タイムパフォーマンスを重視した勉強法が昨今ブームになっている。勉強は効率的であればあるほど良いとされ、長時間勉強は「無意味」だ、「ナンセンス」だと。
そんな風に考える風潮が今は主流になりつつあると感じる。僕も、時間ばかりを浪費する非効率な勉強には反対だ。それを生徒に押し付けることは、害だとさえ感じている。
しかし、だからといって1日の勉強時間が20~30分で済むと謳う様な学習法が、あたかも万能薬の如く機能するかといえば、もちろんそうではない。
時短で効率性に特化した勉強法にも、きちんとダークサイドは存在する。今日はそんな話を書いてみよう。
細切れでしか集中できなくなる。
そのデメリットを端的に言うなら、そればかりやっていると本番にとても弱くなる、という一言に尽きる。
特に受験生や資格試験を目指す人は、週に1回程度でもいいので、長時間集中して演習等に取り組む時間を設ける必要が絶対にある。
そうしなければ、本番の試験で求められる持久力やペース配分が身につかず、結局失敗に繋がる可能性が高い。模擬的な練習をゼロで本番に臨むことと等しくなるだろう。
試験時間は、主観になるが結構長い。例えば、高校入試では50分、大学入試では80分程度が標準だ。こうなると、その間ずっとマックスの集中力を維持するのは不可能だ。
このような試験では、集中力をコントロールしながら問題に挑む感覚が必要だ。だが短時間集中型の勉強法ばかりだと、このようなペース配分の感覚は養われない。
ゆえに、本番で対応できなくなる。長距離走の練習として、50mスプリントを何本も走り込んで練習する感じに似ている。同じ「走る」でも、似て非なるものだからだ。
そして、日頃の学習時間が短い生徒は、実は模試の様子を見ていても簡単にわかる。2科目目、3科目目あたりで、得てして一気に失速するからだ。
普段から本番形式の時間配分を意識しない勉強を続けていると、本番での集中力や応用力が不足する。このダークサイドは、人から言われないとなかなか気付けないと思う。
長時間の勉強を”やれると思う”ことと、”実際にやれる”ことの間には、とてつもなく大きい差が潜んでいる。その好例だと僕は思う。
日頃から耳にタコができるほど大人から「もっとたくさん勉強をしろ!」と言われる理由はここにある。要領の良さだけでは克服できない部分もきちんと隠れているのだ。
「毎日10時間も勉強するヤツは情弱」というキャッチ―な意見は散見するが、そういう人たちも週に1~2回は、多分模試か何かを通じて長尺の演習を経験しているはずだ。
非言語化な部分も含めて、学習の効果の良し悪しを測った方が良い。でなければ、秀才たちであっても難関大合格に必要な学習時間があれだけ必要なことの説明がつかない。
タイムパフォーマンス重視の勉強法は、一見すると魅力的で、かつ話題にしやすい。しかし、そのデメリットも認識し、対策を取ることが、理想的な勉強につながる。
とはいえそんなに難しいことではなく、短期集中という方法それ自体を日頃は効果的に活用しつつ、本番を意識した長時間の練習も、時には取り入れるだけでいい。
これが、タイムパフォーマンス重視の勉強法を真に活かすためのポイントであると、僕はそんな風に考えている。
では今日はこの辺で。