精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

【講師のネタ帳】『書き順』という謎の単元はどのようにして生まれたか? 

何度か書いたが、僕はやっぱり『書き順』が必須カリキュラムになっていることに懐疑的だ。

f:id:pochihiko_inunosuke:20210108141031p:plain

アルファベットにまで書き順が存在するという風潮の意味がわからず、人生で一度も、それをまともに勉強した記憶が無いほどだ。

 

だが、頻度こそ減ったものの未だに中学入試で問われたり、『順番ミスってるww』とマウントを取られたりと、サボったらサボったで死ぬほどめんどくさい。

 

うーむ、この謎の『書き順』というカリキュラムは、そもそも一体何なのだろう。もしかしたら、ブーブー言うには、僕はまだ無知すぎるのかもしれない。

 

ってことで勉強することにした。今日はそのまとめである。

 

 

『書き順≒筆順』の歴史。

f:id:pochihiko_inunosuke:20210108152119p:plain

調べたところ、『筆順』が現在のように統一されたのは、1958年に文部省から示された『筆順指導の手引き』が始まりなのだという。

f:id:pochihiko_inunosuke:20210108152433p:plain

ちなみにこの手引きの目的は、学習指導上に混乱を来たすことのないよう筆順をできるだけ統一することだという。

 

つまり、これが制定されるまでは、『広く統一された書き順』なんてのは日本に無かったということになる。

 

では、それまではどうしていたか?調べてみたところ、『書き順は流派によって違う!!』という状態で通っていたらしい。

 

つまり、みんながみんな『〇〇流ではこう書くけど、▶▶流は違うよ~』みたいな感じで、しかもOKだったそうな。まぁ、この辺は武術とかでも通じるとこだけど。

 

※書道の流派に興味がある方は、このサイトがオススメです↓

wa-gokoro.jp

 

さて。

 

いつ頃から書き順が『存在』し、『教わるモノ』だったのかは判然としないものの、漢字の伝来とともに『写経』が盛んになり、それが起源である・・みたいな話もある。

syukatsulabo.jp

 

そこからは三筆・三蹟の登場があるなど、一気に書道文化が花開いているのは間違いないので、結構信憑性はありげだ。(書道についてはこの辺にシマショ)

heianmagazine.com

 

さてさて。

 

そんな風に書き順がバラバラの状態が室町・江戸・明治・大正と続き、昭和になってしばらく経ったところで、いよいよ先述の『手引き』が制定されることになる

 

ここで、もう一度この手引きの目的を引用しておく。

 

学習指導上に混乱を来たすことのないよう筆順をできるだけ統一する

 

・・・気になった方もいるかもしれないが、この下線部のところが僕にはどうしても引っ掛かる

 

できるだけできるだけ

 

つまりこれって、実際のところは不徹底ということじゃないのかしら?そんなのが気になったので、続いてはこの『手引き』について調べてみた。

 

『筆順指導の手引き』が語るもの。

f:id:pochihiko_inunosuke:20210108154101p:plain

 

『筆順指導の手引き』の前書きを超乱暴に要約すると、大体こんな感じ。

 

書き順が人によってバラバラなままだと、書き順とかどうでもいいって思われたり、教師が教えづらかったりする。

 

だからたくさんのプロの力を借りて、例えば同一の部分は書き順を揃えるなどしてまとめて、ここに手引きを刊行する。 

 

まぁ確かに、『統一の内容を教える』という観点に立てば、皆バラバラで皆正解!っていう状況を放置するのはよろしくないですわなぁ。

 

・・・しかし、だ。この手引きの7ページ目には、特に僕としては見過ごせない”ある記述”が存在するのだ!

 

本書に示される筆順は、学習指導上に混乱を来たさないようにとの配慮から定められたものであって、そのことは、ここに取りあげなかった筆順についても、これを誤りとするものでもなく、また否定しようとするものでもない

 

つまり、『お手本として紹介はするし統一もするけど、だからって別の書き順を全否定するわけじゃないからね』と念押しがされているのだ。

 

・・・この手引きの理念が現行の制度でも引き継がれているのなら、入試で『書き順』を問う意味って何なのだろうか?真っ向から反している気しかしない。

 

後半でもこの点が強調されているため、この『手引き』に書かれているからと言って、『絶対的な書き順の正解』として定めることは無理があると言えそうだ。

 

―いつ頃から『書き順に絶対的な正解が登場したのか』はサッパリわからなかったが、これに疑問を呈する人は調べるとポコポコ見つかる。

home.hiroshima-u.ac.jp

 

 正直『小学校教員』とか、『中学受験』を志す人達以外にとっては、さほど重要な単元ではないのかもしれない。

 

まぁ、『でしょうね』という感想なんですけどね。

 

終わりに。

 

調べれば調べるほど、やっぱり『書き順』は”絶対的な正解”ではなさそうである。

 

むしろ、文字が整い易くなるガイドライン程度のものと捉えるべきな気が、一層してきた。

 

義務教育という統一されたカリキュラムの中では、そもそも手書きの必要性が薄まっている世の中なので、その立場がだんだん弱まっていくのではなかろうか?

 

これを悲しいと思うか、どうか。別に教育現場から滅んでも、書道などの習い事の中で脈々と受け継がれていくと思うので、あまり気にしないでいいと個人的には思う。

 

とりあえず改めて調べてみたけど、やっぱり『書き順』は僕みたいな人間の性には合わないかなぁ、と。僕は字が汚いのだが、代わりにタイピングが得意だから別にいい。

 

てなわけで本当に雑記みたいになってしまったが、備忘録にはなると思うのでこのまま投稿しようっと。

 

では今日はこの辺で。

 

にほんブログ村 教育ブログへ
にほんブログ村 にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ
にほんブログ村 ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村