いきなりなんだという話だが、僕自身の英語力は、単語の詰め込みと、英語の長文音読の繰り返しで、どうにかここまで高めてきたという自負がある。
だから生徒にもそのエピソードを説くのだが、特に音読の方が、やはりなかなか普及しない。そういうジレンマが、もう7年以上続いている。
もちろん中には積極採用してくれて、結果ン十点伸びた生徒も割といるのだが、僕が伝えたい層にはなかなか伝わり切らないのが実際のところだ。
だから授業後に僕が残って一緒に音読をする教室を開こうかとか、何か強制的な課題として出そうかと考えては、アイデアのまま消えてを繰り返している。
時間差で生徒の中に火がついて、結果僕の言わんとすることが伝わることもある。しかし時間が経つと、間に合わない状況の生徒もいる。
行ったり来たりでどうすればいいのかと考えていた折、ふと頭の中に浮かんだものがある。それは、「僕が生徒自身に努力を丸投げしていないか?」という問いだ。
そして冷静に、過去の自分が取り組んできた音読学習を振り返ってみると、それは僕が生徒に語っているのとは少し異なっているのに気が付いた。
具体的に言えば、思っていた以上に、丁寧なものだったのだ。どうやら、月日を経るうちに、僕は当初のやり方から少しずつ勉強法を変えていたようである。
では、初めの頃はどういう取り組み方をしていたのか。ここに大きなヒントがあると感じたので、昔使っていたテキストをしげしげと読みながら、思いを馳せてみた。
そして気が付いた。それがタイトル通りの話。「精読」って素晴らしいという、今さら過ぎる発見である。
以下、それについて書き殴っていく。
全ての始まりはメソドスとして頭に入れることからだ!!
僕が使っていたテキストとは、今も覚えているが東進衛星予備校の当時の映像授業、「安河内哲也の戦略英語解法」シリーズの白文である。
諳んじることはできないが、冒頭の数行を読むと、「あぁ、あの話か」と即座に思い出すことができる。それくらい、何十回と読み込んだ文章である。
最後の方は白文で読んでいたために忘れていたが、そもそも僕も音読の初めの方は、チャンクで区切られて、訳がすぐ下についていたもので練習していた。
イメージはこんな感じだ↓
I 'd like to visit/ Australia/ to go fishing.
私は訪ねたい/オーストラリアに/魚釣りに行くために
まずはこれをすらすらと、つんのめらずに読めるようになったら、白文へ移行する。もちろん白文だとまた詰まるようになるので、訳を適宜確認しながら、音読を重ねた。
そしてそれらの自学の前には、映像授業を通じて、本文の解説は受けている。さらに言えば、予習してから臨む形式の授業だったので、自力で問題を解いてもいる。
つまり僕はところ、音読以外にもいっぱいやっていたのだ!もっと言えば、「演習⇒解説⇒スラッシュリーディング+精読⇒音読」というプロセスを経ていたのである。
ここをぐちゃっとした状態で生徒に音読しようぜと説いても、そりゃぁ響かないよな。今更だが、ちょっと反省モノの施策であった。
しかしこれを踏まえれば、次にどういう話をすることから始めればいいか、ヒントになる部分をそこから抽出することができそうだともいえる。
続いてはそこから得た仮説をつらつらと書いていこう。
作り込むべきなのは、授業ではなく教材なのかもしれない。
自学を促すために最も必要なものは何か。熱い話もわかりやすい授業も大切だと思うが、僕は「取っつきやすい教材」こそがそうではないかと最近考えている。
例えばどれだけ効果的と言われる筋トレを習っても、それを実施するのに必要なグッズや設備が手元に無ければ、やる気の炎は秒で消えるのと似ている。
そして、教材作成に力を入れた方が良いと感じている理由は、もう1つある。
少し傲岸な言い方だが、流石に入社して数年の頃の僕が出していたクオリティを、その当時の半分くらいの労力で出すことは可能となった。経験値が貯まったからだ。
だが同時に、その頃より何倍も今の自分の方が成長している・・ということも感じていない。ある意味、微差に過ぎない。
経験によって浮いた時間を改めて授業に突っ込んでも、リターンがどんどん目減りしていく状態。授業への投資・努力を繰り返すにも、限界値は割と近そうなのだ。
そして僕は、自分の授業の力一本でメシを食っていく気はさらさらなく、もう数年で教えることからは引退する気満々だ。
となればなおさら、僕の経験値とか知見といったものはとっととアウトプットしてオープンソース化し、他の人たちにガンガン改善していってもらった方が嬉しい。
その足掛かりのためにも、教材を作成し、残す。学習者として「あったらいいな」と思うものを作る。
2023年の序盤は、それに力を入れてみようと思う。
―ということで最後は精読あんまり関係なくなったけど、今日はこの辺で終わりとする。