昨日は全休、今日は半休。本来これが僕のシフトなのですが、何か月ぶりかわからないこの時間の多さに、幸福の度合いが半端ない中元です。
はい。最近なんか知らないがまた読解の速度が上がったようで、ここ数日は今までになくサクサクと読めるようになった。
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おそらくしれっと、上巻の内容は読み切ったと思う。つまりここからが下巻なのだ。いやはや。やっとか。
ってことで、以下今週の内容である。
- 4月11日(月) 問いから問いへ
- 4月12日(火) 小規模なパラダイムシフト
- 4月13日(水) みんな脇役で、みんな中心。
- 4月14日(木) 天才が認めた誤り
- 4月15日(金) 火蓋
- 4月16日(土) 火種
- 4月17日(日) コスモからアトムへ
4月11日(月) 問いから問いへ
ハッブルらの発見により、宇宙は静的なものではありえないという論調が強まった。しかし地動説の登場と同じように、それを忌避する勢力も大きく、論争になった。
定常不変の宇宙しかありえないだろ!宇宙に始まりがないとか、ありえないだろ!・・こういったバチバチの舞台に、ハッブルはどう臨んだか?
「好きに話せばいーじゃん」とばかりに、そんなことには取り合わず、代わりに、社交界での交流に時間と熱意を割いたのだという。(天文学に加えて)
こうしてフリードマンやルメートルが指示した宇宙モデルと、アインシュタインが提唱した宇宙モデル、この2つが時を超えて、遂にぶつかるときが来たのであった。
余談だが、ハッブルは墓を希望せず、埋葬地も完全に秘匿にしたらしい。その妻も場所を最期まで語らなかったため、ハッブルは地上のどこに眠るか、不明だという。
まさに、地球と一体化したような状況。天文学者の行きつく先として、究極の終わりではなかろうか。
4月12日(火) 小規模なパラダイムシフト
19世紀の終わり頃。エーテルの存在を否定することになる実験を行ったマイケルソンは、講演の中で、「もう人類に未知の分野はない」という趣旨の発言をした。
しかしその後数年足らずで、例えば原子という概念が誕生し、分析され、新たな分野として花開くことになった。人類の英知の限度は、そもそもあるのだろうか?
そうやって知覚の限界が押し広げられていくと、かつて否定された先進的な説が、「合ってるんじゃね?」ということで表舞台に再登場することがある。
それが、フリードマンとルメートルが唱えた「膨張する宇宙」である。フリードマンはすでにこの世を去ったが、ルメートルは存命であった。
大規模なパラダイムシフトはそうそう起きはしないが、小規模なそれは、知らぬ間にちょこちょこ起きているものなのかもしれない。
例えば、牛乳を飲むと背が伸びるという俗説が、いつの間にか淘汰されて消えたのと同じように。
何かに固執することなく、知らないことを楽しめるような自分であり続けようと、改めて思った。
4月13日(水) みんな脇役で、みんな中心。
膨張する宇宙のイメージとして用いられていたのは、膨らむ風船である。銀河や星は、だだっ広い【空間】をランダムに飛んでいるのではない、という意味だ。
いわば、風船の表面に打たれた点と同じである。風船が膨らめば、点と点の距離が延びる。地球から銀河が遠ざかるのは、それに似た状況なのだという。
となれば、大昔に地球を席巻していた説が、むくりと鎌首をもたげてはこないだろうか?
「すべてが地球を中心に離れていくなら、やっぱり地球こそが宇宙の中心なのだ!!」
ちなみにこれは、言葉のアヤだ。どの点をとっても、それを中心と考えれば、そこから他の全てが遠ざかっているように見える。それだけだ。
みんな中心だけど、みんな脇役。なんか不変の真理をまた一つ、宇宙から学んだ気がしている。
4月14日(木) 天才が認めた誤り
しばらく天文学から遠ざかっていたアインシュタインだが、ハッブルによる新たな観測によって、再びその世界に関与することになる。
科学には理論と観測がセットで必要なのだが、アインシュタインはゴリゴリの理論家だ。数学と物理学を組み合わせ概念を創り、それを予言する。
しかし、それが絶対に正しいかどうかは、観測されなければ認められない。秩序だった美しい理論も、観測一発で粉々にされることもあるのだ。
さて。そんなアインシュタインだが、かつて定常不変な宇宙を前提とするあまり、"宇宙定数"という謎の定数を加えたことがある。
これを使えば、相対性理論と、定常不変な宇宙が矛盾することなく成り立つという定数なのだが、これは言うなれば小手先の、その場しのぎの一手に過ぎない。
それをずっと気に病んでいたのもあり、アインシュタインは遂に、かつて非難したルメートルによる膨張宇宙論を、改めて認めると宣言するのであった。
4月15日(金) 火蓋
当然、それだけでルメートルの理論が広く受け入れられるわけもない。まずその根拠には、ある種重大なギャップが潜んでいた。それは宇宙の年齢だ。
ハッブルが算出した宇宙の年齢より、実はさらに古いとされる岩石が、すでに地球から発見されていたのだ。地球の方が宇宙より古い?そんなの、ありえないではないか。
まずはそれで根拠に致命傷を与えつつも、野次馬と違い、批評するなら代案を持ってこなければならないのが科学の世界だ。
その先駆者が、フリッツ・ツヴィッキーという風変わりで毒舌な科学者であった。僕は理解できなかったが、赤方偏移には別の説明ができるという論を提示したのだ。
ーこうして、対抗勢力が対抗勢力を生み、お互いに自分の論を確固たるものにする証拠を探し、相手の論を破壊する観測を行おうと躍起になり・・。
当事者たちからすればもはや戦争なのだが、科学そのものの水準が一気に高まるシーズンが、いよいよ始まっていくのであった。
4月16日(土) 火種
新勢力たるルメートルの理論と、旧勢力になりつつある定常不変な宇宙論。いずれにしても、攻撃材料にも擁護材料にも乏しい状態であった。
どちらも現実世界を説明するという意味では、理論として完璧だ。問題は、本当にそうなっているのか、である?
例えば、なぜ地震が起きるのかを考えてみる。地中にあるプレートがズレた反動というのも説だし、地中に存在する超巨大ナマズが暴れるせいというのも一説だ。
どちらも地震のメカニズムを説明する理論としては成り立っている。だから必要なのは、プレートのせいか、ナマズがいるのか、観測することである。
かつてアインシュタインの理論を裏付ける観測を行ったエディントン氏は、ここである本を書いたのだが、つまりそれは、「もっと証拠を集めよう」的な内容だったという。
火蓋は切られたし、火種もあるのだが、あとは技術が進歩するのが必要。そんなフェーズに入っていくのであった。
4月17日(日) コスモからアトムへ
宇宙へのアプローチは、当然ながら非常にマクロな話から始まった。肉眼での観測、望遠鏡でのそれ、そして相対性理論による重力の説明。
果ては巨大な望遠鏡で遥か彼方の銀河を探り、分光器で惑星の抗生物質までをも理解する、と。
だが今、ビッグバンモデル(まだその呼び方ではないけど)を確固たるものにするために浮上した謎は、極めてミクロな世界の話なのだ。
その謎とは、あまりにも極端な元素の比率である。なんと水素とヘリウムだけで、宇宙に存在する元素の99.9%が占められてしまうのだ。
宇宙が凝縮された一点から始まったのであれば、この偏りはなぜ生まれるのか?これには当然、科学のさらなる理解と発展が必要なのであった。
ということで今週はこの辺で。