最近、『アクティブラーニング』という学習方法が注目されている。
―とはいえ、なかなかこれを一言で説明するのは難しい。辞書的な定義も、ふわふわしていてワケが分からない。
学習者である生徒が受動的となってしまう授業を行うのではなく、能動的に学ぶことができるような授業を行う学習方法です。
生徒が能動的に学ぶことによって「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」
(2012年8月中央教育審議会答申)
分かるような分からないような。
僕も最近まで、『とりあえず生徒同士で話し合わせる』とか、『答えが無い問題に自分なりの答えをつけるワーク』などが、それだと思い込んでいた。
しかし最近、『アクティブラーニングって何?』というのにズバリ簡潔な答えを載せていた本に出会えたので、それと合わせてシェアしておく。
推薦図書。
それがコレ。
伝統とか慣例とかで行われてきたからではなく、『科学的に』効果が実証された学習方法がまとめられた一冊。
正直、人に勉強を教えるという仕事に就いている人は、もはや必読の書だとさえ感じられる。
それによれば、『アクティブラーニング』とは、以下の2要素を含む学習法のことを指すのだという。
①想起
簡単に言えば、『何かを思い出す作業のこと』である。
『模試』や『他者の説明』、『ディスカッション』といったアクティブラーニングの代表格は、よく考えれば全てこの要素を含んでいる。
僕もつくづく思うのだが、『覚えておこう』『思い出してみよう』と顧みなかった記憶は、ほぼ例外なく消えていく。
このプロセスについては、なるほどなと感じる次第。
②再言語化
簡単に言えば、『自分の言葉で語句なりなんなりを説明すること』である。
上の学習方法と少しダブるが、これまたアクティブラーニングの代表格である『模試の記述』や『誰かへの授業』などは、全てこの要素を含んでいる。
確かに、勉強ができるヤツほど、説明した後に『それって○○ってことですか?』という返しがくることが多い。
つまり日頃から、自分の言葉で頭に入れることがクセづいているのだろう。これはちょっと盲点だった。
―ということで、上記の2つ(或いは片方でも)さえ満たしていれば、乱暴だがそれは『アクティブラーニング』という話らしい。
今まで色々本を読んだり、人と話し合ったりしてきたが、現状僕の中ではこれが一番腑に落ちている。
では、日頃の指導にどう活かすか?
とはいえ、それを全て日頃の授業に落とし込むのは難しい。
生徒に授業をさせれば恐らく学級崩壊するし、理科の実験をさせると、下手すれば校舎が燃える。
そんなワケで、僕なりに考えた結果、以下の要素を授業に取り入れることにしている。
・模試(テキストの演習)をメインに据える
・ノートは一通りの説明が終わった後にまとめて取る
・難解な説明後は、苦手そうな生徒に『説明してみ』と質問
・自分の説明は25分以内(例外はあるけど)
・似ている単元については、くっつけて説明(現在進行形と受動態みたいな)
これを取り入れ始めてから、今のところ、生徒の地力が高まっているという手応えはある。
まぁ、今年から実践し始めたものなので、長期で見れば変わってくるかもだけど。
―ということで、『アクティブラーニング』について、乱暴に書き殴ってみた。異論とか反論もあることだろうけど、僕の意見はこんな感じ。
意外とつかみどころのないこの語句の理解、その一助になっていれば幸いである。
では、今日はこの辺で。