たまに早起きすると、昼頃にテンションが鬱になります。不思議な生き物、中元です。
はい。初めての伝記にも段々慣れてきて、ページ数で言えば毎日2~3くらいは安定するようになってきた。
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挿入句に強くなると、英検1級の長文でも読み易さが変わってくると感じるので、このトレーニングはかなり大切だと感じる。まぁ、もう二度と受けないけど。
そしてアメリカという国が抱える背景や、選挙・政治という世界のリアルな姿といった内容が面白いのもまた、嬉しい。
今週も色んな学びが得られることを期待しながら、ページをフリックしていこうと思う。では以下、本編である。
- 10月24日(月) 地盤
- 10月25日(火) スピーチ開始
- 10月26日(水) スターの考え方
- 10月27日(木) 切れ味鈍い批判
- 10月28日(金) 大統領選開始
- 10月29日(土) 候補者たち
- 10月30日(日) 選挙戦の要
10月24日(月) 地盤
支持を得て、選挙での勝利を果たしたオバマ氏であったが、強敵はまだまだ存在している。カギはやはり、判断保留状態の層をどう取り込むか、だ。
そしてこの保留層のサポートを得るために必要なのは、感情を揺さぶり、同志として認識してもらうこと。最後の最後はやはり、ウェットな部分が大事なのだ。
―ところで、彼の大学時代に縁ができ、当時支援を行っていた人に言わせれば、彼の課題は”レトリック”という点だったらしい。要は、心を動かす言葉の使い方だ。
アメリカにおいては、過去錚々たる名演説の達人がなお連ねている。「I have a dream.」という有名なそれを、聞いたことがある人も多いだろう。
あのレベルになって初めて、人の心を揺さぶる。判断保留の人にジャッジを行ってもらうことができる。果たしてオバマ氏にそれはできるのか?
―その心配が杞憂だったことは、間もなくわかることになるのだが。
10月25日(火) スピーチ開始
スピーチが始まると、オバマ氏は彼の祖父や父親の話から語り始めた。ケニアで生まれ、夢と機会を得てアメリカに渡り、そして今ここに立つ自分に繋がる、と。
アメリカは自由のかがり火で照らされており、出身も、肌の色も、どこの混血だろうと、それらがまとまって”合衆国”なのだと、彼は力説した。
原文で読んでもパンチライン満載のスピーチであり、回りくどい表現技法等が無いからこそ、ストレートに色々な言葉が刺さる印象だ。
後に彼は大統領選や、広島に来日した際などにスピーチを数々行うこととなる。その話も出てくるのだろうなと、ワクワクする気持ちである。
10月26日(水) スターの考え方
オバマ氏の卓抜したスピーチによってか、もはや選挙戦の盛り上がりが萎えていくほどの大勝で、彼はイリノイ州のそれを終えた。
人々は驚嘆の思いでそのスピーチを評したが、ただ一人、そのリアクションに何の驚きも示さなかった人がいる。
それは、オバマ氏本人だ。彼は、「俺はグランドスラムをやってやるぜ!」という風に、スピーチによって状況をひっくり返すことを予言していたのだという。
「俺はレブロン・ジェームスだ!」ということも言っていたと伝わる。バスケは門外漢な僕だが、とんでもなくヤバいスター選手だということは知っている。
スターと評される人の考え方が垣間見えた気がした。圧倒的な努力量と才能を持っている人が最後に行きつくのは、自信すら超えた確信なのだろう。
プロセスを無視して、最終的なところだけ真似したらただの自己中だが、人生で一度くらい至ってみたい境地だと憧れてしまう。
10月27日(木) 切れ味鈍い批判
華々しい勝利を挙げたオバマ氏にも、やはり芸能ゴシップはつきものらしい。出身地や生い立ちを並べ立てて、ルーツに対し攻撃を仕掛ける記者もいたそうだ。
「アフリカ大陸から来た奴隷という出自を持たない時点で、黒人の代表というような顔をするのは違和感!黒人というには、彼は薄すぎる!」という風に。
―救いがあったのは、それに対する市井のリアクションだ。「So what?」という一言だったようで、意味はまさしく、「だから何?」である。
