昔、公務員を受けようと思っていた頃、一番苦手でありながら、やってて面白かった問題がある。それは暗号解読だ。一定の規則を探り取るという問題。
正直、自分には1㎜もセンスが無いことは早々に自覚したのだが、読めたときの「アハ」感と、「もうちょっとでコツが掴めそう」という悔しさで、勉強を続けていた。
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この塾講師という仕事に就いてから、そんな日々のことは完全に忘れていた。だが今回不思議と僕が手に取った本は、「暗号解読」をテーマにした本である。
原体験なんてどこに潜んでいるかわからない。そんな不思議さを面白がりながら、今週からまたコツコツと読んでいく次第である。
- 7月15日(月) 数千年続く戦い。
- 7月16日(火) 機密か、否か。
- 7月17日(水) 最後に笑うのはどっちだ?
- 7月18日(木) 暗号は陰謀の裏で進化する。
- 7月19日(金) 暗号が戦争に用いられたとき。
- 7月20日(土) 最古の暗号。
- 7月21日(日) 。
7月15日(月) 数千年続く戦い。
古代エジプトや古代ギリシャの頃から、「暗号」は特に政治や軍事作戦に欠かせないものとなっていたようだ。
敵に知られることなく暗号をやり取りする。逆に、敵の暗号を解読して作戦を知る。
それら一つ一つが戦況、さらに言えば国王は王妃を含めた人命を左右しうることから、そこには大きな責任が乗っていたのだ。
そうでありながら、必要な人に対しては、その内容が届かねば意味がない。
数千年にわたり人類の頭を万力の如く締め上げるトピックには、どこかいつなんときも「数学」が絡むんだなと思えてならない。
7月16日(火) 機密か、否か。
暗号と一口で言っても、英語においては「code」と「cipher」の2つがあることに気が付く。これらの差異を気にしたことはないのだが、結構興味深いと思った。
前者は、「結果そうなったもの」も含むそうだ。例えば使用者が居なくなってしまった言語を読み解くこともまた、一種の「code」解読である。
一方後者は、「明らかな意図をもってメッセージを読めなくしたもの」という意味合いがあるそうだ。いわゆる「暗号」は、こちらの言葉の方が近いという。
そしてこれら2つの言葉の意味合いは、「de」という接頭語をつけてみると、一層わかりやすくなる。
「decode」は復元・解読するという意味合いになり、「decipher」は、解読する・平文に直す、という意味合いが強いそうだ。
言葉の語源・差異を丁寧に辿ると、僕にとっていつでも興味のある方向に向かうのはとても面白い。言葉が本当に好きなんだと、自分のことがまた一つ解読できた。
7月17日(水) 最後に笑うのはどっちだ?
暗号を作る側と、暗号を破る側。最後に勝つのはどちらなのだろうか。
誰にも解けない暗号を作ることは可能なのか?それとも、あらゆる暗号を解く方法が作られる方が先なのか?
この本が書かれた当時はAIという概念が無かったため、量子コンピュータなどが例に出ていたが、今はどうだろう。
僕はゾディアック暗号やビール暗号を見るにつけ、暗号を作る側が勝つのではないかと、どうしても思ってしまう。
7月18日(木) 暗号は陰謀の裏で進化する。
スコットランドの女王メアリーが残した暗号、解読される | ギズモード・ジャパン
暗号という概念は古代ギリシャから存在したのだが、特にそれが積極的に使われたのは、中世ヨーロッパだという。
確かに、薔薇戦争だの継承戦争だの、1500年代前後のヨーロッパはとても血生臭く、陰謀の数も半端ではない。
相手に悟られず、それでいて情報を共有するためには、暗号という術を発展させるのが一番だったのだろうと思う。
破られれば即ち死。しかしこれは同時に、相手にとっては破らなければ即ち死ということになる。
文字通り命を賭けての解読、そして暗号化なのだ。途端にドラマチックな展開になってきて、心が躍る感じがしている。
7月19日(金) 暗号が戦争に用いられたとき。
話は突然、ペルシア戦争へ飛んだ。この戦争の勝敗を決めたのは、暗号だという。暗号によって情報が秘匿されたまま伝達されたことで、軍事作戦が功を奏したのだ。
具体的な流れはよくわからないのだが、軍艦を湾内におびき寄せるように仕向け、その上で一網打尽にするような作戦を取れたのも、ひとえに暗号の力による、という話。
これは裏を返せば、暗号による伝達を見抜けなかった側は、恐ろしく不利な条件で戦いに挑まされるということでもある。
歴史はここから変わっていき、暗号を読み取る側も、作成する側も、知能の限界ともいえる境界を押し広げ続けることに全てを捧げるようになっていくのであった。
7月20日(土) 最古の暗号。
そんな暗号だが、最古の形式はなんだったのか。それは、書かれている内容が”見えないもの”がそうだったのだという。
粘土板に特殊な細工をして、コーティングが取れないと読めないようにする仕掛け。或いはみかん汁のように、炙らないと浮いてこないインクを使うこと。
そういった工夫を使って、そもそも見えなくすることこそ、最初期の暗号に見られた特徴らしいのだ。原始的だが、それゆえに奥の深い方法。
僕らが暗号と言えば想像する、意味不明な文字の羅列などは、実は進化した後の話だというのは、ちょっと意外だし、同時に「まぁそうか」と思うところもあった。
7月21日(日) 。
暗号をそもそも隠して持ち運ぶこと。これ自体はとてもシンプルゆえに、大きなリスクも伴っている。
それそのものを奪われてひっぺがされたら、相手に隠したい情報が簡単に漏洩してしまうというものだ。
そのため、必然的に新しい情報移送の手段が開発されることになる。それが「置き換え」だ。特定の文字列を別のそれに置き換える、順番をめちゃくちゃにする、等々。
ランダムこそ、数学的には最強の暗号になりうる。そういえば似た話を【THE GREAT UNKNOWN 】で見たことがあったなと、ふと思った。
では今週はこの辺で。