元寇合戦記というタイトルだが、既に元寇の話が終わっている。この後はどんな話が来るのだろうか。鎌倉幕府が崩壊するまでだろうか。
さて。時折新しい情報や、埋もれていた伝説に出会いながら、とんでもなく血の香りがする洋書を読み続けて、ここまで来た。
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北条時宗もクビライも、覚えるべき歴史上の重要人物という程度のイメージしかなかったが、歴史的背景や時折描かれる人物像を考えると、見方が大きく変わった。
他にも色々と感想はあるが、それは後回しにして、今はその後の展開を追っていこう。
- 1月9日(月) 猛き者もつひには滅びぬ
- 1月10日(火) 夢のあと
- 1月11日(水) 共通する点
- 1月12日(木) 王の器
- 1月13日(金) 歴史的海戦
- 1月14日(土) 神託
- 1月15日(日) その他共通点
1月9日(月) 猛き者もつひには滅びぬ
北条時宗が世を去るころ、元の様子はどうだったか。圧政に耐えかねた民衆や属国による反乱が頻発し、クビライの治世の盤石さが、揺らいでいたようだ。
そして忠臣からの諫めもあり、遂にクビライは、第3回日本侵攻の中断を決意するのであった。
その頃、クビライにもはっきりと、ある種の衰え、つまり死の影が兆すようになっていたという。誰も抗えないのが、この死というもの。
どれだけ権勢を誇っても、いずれは終わるし、その時間軸は歴史から見れば一瞬のことだ。猛き者もつひには滅びぬ。ひとえに風の前の塵に同じ、ということだろうか。
1月10日(火) 夢のあと
クビライの夢、地上全ての王になるという夢は果てた。それどころか彼の死後、束ねていた中国の国々は挙って離反し、元という国はたちまちに分解してしまう。
春の夜の夢の如し―。その言葉がふと頭に浮かんだ。
とはいえ、単に暴君で、不幸な人間を増やし続けたわけでも無い。クビライがこのヨーロッパとアジアに果たした役割は、かなり大きいのだ。
道を整備し、数多の国から学者を招き、それらをクビライは歓迎し、逆に元が持つ文化も積極的に輸出したのだ。結果、文化的水準はそれにより上昇を果たす。
実を言うと、マルコポーロも招かれた学者の一人だったのだ。ただ彼が伝えた【ジパング】なる国は、どうやらアトランティスという架空の国の伝説に由るもの、らしい。
・・・時宗とクビライが去った後のユーラシア。再び群雄割拠の乱世が、始まろうとしていた。
1月11日(水) 共通する点
時折触れられていたが、元軍の日本への襲来は、その始まりと終わり、理由や構図などが、スペインによるイングランド襲撃と不気味なまでに似ているとされる。
差異と言えば、例えば攻め込まれた側の権力者が、正統な女王であるエリザベス1世に対し、正統かどうかで言えば微妙な執権・北条時宗という点くらいしかないらしい。
圧倒的な国力を持ち、地球上に広大な領土を持つ国という意味でも、確かにユーラシアを席巻していた元軍と、植民地を大量に持っていたスペインは似ている。
そんな大国が、なぜか小さな島国を狙うという構図も含めて、似ている点は多い。おまけみたいな章かと思っていたが、これは面白そうな話が始まりそうである。
1月12日(木) 王の器
Queen Elizabeth I Portraits of the Last Tudor | DailyArt Magazine
アルマダの海戦時、イギリスの王だったのはエリザベス1世である。非常に高潔な性格だったようで、スペイン国王フェリペ2世による軍事的脅迫にも屈しなかったそうだ。
巨大な敵に対しても、愛国心などを掲げて断固として蹂躙させない。なるほど時宗のあリアクションと同じだと思わされる。
―不思議な共通点はまだ続く。このとき無敵艦隊とされたスペインの海軍は、いわば徴兵制かつ、不本意なタイミングで国王から出撃を命じられたという点だ。
「時期的に・・」という言い訳を許さずに軍艦を派遣したクビライと、同じことをフェリペ2世もしている。しかもその途上で、指揮官が没すところまで同じ。
こじつけな気もしてくるが、面白い考察だとは思う。
1月13日(金) 歴史的海戦
アルマダの海戦時、スペイン側は大量の軍艦を三日月状に配置し、その光景はまさに圧巻、というより絶望的なものだったという。
しかしそれでも、火を点けた船を艦隊の真っただ中に突撃させるといった奇襲を仕掛け、また天候が味方したのもあり、イングランドが次第に優勢となっていく。
ところで元寇も、情勢が変わったタイミングで起きた出来事は、日本側の奇襲である。それによって艦隊に致命的な一撃を加えることができ、状況が変わったのだ。
節目節目でここまで似ているということは、そもそも規模の大きい海戦同士が似てくるものなのかもしれない。
他にも歴史上で海戦はあったかなかったか、ちょっと調べてみようかな。
1月14日(土) 神託
元寇の前には神宮に謎の火が上がり、また元寇の最中には白い鳥が降り立つなど、神託と思われる不思議な現象は、日本側にいくつか起きている。
アルマダの海戦が起こる前にも、例えば普段と天候が違う、何か怪しい雰囲気があるといった風に、凶兆があったことが報告されているようなのだ。
この辺は後世が付け足した、現実とはちょっと違う話のようにも思えるが、こういうのに科学的な説明を考えるのはちょっとナンセンスだな、と。
例えば偏西風とかそういうのでいくらでも説明はつくと思うのだが、本気で人智を超えた何かが伝えようとしてくれたという解釈の方が、実はしっくりくる。
皆様はどう思われるだろうか。
1月15日(日) その他共通点
M300 - Elizabeth I (1558-1603), The Defeat of the Spanish Armada, 1558, Silver Medal
他にも、大国を倒したという文言を刻んだ記念アイテムを作ったこと、その敗北以来、大国側の勢力が結果として弱まったことが共通点として挙げられていた。
確かにスペイン側はそれ以降、統治者であるスペイン・ハプスブルク家内における近親婚による影響もあってか徐々に衰退がはじまり、元についても先に述べたとおりだ。
ファースト・ペンギンという言葉があるが、イギリスや日本は、結果としてそれになったということだろうか。
にしても久しぶりに晩酌してみたら、思い切り腹は壊すわ、睡眠スコアはゴミだわで、本当にきつかった。明日はきちんと寝た上で、もっとちゃんと読むとしよう・・。
―ということで今日はこの辺で。