・・少し話が反れるのだが、ゴシップや悪口が好きな人の深層心理には、集団から弾き出されたくないという恐怖が潜んでいることが多いのだという。
人は本能的に(それこそサルだった頃から)そういう類の話が好きなので、あらゆる価値観がぐちゃっと混ざる学校のような場所だと、その話題を使えば排他はされ辛い。
皆の注目を集めたいから、ネガティブなニュースを流布する。この心理を理解しておくと、スルーしやすくなるのでオススメである。
ちなみに、同時に自己肯定感の欠如というもっと深い闇がその人に潜んでいる可能性もあるので、いずれにせよゴシップ好きはあしらっておくのが正解だと感じている。
10月28日(金) 大統領選開始
”オバマニア”という造語を生むほど、オバマ氏の人気や期待はイリノイ州での選挙後に高まったのだが、その状態でも大統領選挑戦の声明は、大きな驚きを生んだそうだ。
この挑戦は、リンカーンと同じイリノイ州で選挙に勝ち、そこから大統領を目指したという共通点があることも注目された。
ただし、リンカーンが持っていた経験値、カリスマ性に、まだオバマ氏は及ばないというのが下馬評である。そのため彼は、そこを埋めるための策に奔走することとなる。
オバマ氏がこの状況を表わすために引用した言葉は、キング牧師の一節、【the fierce urgency of now" (今の緊急事態)】だという。
訳すと謎に陳腐だが、「もう今、やるしかないんだ!!」という悲痛な叫びが聞こえてくるような言葉である。
家族との時間も犠牲にして、パトロン集めに奔走。暗殺の可能性すら指摘される、苛烈な大統領選挙が、始まった瞬間であった。
10月29日(土) 候補者たち
2008年の大統領選挙候補者たちは、こぞって経験豊かで、強大な支持基盤を持つ猛者達であった。そのどこに、勝機を見出せばいいのか。
実は一点、それらで及ばないオバマ氏にとって、極めて強い武器があった。それは、イラク戦争に、一人だけはっきりとNOであったことだ。
他の候補者はブッシュ政権時に、軍拡であったりさらなる長期間の侵攻であったりといった決断に対し、【是】という立場を表明していたという。
しかし、イラクが持っていると噂された大量殺人兵器(≒核)は見つからず、戦争の大義名分は失われ・・・というのは、皆様もご存じの顛末だと思う。
これを受けて、アメリカ国民も「この戦争ってなんだったんだ?」という不信感を強く持っていたらしく、その反動か、オバマ氏の支持が拡大することになったのだ。
望むのはまさに【Change】ということで、当時高校生だった僕も、この辺の光景は今でもしっかりと覚えている。
10月30日(日) 選挙戦の要
最終的にオバマ氏とヒラリー氏の一騎打ち状態になることは知っていたのだが、そこに至るまでの経緯、つまり他の候補者はいついなくなったかを、そういえば知らない。
本によれば、オバマ氏は白人・黒人コミュニティから、ヒラリー氏は高齢者及び女性労働者からの圧倒的支持基盤を集め、選挙戦を戦っていたという。
だが最終的に勝負を決めたと言えるのは、その両者の圧倒的な資金力だという。さらに言えば、ヒラリー氏を凌駕する資金力を、オバマ氏は有していたらしい。
結果、あちこちでキャンペーンを打てて、より効率的に、マスにメッセージを届けられたのもあり、その知名度に繋がったという話である。
余談だが、こういう話を書くと、「なんだ、カネの力かよ」という斜に構えたコメントをいう人たちを、年齢問わず聞くことがある。
昔の僕も似たようなシャーデンフロイデを発動させていたが、今はそういう浅い帰結で満足しないよう自分に対しては注意している。(人に対してはどうでもいい)
ここでいうカネとは、つまり支援の大きさを可視化したものだと考えた方がいい。汚いことをしているのではなく、支援されるような人だから、資金力を有せるのだ。
カネの力を使うんじゃない!という意見は、圧倒的ハンデをわざわざ背負え!というのと同じであり、多分失笑されるのがオチだ。
もちろん全部が全部、全て必要なお金という気もないが、目線として変に凝り固まらせない方がイイと思える部分である。
ということで今週はこの辺で。