『因数分解とか将来使わないのに、何で勉強せんといけんのん!?』
・・・といった愚痴は、正直聞いたことが無い方が珍しいだろう。
そんなのもあり、この問答にどう答えるかこそが、講師の力量として問われる場面は結構多い。
とはいえ、『お前が気付いてないだけで、将来役に立つ!』とか、実は何も考えていない返しは考え物だ。それで納得する生徒は、そもそもそんな愚痴は吐かない。
じゃあ、そんなこと言うお前はどう答えてるんだよ?という話だが・・・
『科目そのものの知識はそんなに使えないけど、そこで得た考え方は超使えるよ』
という言い方をしている。押し付けるわけでもなく、諭すわけでもなく、持論を言って終わり。
今日は参考になるかわからないが、その話をしてみる。
勘違いしてほしくないのだが、各科目における『単元』は、本来それの習得そのものが目的と言うワケではない。(入試等のテストは別)
ぶっちゃけ大学や高校に入るためという『目的』も存在するが、大元は『その単元の学習を通じて、社会で大切なスキルを身につけなさい』という意味だと感じる。
例えば数学なら、問題を解釈し、使えそうな知識を選び、それらを組み合わせて答えを出すという作業そのものは、社会人の方なら毎日やってることではなかろうか?
(また数学には、なるべくラクでトクをするような考え方ができるようになる、というメリットがあるらしい。)
英語は、『普段自分が用いているのとは違うルールで意思を伝える』という具合。(ただこれが狙いなら、別に英語をせずともプログラミングでここは養えると感じる)
国語とはまさに、『母国語で書かれた、言われたものから意図を正しく読み取り、伝える力』であり、一言で言えないくらいの恩恵がその学習に秘められている。
理科は『事象に対して仮説を立て、検証する』というプロセスを学ぶ格好の材料だ。1からロジックを組み立てるのとは逆方向の思考と言える。
例えば、『あの人の教えはやたら頭に残るけど、一体何が秘訣なのだ?』と疑問を持って見学してみる感じ。結果、得られる経験値は爆増する。
そして社会は、『知識と知識をつないでいく感覚』を養うのに最適であり、これこそ効率的なインプットに欠かせないスキルである。
―こう考えれば、『二次関数ができるようになる!』みたいな地点にゴールを置くことに、ハッキリと疑問符がつかないだろうか。
正確には、『合理的思考の育成、その一環として抽象的な単元で練習しよう!今日は二次関数!』みたいな具合だろう。
―ってことで、目先の単元の学習にブーブーおっしゃる生徒がおられるなら、その奥にある真の狙いの方までマクロな目線を伝えてみてはいかがだろうか。
それでは今日はこの辺で。
※余談だが、僕は学歴と生涯年収みたいな今後多分様変わりするであろうモチベーショントークが嫌いなので、そういうのは避けている。