ジンをアクエリアス割ってみな、飛ぶぞ。起きてすぐゲ〇吐いた中元です。
これは3年前の話。いつも通り授業をしていると、突如外から、「最低賃金を上げよ!!!!」という、拡声器で大きくなった声が飛んできた。
いわゆるデモ活動である。窓から生徒とみてみると、100人近くの人が帯状の何かを持って、交差点を縦断しているのが見えた。
すると飛んでくる、当然の質問。
「給料上がったらみんな嬉しいのに、確かに何でなかなか上げないんだろう?」
ー純粋だが、答えるのは難しい。皆様ならどう答えるだろうか?それを踏まえて、以下僕の返答である。
実は”みんな”嬉しくはない。
最低賃金が上がれば皆幸せ。実はこの考え方からかなり、ダウト。
例えば、吉野家の牛丼並盛一杯分の売り上げで、何を賄っているのかを調べたページがある。
牛丼の原価|これを知ったら牛丼業界の破たんが目の前だと知る | 原価を知ったら見方が変わる!?表に出ない裏情報
これによれば、380円のどんぶり一杯で、114円分の給料が生まれるそうなのだ。
そして、飲食店のアルバイトの平均月収は、個人差と地域差が大きすぎてアテにならないのだが、4万~8万くらいに収まっている印象だ。
ーでは、この状態で最低賃金が倍近くアップしたらどうなるだろうか?労働者は給料が上がるから嬉しい・・と短絡的に考えていいのなら、既にそうなっている。
この場合、考えられる可能性は2つ。雇用を削るか、商品の値段を上げるか、である。
しかし、牛丼の味も量も何も変えずに値上げしたら、たぶん客足が遠のいて結果利益が減り、給料が払えなくなる。それどころか、最悪潰れる。
だから大抵は、雇用を削るという風に舵を切るケースが多いだろう。この場合、アルバイトに就ける人の数が、シンプルに減る。労働環境も悪化するだろう。
そしてどちらにせよ、稼ぎたいのに稼ぐ場が減るという意味では、実は労働者も損をしていることになる。
打ち出の小づち的な理論は素晴らしいが、世の中はそこまではシンプルにできてなさげと見て間違いない。
グローバルな目線からも考えられるよ。
実は日本人の賃金がなかなか上がらないのは、グローバル化した経済の動きを考えると、至極当然な【現象】だともいえる。
中3で習う需要と供給の関係を覚えているだろうか。需要の方が多ければ値段が上がり、供給の方が多ければ値段が上がるあれだ。そして均衡価格に、それは落ち着く。
この現象は、今やカネ・ヒト(労働力)が国をまたいで移動できるようになった今、世界規模で見ることが可能である。
例えば世界の統計2021を参照すると、日本人が稼ぐ平均の月収は、フィリピン人やベトナム人の10倍以上開きがある。*1
これを逆に考えると、フィリピン人やベトナム人は、日本人の1/10の値段で雇えることになるワケで。
そして同じことは、シンガポールも韓国も中国も考える。だから、フィリピン人やベトナム人の労働力としての【需要】は、ガンガン高まっている可能性が高い。
実際、そもそも国が豊かになりつつあるといった別の要因もあるだろうが、乱高下を繰り返しつつもベトナムの月収はじわじわと上がりつつある。
一方、日本の平均月収の動きはこんな感じ。(表示が少しバグっているけど)
ほぼ横ばい、何なら若干減少傾向という具合だ。
つまり世界的な圧力として、日本はそもそも賃金が上がりにくいという状況下にあることが、データでもうすうす感じ取れるワケで。
アジアにはまだまだ安価な労働力市場がある以上、日本人だけが抜け駆け的に給料が高いまま行くことは難しいと思える。
―これを理解出来た生徒は、今のところほぼいないんですけどネ。
終わりに。
ってことで、身近な疑問にして、「確かに」と思えるけれど、理由を聞いたら聞いたで「確かに」と思う不思議なテーマだと思う。
僕は別に自分でお店はやっていないけれど、やるとしたら「給料、現状のままならゴメンけど上げたくないなぁ~」と、経営者なら思うだろうなとは強く感じる。
ちなみに、ではどうすればいいかという話だが、今の世は『副業』を通じて別の稼ぎ口を設けておくのがベターだとされている。
これもあって、僕は自由研究で「お金を稼ぐ」ってのをやってみればいいと、結構積極的に生徒に伝えている。今のところノッてくれる生徒は少ないけれど・・。
では今日はこの辺で。