目先の、ピンポイントな悩みに自分の意識が集中している。そんなことに気付いた際は、佐渡島庸平氏のこの記事を読むようにしている。
アイデアが浮かぶ人というのは、ゼロからイチを創造しているというより、あらゆる情報や実例を掻き集めて、その中から文字通り「閃く」のを狙っていることが多い。
本当に独創的なだけのものは、正直奇を衒うことが目的の役に立たない何かという指摘も受けたことがある。基本に通ぜしもの、精髄に至る、というヤツか。
では、それをある程度狙って再現するためには何を心掛ければいいのか。今のところは、解像度を思い切り下げることがその一歩だと感じている。
言い換えるなら、抽象度をできるだけ増していくことだ。今日はそんなお話を書いてみる。
具体から抽象へ。
具体から抽象へとだけ言うと、途端に鼻白む人がいる。難解な哲学とか禅問答に似た響きを持つので、その気持ちは想像できなくもない。
しかし、輪郭を掴むだけならそんなに難しいことはない。実際に例を用いて、簡単に考えてみよう。
アジという魚がいる。では、アジが属するジャンルはなんだろうか。海水魚もそうだし、青魚もそうだ。ではさらにそれを広げると、どうだろう。
魚類という更に大きなくくりがある。もっと言えば、脊椎動物というまだ大きなグループの構成員と言ってもいい。何なら、動物という風に括れば、まだ広がる。
という感じだ。抽象化するというのはこういう風に、「属するジャンルは何か」とひたすら自問自答すればできるワークと言える。
ここで、僕が今頭を抱えている、目下の問題をこの例に沿って考えてみよう。それは、学習塾における、中学生の集団授業の集客だ。
まず、集団授業というビジネス形態を、抽象的にすると、どうなるだろうか。ある意味ではサブスクリプションサービスともいえるし、セミナーともいえるだろう。
となれば、オフラインで行われる、月額制のサブスクリプションサービスという点で考えればどうだろうか。するとここで、問いが更新される。
「オフラインで行われる月額制のサブスクリプションサービスは、例えばどんなものがあり、そこはどんな広報戦略を使っているのか?」
一度解像度を下げて、思考の範囲を広げ、そして今取り組みたい問題と遠いところで類似点を見つけたら、今度はもう一度、解像度を上げてみる。
すると、先例が色々見つかったのもあり、「ではこの戦略はどうか」「まずは草の根的なことを試してみるか」といった仮説が、次々と頭に浮かんだ。
抽象と具体を行ったり来たり。こういう考え方をすると、アイデアを幾分拾いやすくなると思うのだが、どうだろうか。
とりあえず僕はしばらく、この考え方を、アイデアが欲しいときのメインの武器にしたいと思う。
実行しなけりゃ意味ないぜ。
とはいえ、アイデアには一つ落とし穴がある。それは、思いついただけでは無価値であるというものだ。使って検証して、初めて価値があるというわけで。
だから僕の次の課題は、アイデアを実際に使うことは勿論、その検証と、何の指標を使ってそれを行うかまで、丁寧に設計することである。
草の根運動が効くか効かないかは、どこで判断する?比較実験は行う?どのタイミングを狙う?といった風に、実はいじくれる要因は、他にも山ほどある。
そこで袋小路に嵌ったら、一度問題を手放して、また解像度を下げる。すると冷静に、何が分かればいいかを思い出せるので、また手を打ちやすくなる。
虫眼鏡を使ったり使わなかったり。そんな場面を頭の中に描きながら、今日もまた内向的の武器を活用し、考え事に勤しむ次第である。
では今日はこの辺で。