。
しばらく続けているとわかるが、音読学習を続けると、いちいち脳内で英語にしなくても意味がわかるようになってくる。英語を読むことの負担が軽減されていくのだ。
そうすれば、「余裕」が生まれるので、「書いてある情報は何か?」といった部分にだんだん目が向けられるようになる。まずはここを目指したい。
では、指導する側としてできることは何があるのか?これまた、「効果的な読解戦略を用いた、読解力向上について」というヒントになりそうなレジュメがある。
これを参考にすると、指導者が授業を通じて、生徒に伝えたい目線や戦略は、以下の通りであった。
①見通しを示す
→なかなか難しいが、例えば開始時に「8割取れたら〇〇高校」といったラインを伝える感じか。
②イラスト化
→難解な概念をイラストや図形を使って可視化する感じ。ただし講師に絵心が無い場合、あまり使えない・・。
③つながりを示す
→例えば「it」が何を指すのか、登場人物の間柄は何か、等。これが自動的に処理できるようになったら、英検2級はカタい。
④要約
→必要な情報のみ絞って、黒板か何かにまとめておく。⑤の戦略と併用すると尚良し。
⑤発問
→腕の見せ所。代名詞が指す内容、出来事の時系列、登場人物の感情などなど、答えのヒントになる要素を片っ端から当てる感じ。④と併用すると尚良し。
⑥推測
→おそらく未知の単語や、本文に書いてある概念を、自分が持つ経験や語彙から推察させる訓練のこと。大学受験で求められるレベル。
―これらをアドリブで行うのは無理ゲーだ。僕も慢心せず、 準備をきっちり重ねたうえで、夏季講習などは授業に当たりたいと思う。
さて。こういった教えを通じれば、生徒の読解における視野は格段に広くなるが、それでも5~6行ずつの理解が限界だと思う。
公立高校や英検の過去問が使いやすいと思うのだが、段落ごとにきちっと問題が作られたテキストを活用し、国語より短い区切りで、生徒に取り組ませたいところである。
終わりに。
そういえば、生徒に試した結果を書いてなかった。ざっくり言うと、以下の通り。
①もともと得意な子は、正答率据え置き。
②しかし超国語苦手な子は、正答率が格段にアップ!!
③全員所要時間が25%程度減少!!
てな具合である。ただし、序盤の問題なのに答えが最後の方にあったり、その逆であったりするような問題は、これだと対応しきれない。
そこは線引き読みを徹底させたり、戦略的に問題をパスしたりといったスキルが必要だと思うが、それは後追いで良いと思う。
参考になればありがたし。
では今日はこの辺で。