精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

「完璧なモノの提供か、修正ありきで伝えるか」僕らの授業と【アップデート主義】について考えてみた。

普段の始業時間から3時間も早い出社が明後日まで続きます。朝日のきれいさを再発見して嬉しい中元です。

 

はい。今日は、【We are lonely, but not alone】を読み直していて、ふと心に残ったキーワードについて、ちょいと書いてみようかなと。

 

元々この本はコミュニティ論を理解したくて購入し、3~4回読んでいたはずなのだが、今日引っ掛かった語句には、今まで意識が向くことがなかった

 

それは、【アップデート主義】というものだ。そしてこの考え方を自分の授業に取り入れることで、何かが化けるかもという予感さえしているわけで。

 

ってことで早速細かく書いていこう。

 

 

そもそも【アップデート主義】とは何か?

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この本の最後には、著者と編集者の対談が載っているのだが、その一部はなんと普通に公開されている。

minohen.com

 

その中から、【アップデート主義】に関する部分を引用してみよう。

 

「納品主義」と「アップデート主義」という考え方があります。

 

一度で完璧な情報を伝えるのが「納品主義」だとすれば、不完全でもまずは伝達し、そこから修正を加えていくのが「アップデート主義」です。

 

という感じ。もっと言えば、一度納品、発信してからも、改善を続けることがアップデート主義という話だ。

 

―ところで、インターネットがここまで発達する前の世の中は、圧倒的に納品主義であった。完成した商品が世に出て、しばらくはそれが生き残る。

 

しかし今や、世の中の変化のスピードが急激に上がった結果、どうしてもアップデート主義を取らざるを得なくなっているのが現実ではないかと思う。

 

ハードウェアにおいてこれを行うのは難しいが、例えばどのゲームタイトルもダウンロードコンテンツが一定間隔で追加されるように、もはや自然の流れになりつつある

 

・・・そう考えると、教えるべき単元が何十年もさして変化していない【教育】という分野って、時代を考えればかなり異質なのではという気さえしてくる。

 

例えばとある単元の授業を念入りに作り込んで、かつ詰め切っておけば、断言するが何年も同じままで使いまわすことができる。まさに【納品主義】と言える。 

 

世の中の激動によって生まれた技術や価値観が【教育】においては大体相容れないのも、そもそも性質がまるで違うからだと考えれば納得である。

 

―という話を書くと、「じゃあ【アップデート主義】を塾とかで活かすのって無理じゃね?」と、確かに言われそうではある。

 

しかし、考え方そのものは、僕は非常に大事だし、何ならそのまま流用可能だとさえ感じているわけで。

 

ってことで、もうちっとだけ詳しく説明していきますぞ。

 

【納品主義】で成績を上げるのは難しい。

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これを考えるには、人間の脳の厄介な特性を知っておく必要がある。

 

まず、ラーニング・ピラミッドという図で示されている通り、僕らは一方的な情報の伝達に非常に弱く、そのほとんどを定着させることなく受け流してしまうのだ。

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最近よく見かける ” ラーニング・ピラミッド ” について | 中学校の社会科の授業づくり

 

しかも記憶の定着のためには"復習"がマストなのに、僕らは同じ内容を繰り返し学習することに、強く"飽き"を感じやすいという習性もある。

 

何度も教科書を読んでも全く頭に残らないのは、その本人の理解力が足りないのではなく、そもそも人間の脳はそうなっているから、というのが身も蓋もない理由なのだ。

 

―では、これを防ぐにはどうしたらいいのか?そのためにはやはり、同じテーマを、様々な刺激を使い、何度も生徒に触れさせるしかない

 

さて。これを考えると活きてくるのが、先ほどの【アップデート主義】である。

 

例えば「不定詞」の授業をするとしよう。まずは当然、その基本的な文法・意味を確認し、残った時間でテキストの問題を解くことになる。

 

だが、たとえ復習のためとはいえ、次の週に同じことをしても、生徒はきっと飽きを感じ、頭に定着させることなく聞き流すのがオチである。だから、刺激を変えたい。

 

冷静に考えれば、「不定詞」一つとっても、その使い方、問われ方は色々ある。リスニングもそうだし、過去問の出題例もそう。長文に使われることも多い。

 

自由英作文や整序英作文でも人気だし、さらに言えば音読学習などで確認したって良い。大事なのは、刺激を変えることである。

 

一度授業を完成させて、それを使いまわせば、もちろん仕事はラクになる。しかし結果、それで生徒がトクをしないとなれば大問題である。

 

ちょうどいい落としどころは、【納品主義】のつもりで授業を作り込み、2回目3回目は【アップデート主義】を念頭に工夫する、という感じじゃなかろうか、と。

 

僕も今一度、同じ話は二度としないくらいの心掛けで、自分が作ってきた授業内容について考えてみようかなと思う。

 

終わりに。

 

ということで、授業が1つ飛んだ結果暇になったので、色々と思い巡らせることができた。

 

僕がプレイヤーとして授業をする側でいられるのは、もうそこまで長くないとは思うけれど、それまではちゃんと真面目に考えたいテーマだなと感じるわけで。

 

ってことで今日はこの辺で。

 

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