目の前を飛んでいたコバエが、スプレーを持ち出した途端に姿を消したことについて、謎の尊敬を抱いている中元です。
はい。いよいよ今日から夏休みという学校が増えてきた。大量の課題が出される中、ひときわ生徒たちの手を煩わせるものがある。【読書感想文】だ。
なぜ読書感想文が手を煩わせるのかというと、その書き方を教わることがまずないという現実が主な理由だと感じている。
どう書けばいいかもわからない、好きな本を読んで、好きなことを書けってこと?という疑心暗鬼のまま筆を進め、提出したら「なってない!!」と怒られる、みたいな。
そりゃ、読書感想文代行のようなクラウドワークスも売れますわな。(値段次第では僕だってやりたいくらいである)
てことで僕は生徒がそんな悩みを吐露するたび、読書感想文を比較的"ラクに早く終わらせるコツ"を10分程度授業するようにしている。
その評判がそこそこいいので、何を教えているのか、一旦棚卸しておこうと思う。てことで以下、本編である。
作文に限らず、何かを記述するならば知っておきたい前提。
恥ずかしながら、僕も大学を卒業してだいぶ経ってから気づいたことなのだが、小論文・作文の書き方には、ある種の基本たる心構えがある。
それは、「資料収集とその取捨選択、そして構成を考える時間がほぼ全て。書くのは最も時間を使わない部分」というものだ。
そしてこの考え方は、記述という形式の何かでさえあれば、普遍的に通じるものだという。国語の読解問題における記述式の問いもそうなのだ。
要するに、書きながら考えたり、とりあえず筆を走らせたりするのは愚の骨頂という話なのだ。そりゃあ、途中で鉛筆が止まっても無理はない。
まずは材料を集めること。そして構成を考えること。ある程度形が決まったら、初めて文字に起こしていく。
最近これを口喧しく伝えるようにしたら、生徒の記述も安定してきたように思える。基本的だが、意外と盲点になっているのではと思える。
・・・ということで、読書感想文を書く際も、この考え方をちょいと拝借すれば、自然と求められる文章を書けるようになる、ともいえる。
では以下、いよいよ詳細に、コツ(大袈裟)を書いていこう。
読書感想文をラクに早く終わらせるコツ。
1.まずは全体を一読する。
まずは自分が読書感想文を書くと決めた本を一読することを強くオススメする。内容を覚えながら読もうとか、そんな気合は要らない。ただざっと目を通せばいい。
目安は2~3日で読み切ることかなぁ、と。読書が苦じゃなければ、1日で目を通すのもアリ。大事なのは、とにかくざっと読むことである。
そもそも大人になっても、何が書かれているか未知の本やコンテンツについて、読んだり観たりしながら感想を述べることなど、無理ゲーと言えないだろうか?
ここをめんどくさがると、はっきり言って後半が倍めんどくさくなる。先行投資だ。目を通そう。
2.メモを取りながらもう一周する。
次の作業は、メモを取りながら再読することである。基準はかなり抽象的だが、「自分の琴線に触れたもの」とか、「似た体験談を持つもの」を選べばいいと思う。
例えば【人間失格】であれば、僕の場合だと、「自分の抱える闇を人に与えたらその人は死ぬ」「内に秘めた憂鬱を隠し、他者に対し道化を演じる」的な部分を選ぶと思う。
そして書き方だが、僕は単語にしたり、短文に書き直したりして、付箋か何かに残すようにしている。まぁ、好きなやり方で書いておけばいいでしょう。
大事なのは、本文に書いてある情報を、きちんと取り出しておくことである。ここをサボると、何を言っているのか意味不明な感想文になるので、ちゃんとやろう。
3.メモを参考に、構成を考える。
さて。実質ここがメインのステップである。ここが終われば、あとはただ文字に起こすだけになるので、気合を入れるとしたら、マジでここだ。
素材の状態のまま、文章の構成を考えること。それがこの段階の目的である。ちなみに構成と言えば大仰だが、大体は以下のテンプレをベースに考えればOK。
結論(つまり自分が抱いた感想)
→その感想を抱くきっかけになった記述・場面
→その感想にまつわる自分や他者の体験談等(あれば)
→改めて結論と、それを踏まえて今後の人生をどうするか(書ければ)
実際、こないだ読んだ本をベースに僕が読書感想文を書くとすれば、多分以下のような構成になる。
本:大局観
膨大な努力と冒険を重ねつつも、全体を俯瞰することと、時にはそれらを切り捨てることの重要さを学んだ
→「ただの一手にも、その水面下には膨大な思考がある」+はた目からみても、いったいどれほどの努力が隠されているかは見えない
→自分がみても、授業が上手であったり、勉強ができたりする人は、才能のみならず莫大な努力をそこに重ねていることがほとんど
→知識を得続けることはもちろん大事だが、それによって過信せず、まして消極的にならず、あらゆる可能性を考えつつも、時には大胆に捨てることが大切
+そのためにもリスクを恐れず、色々なことを勉強したり、挑戦したりしたい
・・・めちゃくちゃ適当ではあるが、これをベースに今から2000字くらい書けと言われれば、多分30分くらいでタイピングし終わると思う。
全体が見えることの安心感は、あるとないとじゃ天と地ほど違うのだ。だまされたと思って、一度書き出してみてほしい。
4. 清書する。
最後は取り立てて言うことは無い。自分が出せる最高のクオリティで、文字にしていくだけだ。実際、掛かる時間的には、一番少なくなると思われる。
―一応それだけだと雑過ぎるので、ちょっとした小技をお伝えする。
まず、ざっくりした構成を決めたら、清書までは、できれば1~2日空けた方がいい。(いわゆる原稿を寝かせる時間ということですな)
こうすることで、自分が書いた文章の中にある、矛盾であったり蛇足であったり、色んな点に気付くことが容易になる。不思議な習性だが、そういうものなのだ。
もし1日さえ空けるのが難しい場合であっても、せめて15分くらいは他のことをしてから清書に移ることをオススメする。
ちなみに、さらにクオリティを上げるためには、清書したものを翌日に再度確認するといい。そうすればさらに書き直したくなる箇所が出てくることは請け合いだ。
ってことで手短にまとめてみたが、どこかしらに参考になる箇所があれば嬉しい。では今日はこの辺で。