休みの日に「なんもしてない!!」という不安を抱きやすいあの現象を解決するためには、休日だろうがやるべきことリストを作るといいですよ。中元です。
はい。なぜか最近、この洋書を読む速度が上がったことを感じている。
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単純にテーマが自分にとって理解しやすいところになったのか、それとも地力の部分で何か向上するものがあったのか。どちらにせよ、うれしい話だ。
ということで今週もゴリゴリと読み進めていきましょう。
- 4月25日(月) つながりゆく歴史
- 4月26日(火) 理≠数
- 4月27日(水) 洒落の犠牲者
- 4月28日(木) ミッシング・リンク
- 4月29日(金) 気体・液体・固体、そして。
- 4月30日(土) 超バラバラな世界。
- 5月1日(日) 理解されない孤独。
4月25日(月) つながりゆく歴史
アメリカに到着したガモフは、あることに気が付いた。それは、自分以外に、原子学を研究する人間がいないことであった。
この理由は、秘密裏にマンハッタン計画が進められていたことが大きい。原子の分野に精通する科学者は、既に一か所に集められ、原爆を生む研究に従事していたのだ。
だがガモフは、別の国から逃亡してきたという背景があり、召集のリストからは漏れたと考えられた。(実際この頃、ソ連ではガモフの死刑が宣告されていたらしい)
協力を得るのが極めて困難な状況下で、彼は如何にして奮闘したのか?いろんな意味で楽しみになってきた。
4月26日(火) 理≠数
ガモフには、ある弱点があった。それは、計算が苦手ということだ。なんというか、めちゃ意外なのだが・・・。
当然、宇宙誕生の頃の原子の動きを考えるなんて、莫大で煩雑な計算作業そのものである。(実際、本文でもみたことのない形容詞で表現されていた)
気が狂いそうな量の苦手なことに挑むことになり、ガモフはどんどん消耗していったという。そんな彼は、計算を得意とする秀才に出会い、救われることとなった。
それは、同時学生だった、ラルフ・アルファーである。そしてこれにより、ビッグバンモデルはまた一つ、大きな一歩を踏み出すのであった。
4月27日(水) 洒落の犠牲者
ガモフとアルファー。この二人の共同作業は何年も続き、時には酒場でも議論を戦わせ、そして着実に理論の構築へと向かっていったようだ。
そしてついに提出すべき論文が完成したところで、今考えると”奇行”にしか映らないことを、ガモフ氏がやってしまうのだ。
それは、まったく関係のない大家、ハンス・ベーテの名前を論文に加えるというものだ。
共著者名で、皆が『α(アルファー)・β(ベーテ)・γ(ガモフ)』を連想すると面白いだろう、というのが理由らしい。
日本語で言うとなんだろうか。松本さんと梅本さんが書いた論文に、「松竹梅にしよう!」ということで、まったく関係ない竹本さんを共著者にする感じかな。
面白い洒落ではあるのだが、肝を冷やしたのはアルファーである。なぜかというと、ガモフは大家、ベーテはもっと大家、なのにアルファーはまだ、一学生だったからだ。
こんな高名な二人に挟まれたら、自分の貢献は薄らぐどころか、立ち消えになる。博士号取得直前のタイミングでもあり、アルファーはかなり焦ったそうだ。
不幸なことに病気も発症しながらも、なんとかその試験をパスし、その取得にはこぎつけたそうだが、1990年代まで、彼はガモフのこの行為を恨んだのだという。
ウィットに富んだ偉人の話はよくあるのだが、そういえばその裏には大体被害者がいるよねということも、ふと気づかされた逸話であった。
4月28日(木) ミッシング・リンク
とはいえ、論文が通った瞬間からビッグバンモデルが受け入れられるほど、甘い話はない。やはり指摘されるのは、致命的な欠陥に当たる部分だ。
実はアルファーとガモフの論文にもそれはあり、例えばヘリウムと水素以外の元素がなぜあんなにも少ないのか、説明が不十分であることもそう、らしい。
彼らの次の仕事は、その批判に答えるべく、さらに論を補強していくことである。そのために当時最新鋭のコンピュータを導入するなど、さらに研究は進んだ。
しかしぼちぼち、定常宇宙モデルの陣営からも、有名なお方が登場する頃だと思う。そろそろ二大勢力時代の始まりだ。楽しみに待ちたいと思う。
4月29日(金) 気体・液体・固体、そして。
理科の授業では、あらゆる物質は「気体・液体・固体」を形取る、みたいなことを聞いた。しかしどうやら、もう1個上のモードがあるという。
それはプラズマだ。超高温の世界では、原子がばらばらになるらしい。つまり、電子だのなんだのが、気体以上に自由に動き回れるということといえる。
ビッグバンの直後は、まさにこの状態だったという。あらゆるものが想像を絶するほどバラバラになり、そして安定した元素へと結合し、まとまっていったという。
その結果が、宇宙に極端に分布する水素とヘリウムの比率に結び付くという仮説が、ビッグバンモデルの根幹だとされていた。
ただし今日は二日酔いで死にかけなので、これ以上は読めず。また明日の自分に気体。・・・じゃなかった、期待である。
4月30日(土) 超バラバラな世界。
アルファーによる別の論文は、理論上正しくビッグバンの存在を定義することができるものだった。
しかしこれは、主に2つの理由で、ほぼ完ぺきに無視されてしまったのだという。まず一つは、自分たちの都合のいいように数値を入れたと思われたから、だ。
プトレマイオスとかが登場した時代にもあったが、要するに現実に合うように数値の方をちょろまかす事例は過去いくつもあったので、今回もその一つというわけだ。
では、観測さえできればいいのではないか?実はここに、2つ目の理由がある。原子学と天文学の両方に秀でた人など、当時はほぼ皆無だったからだ。
こうしたまた一つ、後代へと問題が託されようとしていた。大抵先進的な論文の登場には、無理解と反発が付いて回るのは、世の常なんだと改めて思わされた。
5月1日(日) 理解されない孤独。
論文の発表からさらに数年、証拠となるCMB(宇宙マイクロ波背景放射)さえ見つかればこの論調をひっくり返せると、アルファー、ハーマン、ガモフの三人は奔走した。
しかしコミュニティの中では圧倒的に定常宇宙モデルが優勢であり、そんな状況下で、あるかないかもわからない証拠を探す人間など、皆無であった。
結果、このチームは解散を余儀なくされ、ガモフは分野を転向、ハーマンとアルファーは大企業の研究職というポストを得て、この研究から引くこととなった。
ーと同時に、ビッグバンモデル最大のライバルにして常識とされた定常宇宙モデルに、さらなる立役者が登場することになり、一層強固な論として台頭することになる。
その立役者とは、フレッド・ホイル。幼き頃から神童ぶりを発揮し、両親の会話とやり取りだけで、時計の長針と短針、さらには時間そのものの意味さえ理解したという。
そんな彼は、激烈なビッグバンモデルの否定派でもあるのだが、一体どのような役割をこの論争の中で果たすことになるのか?
こっからさき、結構楽しみである。
では今週はこの辺で。