精神年齢9歳講師のブログ

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【英文読書ルーティン日記195】"The Code Book"読書感想ブログⅩ ~エニグマ~

解読できたら、理屈を抜きにして嬉しい。最近、英文和訳の問題を解いていて、ふとそう思った。故に思う。結構これは、根源的欲求なのではないか、と。

 

「何が書かれているか」を知りたいからこそ、何万時間も費やして、例えばゾディアック暗号に挑んだ人だっている。給料を貰えてもしたくない程煩雑なのに、だ。

jukukoshinohibi.hatenadiary.com

 

知りたいという欲求は、知られたくないという欲求よりもずっと強いのではないか。だからどんな暗号も、最終的には作成者側の敗北に終わってきたのではないか。

 

だが、もしかしたらそれが逆転する瞬間に、もうすぐ本書が至るかもしれない。第二次世界大戦、コンピューターとくれば、あの話がもうすぐ始まりそうだ。

 

早く”知りたい”。心の底から、そう思う。では始めよう。

 

 

9月16日(月) エニグマ

 

新たに生み出された機械の名前、それこそが「エニグマだった。これは暗号を自動生成するツールだ。

 

今みたいに回路内で全ての演算を行うコンピューターとは異なり、当時はプログラムに応じて、実際に機械が仕事をしていたのだ。

 

ある文字を打つと、文字盤が一定数回転し、その上でそこに出ているものへ置換する。それを自動的に繰り返すのだ。

 

周期的なプログラムには、法則という弱点が生じやすいのだが、エニグマはさらに進化し、それさえも克服しようかという勢いになっていく

 

月並みな表現だが、やはり科学の力はすごいようだ。

 

9月17日(火) バフもりもり。

 

1つの置換で不十分なら、それを何重にもすればいい。機械による暗号化は、煎じ詰めればそんな話である。

 

もっとも、乗数とは恐ろしいもので、例えばアルファベットの総数である26を三乗もすれば、とんでもない桁になり、人間の扱えるものではなくなる

 

しかし、機械なら可能だ。そしてそのパワフルさこそが、次世代の暗号の堅牢さに繋がるのであった。

 

9月18日(水) 決着?

 

エニグマの強みは、作成者側が覚えるべき操作と、それを送信する手間はさほどでもないことが挙げられると思う。

 

しかし端から見れば完全にランダムな文字列にしか見えず、しかも同じ文字には同じスクランブルが掛かるという弱点さえも克服している

 

2万弱もある可能性全てに総当たりしたとしても、暗号の配列は機械を少し弄れば丸ごと変わってしまうのだ。

 

ここへ来て、暗号作成側に軍配が上がる……なんて、そんな簡単な話になるのだろうか。

 

9月19日(木) 数の圧倒的暴力。

第二次世界大戦前に開発されたエニグマ暗号解読機のレプリカを製作 - fabcross for エンジニア

 

エニグマが作り出す暗号の組み合わせ数は、単純な掛け算で計算すれば、一京を超えるという。

 

これは人力で鍵を探し出すことは不可能という意味に同じだろう。もはや解読に乗り出す気さえへし折られる数だ。

 

第一次世界大戦では辛酸を味わわされたドイツの逆襲が、エニグマの完成をもって始まる……のだろうか?

 

それとも、解読者の進化や作戦は、それを許さないのだろうか。どちらにせよ、確実に面白い話になる。

 

9月20日(金) 唯一無二ではなかった、という。

 

エニグマは当初、さほど注目されていなかったという。商業界からは「高すぎる」といわれ、軍部には「必要なし」とされたそうだ。

 

というのもドイツはまだ、暗号が「解読された」ために先の大戦でヘマをしたとは考えて”いなかった”のだ。あくまでも盗難されただけ、解読はされていないのだと。

 

ちなみに当時、エニグマと同じカラクリのマシンは世界に三種類あったそうだが、それぞれ異なる理由でやはり無視されたのだという。

 

時代に先駆けることの成長痛というか、そんなものを感じるエピソードである。

 

9月21日(土) 泥を塗られた矜持のケジメ。

 

エニグマに関して当初は乗り気でなかったドイツ軍の気持ちを変えたのは、イギリス側の暴露だった。

 

政府の人間が出版した本の中で、先の大戦時、ドイツの暗号は解読されていたとそこに明記されていたのだ。

 

「さながら手札を見せながらトランプをしてくれていたようなもの」とさえ書かれており、それはドイツ側の感情を逆撫でしたことだろう。

 

そして新たな大戦が始まるとき、ドイツは30000もの台数のエニグマを導入し、情報戦へ漕ぎ出すことになる。

 

ただ不運なことに、その頃には開発者は不慮の事故でこの世を去っていたそうだ。

 

9月22日(日) 挟撃。

 

戦争が終わって以降、一応同盟国たちは暗号解読部隊を解散はせず、特にドイツの連絡を監視していたという。

 

しかしエニグマが導入されるやいなや、同盟国の暗号解読部隊はそれを諦めてしまったそうなのだ。

 

その背景には、例えば別に戦時中では無いことから、昼夜問わずそれに挑む必要性が無くなったことも大きい。

 

一方、特にその必要性がある国がひとつあった。ポーランドだ。

 

ロシアとドイツに挟撃される形のポーランドでは、暗号が解読できないことは、即座に自国が不安定な状況下に置かれることを意味する。

 

エニグマを起点に、ヨーロッパでは再び動乱が始まる予感が拡大していくのであった……

 

では今週はこの辺で。

 

 

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