『読書』と聞くと、どことなく高尚な趣味で、身に着けたいけど敷居が少し高いようなイメージがある。
また、優等生やデキる大人が趣味として持っているようなイメージもあり、我が子に、或いは自分に身に付けさせたいと願う方は多い。
僕自身、劣等生の出だが、読書は好きだ。毎日何かしらの本を読むし、そこで得たことは実生活に活かせまくっている。
しかし、活字離れが唱えられる昨今、『読書』を取り入れる人は減り続けているようだ。
特に児童なら猶更だ。
外に出たりゲームをしたりすれば、エンターテインメントはゴロゴロしているのに、本を読むのに時間を使うなんて!そう思われても仕方ない気がする。
親の思いとは裏腹に、本など死んでも手に取るか!という意思を感じることも多い。買い与えど、読まない。
実は僕もそのタイプで、親から買ってもらった本を読み切ったことは、かんなり少ない。
だが、自分が興味を持った本を読み切らなかったこともまた、かんなり少ない。まずは何かを『読んで』『楽しむ』という経験がマストだろう。
そこで今日は、『読書』のファーストステップとしてオススメなものを、ほぼ箇条書きで列挙する。
前提:読書嫌いを生む、NGな考え方。
まず、『自分』或いは『子ども』の経験値等を考えず、『世間(体)でウケが良いから』というだけで本を選ぶのはNGだ。
例えば、『これからの「正義」の話をしよう』という名著があるが、これがブームになったとき、読み切れた読書素人は何人いるのだろう。
いきなりカタいテーマの分厚い本を読むことは、自殺行為に等しい。90%くらいの確率で、読書が嫌いになって終わりだ。
初めてプレイするゲームで、CPUのレベルをいきなりHARDにするのはアホと言えるだろう。だが、こと読書になると、それに近い行為が平然と行われる。
同様に、小中学生に夏目漱石とかを与えるのもオーバーキルを招く。まずは絶対に段階を踏むべきだ。
―ということで、『こういう本が読めたら良いな!』みたいな虚栄心で本を選ぶのは、絶対に止めた方がいい。
『読んでみたいな』という内発的動機。これを大切にしたい。逆に言えば、これさえあれば無敵だ。
ということで以下、各レベルごとに、その動機を刺激し得るオススメのジャンルを紹介する。
初級者向けのジャンル。
小学校3年生くらいまでは、ぶっちゃけ文字とイラストの比率が2:8、ないし1:9くらい極端な方が良い。
とにかくまず教えたいのは、『ページをめくり、何かしらの情報を本から得て、楽しい、面白いと思う経験』だ。
となれば、最強なのは僕は図鑑だと思う。
男の子ならこういうのに一撃でハマることが多く、また意外と『文章』もあるので、それを読む経験も積める。
(例えば、昆虫の身体の特徴や、魚の漁獲方法などは、ちゃんと文章で説明がある)
では、女の子はどうするか。実はこれも広義の図鑑だが、例えばお菓子や料理のレシピ集はどうだろうか。
僕自身、料理の本に何故か夢中になっていた時期があり、分からない用語などは聞いたり調べたりでどんどん知識を得たものだ。
結果、『書を読む』という習慣そのものは身に付いたので、今思えばそれが手元にあったのは、ラッキーな環境だと言える。
とにかくイラストが多く、サクサク進むもの。これさえ満たすのなら、例えばゲームの攻略本だって立派な読書だ。
繰り返すが、子どもの興味が絶対に一番で、大人のテイストがそれに優先してはならない。
僕自身、生徒に本を進める際、僕の好みを押し付けることは絶対にしない。それは読書嫌いを招く。肝に銘じておいた方が良い。
中級者向けのジャンル。
ここからは、段々と『文字』の量を増やしていこう。
まず、小学校高学年になるかならないかで、男女でハッキリと本のテイストが変わる。
例えばウチの塾だと、男はこういうのにハマり、↓
女子はこういうのにハマる。↓
前者はぶっちゃけ日本語のセンスが卓抜しており、大人でも舌を巻くレベルなのだが・・。イラストの面白さがそれをまろやかにしてくれる。
後者は僕も一応野郎なので、読もうとはしてみたが・・。なんか謎の胸焼けがこみ上げてきて挫折。
ここで少しずつ本を読むようになれば、ラノベなりなんなりに勝手にハマっていくので、環境を整える方に注力しよう。
―では、中学校に上がるくらいまでで、読書の習慣が身に付ききらなかったらどうするかを考える。
もちろんまだ手はある。例えば、部活に関連した雑誌。これは意外と文字数もあり、猛烈に国語の勉強になる。
尚、別に部活限定にせず、趣味の雑誌にしてもいい。例えばまっぷるやるるぶも、読んでいて非常に面白い。(これまた文字数も多いし)
というワケで、ある程度の国語力が付いた段階から読書の習慣を作るには、僕は雑誌が最強な気がしている。もちろん、現時点では、だが。
独り立ち向けのジャンル。
『上級者』という書き方が嫌だったので、独り立ちというのにしてみた。この段階の本を手に取るようになれば、大人から口出しすることはもう何もない。
定義が難しいのだが、僕は『ほぼ活字の小説』がここに入ってくると思う。
僕の友達の超読書家(もちろん頭も良い)たちは、本当に色々な本を読んでいたものだ。
本当はもっといろいろ言っていたのだが、実は僕があまり小説に興味が無いので、これ以上思い出せない。
こういったシリーズにハマれば、数が多いのもあり、数珠つなぎで読むことになる。あとは勝手に経験値や興味のアンテナが広がっていくだけだ。
―では、僕みたいに『小説があまりハマらない人』は、どうしたら良いか。
例えば、中学時代、同級生内の一番人気は『空想科学読本』であった。
この傾向は、今の生徒を見ていても、同じ印象を抱く。
僕は『小説にハマらない』場合は、こういった検証モノか、『語り口調の参考書』、または『ドキュメンタリー』にヒットする可能性が高い気がする。
ただ、この段階にくれば、何の本にハマるかを読み切ることは不可能になる。買ってみたは良いが興味すら示さない、となれば悲しい。
結局、一度書店に連れて行って色々と見せてあげるのが、一番確実で良いのではなかろうか。
終わりに。:結局一番心を"動かさない"のは・・
実は僕自身、読書の習慣が完全に身に付いたのは21歳の頃だ。それまでは、ほっとんど本を読んだ記憶がない。
両親は時たま本を買ってきたが、生返事以上のリアクションを返したことは少ない。理由はなぜだろうか。
たぶん、という前提で読んでほしいのだが、僕は両親が本を読んでいる姿、その記憶が全く無い。
『自分がやってないのに、面白いよ!とか、何でわかるの?』
そんな疑心が、幼心にあったのかもしれない。思春期に近付くにつれ、言うけどやらない人の姿に、反発心を抱く。
やはり生徒や子どもたちに本を読ませたければ、まずは自分が本を読み、楽しいと思った、そんな経験を持つべきだ。
そんな経験が無いのなら、読書が好きな人に、代わりに語ってもらおう。そちらの方が、みんな幸せになれる。
ということで書いているうちに熱くなり、3000字を超えてしまった。
冗長になっても仕方ないので、今日はこの辺で終わりとする。