英検のハイシーズンがそろそろ終わる。その一環として面接練習(二次試験対策)を受け持ったのだが、例えば2級となると、なかなか担当できる講師が居ない。
必然、コマの時間をできるだけ短くしつつも、回数を増やすことで講座の体を保ちながら、僕が隙間時間に狂ったように組み込んで、なんとか回し切った感じである。
その数、冷静に数えたところ、過去問の音読~質問No.4を1セットとして数えたところ、その数30以上であった。期間は2週間である。
そんなに短期間で面接に付き合っていると、なかなかに不思議な経験則も得られてくる。もしかしたら、面白いヒントが書けるかもしれない。
今日はこの面接練習ラッシュを通じて僕の中にできたコツを、オムニバスな感じで記事にしておこうと思う。
意外と言えない「取り出す」という表現。
2級のナレーション(3コマ漫画)を担当していると、ほぼ共通して躓く表現があることに気が付いた。それは、棚とかカバンから、何かを”取り出す”描写だ。
これは僕もパッと言えなかったので、盲点になりがちな文法なのかもしれない。そこで調べてみたが、【took out A from】みたいな言い回しが使えるそうだ。
実は他にも、「片付けをする」という表現も、僕は咄嗟には出てこないことに気付かされた。これは、捨てるのか、磨くのか、主とする動作で動詞が変わるようである。
1級を取ろうが盲点は永遠に消えない。色々と謙虚になれる体験だと感じる。
使い回せたら、仕上がった証拠。
級に限らず、英検の面接練習を重ねていくと、「このネタは使い回せるな」という感覚を得られる時がある。
僕の1級のスピーチ力はこの手応えを得られてから急激に伸びたのだが、その手応えはつまり、例文の丸暗記を愚直に重ねた結果、得られたものだと感じている。
生徒の中にも、「おぉ、同じ言い回しを別の質問に持ってこれているな」という子がいて、その生徒たちに関しては、本番も大丈夫だという印象を抱く。
それは例えば特定の観点からの理由付けであったり、あるいは得意な文法の型を使ったり、さまざまであるが、自分が安心して使い回せるフレーズこそ、心の支えになる。
そんな風に考えている。
足りないのは英語力ではない。
つくづく思うのだが、二次試験を不得意とする子に足りないのはコミュ力ではなく、そもそもの知識だ。
例えば「子供にスマホを持たせるべきか」という質問については、「使い方わからんくてトラブルになりがちだよね」「失くされたらしんどいよね」という反対意見がある。
一方、「親と連絡とれるから要るよね」「簡単に宿題の答えやヒントを探せるから便利だよね」「ちっちゃいときからデバイスの扱い方は学ぶべきだよね」ともいえる。
こういった反対・賛成の意見を総称して、僕は「ネタ」と呼んでいる。自分自身の価値観と照らし合わせて、答えやすい立場のネタを、質問にぶつける。
そのストックをたくさん頭に入れて、その1つ1つを練習で使い回すことによって繋げる。膨大で立体的な厚みのある知識。この体積こそが、力量となる。
英語力云々の前に、こういう面が如実に問われている気がするなぁと、練習を通じて改めて気付かされた。
Attitudeを低く付けたくなるパターン。
Attitudeという項目がある。簡単に言えば【態度】ということだが、これの評価基準はなかなかに曖昧で、面接官と受験生の相性に結構依るような気がしている。
例えば面接官と会話が弾んだように思ったのに「1」が付いたとか、逆に厳つい表情のまま進んでしまって落ちたと思ったら「3」が付いたという風に、割と検証が難しい。
そんな折、自分が面接官として相対してみて、ふと気づくことがあった。「この時間はキツいなぁ」と、確かに思う場面があったのだ。
それを端的に言えば、間が異常に長いセッションである。問いを発し、答えるまでに数秒の沈黙が流れ、回答がぽつりぽつり、と出てくる。この時間は、そこそこ辛い。
即答は難しくても、「Well..」「Let me see..」「Pardon?」のいずれかを1~2秒で口に出して、沈黙は絶対に作らない意識で臨めと、改めて生徒たちに説いた。
このことを腹落ちさせるため、今後の面接練習では試験官役をやらせても良いかもしれない。そんな仮説も今は考えている。
進学校の生徒の面白い特徴。
今回練習を受け持った生徒の内、何名かは県内の進学校に通っている。そこの生徒たちほど、実は面接に苦戦する様子を散見した。
例えば「help O V」という言い回しを言おうとしてたどたどしくなる、「Wherever」一言で「どこでも」という意味を伝えた気になっているなどなど、どこかすごく、固い。
何をもって「固い」と思ったのかよくよく考え直してみたが、恐らく彼ら彼女らは、すごく書き言葉を好んでいるのが理由なのではないかと思う。
彼ら彼女らは偏差値が高く、勉強ができるため、書き言葉もスラスラと書けてしまう。だからそのノリで口に出そうとするが、べしゃりと書きのレベルは色々違う。
個人的に、関係代名詞を2級のレベルで使いこなす必要はないと思う。だが、それを使いたいのか、それとも不定詞の表現を知らないのか、whichやthatが時たま出てくる。
「もっとプライドを捨てて、中2~中3レベルの英語に毛が生えた表現で何とかすること」というメッセージをどう腹落ちさせるか。今後の僕の課題だと思う。
終わりに。
すごく個人的な話だが、僕は「この3つを達成したら引退に向けてギアを入れる」と決めている目標が3つある。その内1つは、実は達成済みだ。
そして今一番叶えたいのは、英検準1級合格者を指導するという目標である。1級保持者である手前、準1級をちゃんと取得させなければいけないとさえ考えている。
過去最多の2級挑戦者を教え切った今、その成果をみて僕は喜べるのか、それとも猛省を強いられるのか、あるいはその間か。どの未来もあり得ると思う。
いずれにしても、血肉となった経験値は僕がどう活かすか次第だ。だから一度言葉にしてまとめておき、未来の僕が読み返す際に活用してほしいと思う。
では今日はこの辺で。