ダニング・クルーガー効果についてこないだ記事を書いたが、ここで得た観点は、自分の学びにおいてとても大事なヒントをもたらしてくれる。
特に自戒しているのが「馬鹿の山」というものだ。わずかな知識量と成功体験などを基に、自分が他人より優れていると無条件に自分をラベリングする感じだ。
そしてこの「馬鹿の山」というのは、その人の総体としてあらゆる場面に出てくるというわけではなく、分野・環境が変われば、いつでも起こり得る認知バイアスなのだ。
しかも認知バイアスゆえに、自分が「馬鹿の山」にいるかどうかに気づくのはとても難しい。だから自分なりの仕組みが必要となる。
今日はそんな、僕が今試している”仕組み”について、記事を一つ書いてみよう。
「そんなお前は説明できるか?」
最近、とあるYouTuberで会社代表を務める人が、ある企業との【資本提携】を発表した。動画時間でいえば20分以上、言葉を尽くして説明していたように感じる。
ただしその動画はコメントがなかなかに燃えたらしい。実際、「”自称”専門家からたくさんのコメントを貰いました」と後々語っていた。
なるほど、的外れなことをさぞ断言的に言われたのだろうと、透けて見えるようだった。別にこのまま、浅はかなリテラシーを鼻で笑うのは簡単だ。
だが、僕もそっち側に行くのはすごく嫌だったし、何より僕自身が、【資本提携】をろくに説明できないこともわかっていた。その状態で何を語れるというのか。
実際、馬鹿の山にいる自分を蹴落とすには、この引っかかりを利用する。つまり、何かに対して見下すようなことを考えた自分に、こう問うのだ。
「この語句を授業しろと言われたらお前はできるのか?」「そんなこと考えてるお前は、この語句について勉強したことはあるのか?」
―よほど自分が得意とするジャンルじゃない限り、その答えはNOだ。まずは謙虚にそれを認めつつ、かといって別に自分を卑下もせず、調べて学べばいいだけである。
ということで昨日は25分程度、【資本提携】ってなんだと勉強してみたが、正直調べれば調べるほどよくわからない関連語句が増え続けて、一気に絶望の谷に落ちている。
能力が低いのに自信満々な馬鹿「ダニングクルーガー効果」 - ARAN ARAN
【資本提携】は資本構造の変更であり、技術・ノウハウ・資金といった経営資源を相互に提供しあう関係を結ぶ。
【業務提携】よりも強固に利害関係を結べることから、お互いに関係性を強めつつ、さらなるシナジーを生み出せるというメリットがある、と。
ここまでは何となく腑に落ちた。だが、問いはまだまだ膨らむ。例えば【資本提携】と【M&A」の違いはなんなのか。
もっと言えば「M&Aって何の略?」というのも気になってしまった。(※Mergers and Aquisitions、合併・獲得とのこと)
一応説明を読むと、M&Aは合併・買収となるため、元会社の独立性はもちろん、その創業者の利益もまるっきり消えることが多いという違いがあった。
そういう意味では、先の動画に来ていたという「つまり売却して会社やめるってことですよね??」というコメントはめちゃんこアホというのが浮き彫りになってしまう。
ある意味絶望の谷だ。感情的な反射は、格上の存在からすれば噴飯物に過ぎない。(ネタとしての面白さはそこそこだが)
―もちろん、僕もまだまだ分かってないことは山ほどある。株式交換の仕組みも腹落ちしていないため、今日はこれから動画なりサイトなりを参照して勉強する予定である。
・・というわけで、「自分は知れた側なのだ」と一瞬でも恍惚とすることがあったら、背後から思い切り自分を蹴りつけて、とっとと谷に落とすのが一番早い。
そんな経験を何度も繰り返せば、勝手に角が取れて丸くなるものだ。僕は僕の学びの総体として、先の図でいう啓蒙の坂に至ることを、一つの目標に据えている。
謙虚である方が、つまり学ぶんだと納得している。では今日はこの辺で。