そろそろ冬休みの時期であり、特に中学3年生と小学6年生が、最後にアクセルを全開にするときだと鼻息荒く準備している。
しかし、だ。何度も言っている通り、どれだけ時間を掛けようと、努力の方向が全然違っていると、下手すればゴールから遠ざかっていくというコワイ話がある。
北海道を目指して、沖縄行きの飛行機に飛び乗るようなものである。地球を一周というトンデモナイ遠回りをしても、ビミョーに辿り着けない。
ってことで、きちんと時間を確保できる長期休暇で学習に取り組むのなら、事前準備に時間を掛けねば悲惨な結果になること請け合いだ。
今日はそんなお話。
まずはどこを目指すか決めましょう。ただし当事者比で。
ってことで基本中の基本は、とにもかくにもゴールの設定。そしてそれは、なるべく数値に出来た方が良い。
ちなみに『志望校A判定!』はちょっと微妙で、『志望校A判定のためには大体偏差値がどれくらいいるのか』を考えて、『そのためには何点だろう』まで考えたい。
でなければ、努力のしようがないからだ。僕が思うに、やや抽象的だが、点数等の自分が努力でギリコントロール可能な部分にまで落とし込んだらOKかなと思う。
注意点は、当事者比で無理が無い数値にしておくこと。例えば、地方国公立大学経済学部を目指す生徒が、医学部の数値を追う必要はない。
じゃなきゃ全然ゴールに近付けず、まぁったく面白くなくなってしまう。努力がイヤになれば続かない。前進してる感は甘えでもなんでもなく、必須だ。
まずは10分くらい経っても良いので、ゴール作りには頭を使おう。
何が足りていないかを考えよう。
―ここからは優先順位を付けて、伸びるところから伸ばしていこう。ただし、ここも『がんばる』という幼稚な意識では頂けない。
例えば、数学が9割取れていて、英語が3割という生徒のケースを考えよう。
この場合、勉強時間を半々にするのはナンセンス。英語の方にウェイトを置くべきなのは一目瞭然だ。
数学は演習をメインにすることで時間は削減できる。一方英語は、3割である原因に目を向けて、取り組むことを考えよう。
英単語や英熟語、文法の知識が十分なのにそのスコアなら、まず間違いなく練習不足。音読学習などで負荷のかかる勉強をすれば、多分大化けする。
しかし、そもそも単語等を知らなさすぎるのなら、まずはインプットに注力すべきである。
―こんな風に、足りないのは知識か経験かという分析は大切である。
知識なき練習は伸びないし、練習なき知識はただのトリビアなのだ。点になるのは両方揃ったそれというのはお忘れなく。
あとはそれを刻みましょう。
そして最後にやることは、毎日のルーティンに出来るほど、細かく刻んでしまうことだ。
例えば冬休みが2週間だとして、覚えるべき単語が300くらいほしいなら、300÷14≒21くらいってのが1日当たりのノルマとなる。
ただし、細かくしたうえでも、ある程度のゆとりはほしい。日割りでカッチリ決めてしまうと、体調不良とか急用で飛ぶ可能性があるからだ。
その際一番多いリアクションは、計画そのものが破綻すること。本来は翌日からまた続ければいいのに、『できなかった』という事実一つで、やる気がぶっ壊れるのだ。
そんなワケで僕が良くやるのは、日割りにした作業量に7を掛けて、一週間経った時点でこれがクリアできていたらいいやと考えることだ。
こうなれば、1日2日吹っ飛ばしたところで、まだ挽回のチャンスは残っている。オススメである。
―ということで、作業を乱暴にまとめてみよう。
①目標を無理しすぎないラインに定めよう!
②それには何が足りないか分析しよう!
③毎日できるラインにまで刻み、そこにゆとりをもたせよう!
てな感じ。もちろん口で言うより遥かに難しいので、最初はそこそこの時間と大人のアシストが必要になるだろう。
しかし、ゴールからきちんと逆算ができると、努力の方向が整っているという安心感もあるし、何より迷いなく学習に打ち込めるのが嬉しい。
準備に時間を掛けるのはもどかしいと思われるかもしれないが、ここでしっかり固めておけば後でいくらでも取り戻せる。
行動が遅いのじゃなく、最短のルートを検索しているようなものなのだ。全員が一直線で沼地を駆け抜ける間、自分は整備された道を迂回しているといっても良い。
ドライなことを言うが、使える手段を全て使って初めて『合格』が得られるのが受験という大舞台だ。手を抜いている場合じゃない。合法ならなんでもしろと。
ちょっと熱い提案をもって、今日はここまでとする。