英語でビジネス書を読むと、日本の会社じゃないところを例に出されることがあり、底だけちょっと苦労するが、やはり日頃のそれとは読み易さが違うという印象だ。
jukukoshinohibi.hatenadiary.com
平易であるからこそ意味を汲み取りやすく、汲み取りやすいからこそ自問もし易い。新しい観点をガンガン自分の脳に埋め込んでいっている感覚になる。
Appleを始めとする、「哲学」と「ファン」を持つ企業。その偉大なる会社は、「WHY」から始めたという。
禅問答のような話だが、今週もまたゴリゴリと読んでいきましょう。
- 2月13日(月) WHYを忘れた末路
- 2月14日(火) ”繋がり”という欲求。
- 2月15日(水) 直感は大体正しい
- 2月16日(木) WHYとネタバレ
- 2月17日(金) 本当に望むもの
- 2月18日(土) WHYを噛み砕く
- 2月19日(日) WHYを明らかにする
2月13日(月) WHYを忘れた末路
1800年代後半にアメリカを席巻した巨大産業といえば、いわゆる鉄道だ。鉄道網が発達したことで、西部開拓も進み、アメリカの歴史が大きく変わることとなる。
莫大な資本を投じても、それ以上に莫大なリターンとなって返ってくる。そしてその内、それら巨大な産業を牛耳るトップたちは、WHYを忘れていくことになる。
「今は何を出せばより売れるのか?利益になるのか?」という目線に固執し、大義を忘れた結果、飛行機という新たな技術の登場と同時に衰退していくこととなる。
WHYを忘れると、目先のことを手放せなくなる。そして変化できない組織や企業、産業は、ただ衰退していくだけである。
また一つ、よく知られた真理の証左を得られた気分だ。すべてはこの辺に帰着するということだろうか。
2月14日(火) ”繋がり”という欲求。
「繋がりたい」「属していたい」という欲望は、人間の本能に刷り込まれた強い欲求であり、幸福感そのものにまで寄与する部分だと言われる。
だから時には、人に注目してもらう、輪に入れてもらうためだけに、見栄に莫大な投資をしたり、有名人との自慢に勤しむ人が出たりするわけで。
だが、よくよく考えれば、圧倒的多数に支持される企業・会社は、もはやそれそのものが繋がりを生みうる強固なネタになっていることが多い。
「お、オピネルのナイフ、使ってるじゃん!」といったのを糸口にして話が弾むようなことは、例えばキャンプグッズの世界では往々にして起きている。
WHYを突き詰めて世界観を構築すれば、そこに属する人たちがそれをネタにして繋がる。時には企業が意図しないファングループができることさえ、ある。
Apple、ハーレーダビッドソン等々。なるほど、つながりが少しずつ見えてきた。
2月15日(水) 直感は大体正しい
言われてみれば面白い指摘だったのだが、人間の脳の働きの歴史をよくよく考えると、論理的思考は後付けで、感情的・反射的な動作こそが純粋な本能に近い。
このギャップは、例えば「なぜその人が好きになったのか」を言語化するのが極めて難しいことを考えると、少し腑に落ちる。
どんな言葉を並べても、「なんか違う」という感覚ばかりが募る。本能や直感による決断を、論理で説明するのは、とんでもなく難しいのだ。
そして面白いのだが、直感は大体あっているのだ。これは羽生善治氏も、桜井章一氏も著書で書いていることだが、直感の7~9割は正しい、と。
うにゃうにゃごちゃごちゃ考える場面も大事っちゃ大事だが、その途上で直感が閃いたら、それに従う方がベターなのではないか。
論理的に考えることというのは、直感を働かせるための下ごしらえなのではないか。思いつきもエエトコだが、今はそんなことを考えている。
2月16日(木) WHYとネタバレ
WHYを見つめていくと、西野亮廣氏、佐渡島庸平氏が繰り返し指摘する、コミュニティに必要な要素をパッと閃いた。
それは、「ネタバレ」だ。商品がイイのはもちろんだが、誰がどういう思いを込めて、そしてどういう過程を経て誕生したのか、それを徹底的に公開する。
その情報を、一人ずつ丁寧に手渡しして、共感してくれる人を探す。WHYとは想いの言語化だが、それはつまり、自分のこだわりの可視化、もといネタバレではないか。
そう思うと、根強いファンを抱える作品も組織も、そういう理念を意識的に公開している印象だ。媒体はインタビューだったりブログだったり、様々だが。
表面的な「何を売っているか」だけでは、もう選んでもらえない。手に取ってもらえない。シビアに「ネタバレ」の設計は、追求していきたいと思う。
2月17日(金) 本当に望むもの
アメリカの衣料用洗剤の常とう句は、「より白く、より輝く!」といった感じのフレーズらしい。これはアンケートを基に集めたデータから作成したコピーだそうだ。
だが本書で指摘されていて「たしかにな」と思ったのだが、僕は洗濯機から服を取り出したとき、「より白くなっているか」を気にしたことがあんまりない。
実際のところ、まず多くのユーザーが一番に確認することは、ちゃんとニオイが取れているかどうか、らしい。それについては割と同意する。
こんな風に、ユーザーが欲しいと思っているものを、アンケートを通じてきちんと言語化できているかどうかは、割といい加減と考えた方がよさげらしい。
それよりも、作り手の哲学を徹底的に詰め込んで、共感を生み、手に取ってもらう方が、理に適っている、と。僕自身は、すごく腑に落ちた。
まずは自分が欲しいものを徹底して設計する。そしてそれを広報し、手に取ってもらう。WHYからWHATへ。その解像度が、この一例を読んで上がった気がする。
2月18日(土) WHYを噛み砕く
急に母なる自然の話から、新しい章が始まった。自然というのは必ずバランスを取るため、揺り戻しが起こる、という話である。
例えば地球のどこかで森林火災が起きれば、多くの自然と生命が失われるが、それは同時に新たな生命の息吹の始まりを意味する。
また、食物連鎖をよくよく考えると、あらゆる生物は、何かを食う代わりに何かの餌になっている、という関係性になっている。
そしてそれは、実はWHYとWHATでも同じなのだという。哲学が不在の状態で商品を作り続けると、それはいずれ購入者の中に不信と疑問を生み出す。
WHYは第一歩なのだ。そこを固めずに走り出すと、揺り戻しによりすべてが奪われる可能性さえある。怖い話だ。
この章も今まで同様に、一切油断できないなと、改めて気が引き締まる思いがした。
2月19日(日) WHYを明らかにする
もしあなたが、自分が提供しているサービスや商品について、なぜそれが必要なのか説明できないとしたら、一体どうして顧客はそれを選ばねばならないのだろうか?
人によってはギクっとするような問いかけだが、それは僕も同じだ。例えば単に教えることを売るだけでいいなら、究極今はAIの方がわかり易いこともある。
移動するだけなら自動車でもいいのに、それでも観光地だと人力車が選ばれることもある。WHATという機能以外に選ばれる点がその間にあるのは自明ということか。
とにかくまずは、自分が即答できるかで、WHYを明瞭に把握することがスタート地点らしい。先はまだまだ、長そうだ。
―ということで今日はこの辺で。