今日もまた集団授業のお話。
基本的に『集団授業』と『コミュニティ論』にはかなり通じるものがあり、色んな方の書いた『集団授業論』をよくよく読んでいくと、結構似ている点は多いのだ。
となれば、『上手く運営できているクラス』の共通項をコミュニティ論に当てはめて考えていくと、一般的な教えとして取り出すことも不可能じゃない気がしてくる。
その前に、ここでいう『上手く運営できているクラス』の定義について書いておく。僕が思うに、以下のどれか、あるいは複数の要素を満たすものである。
① 全体的に成績が向上している
② 講師の話を聞いている
③ 生徒同士、あるいは生徒と講師の間にコミュニケーションがある
これらを満たす先輩講師や他の塾講師のケースを思い起こしながら、その共通点は何か考えたところ、あるコミュニティ論の教えがマッチすると気付いた。
今日はそれをシェアしたいと思いヤス。
強いコミュニティに共通する要素とは?
それは『人生の勝算』という本に書いてあったことなのだが、『スナック等の上手くいっているコミュニティに共通する5要素』である。
それは『余白』『常連客』『仮想敵の存在』『秘密等の共有』『同じベクトルを向くこと』だという。
この目線で観察してみると、盛り上がっているクラスや、ひいては塾には、これらがほぼ確実に存在することに気付かされる。順に行こう。
①余白
これは簡単に言えば、『完璧ではないこと』と言える。意外と完璧な講師よりも、ちょっと抜けがあったり人間味があったりする方が、生徒・保護者のウケは良い。
無理にスーパー講師であろうと努力するより、欠点を面白おかしくさらけ出せる方が、『盛り上がらせる』という意味では良いような気がする。
もちろん過度にナメられたら非常にめんどくさいので線引きは必要だが、目線としては面白いと思う。
②常連客
これは言わずもがなだと思うが、僕が勤める校舎にも長く通っていただいている生徒・ご家庭は割といる。
上手くいっている塾ほど、小学生から通い始めてそのまま継続している高校生がいたり、元塾生がアルバイトになったりと、持ち上げのシステムが整っている印象だ。
さらに極端な例だと、元塾生の子どもにまでつながることがある。難度は高いが、心掛けたい要素である。
③仮想敵の存在
集団を団結させるため、仮想敵を作るというのは非常によく用いられる手であるが、マイルドにすれば結構私塾とかにも存在する。
例えば、自分を見下した同級生に勝ちたいとか、他の校舎の点を上回りたいとか、そういうのが『仮想敵』に当たる。
これを意識して作るのはノープランだとかなりリスキーだが、例えば全体に同じテストを課すなどの工夫で対応できる気がする。
④秘密等の共有
これは言い換えれば【内輪ネタ】の存在だと言える。繁盛している塾のブログを読むと、そこでしか通じないノリやネタが垣間見えて非常に面白い。
僕の運営するクラスにもそこでしか通じないノリってのはあるが、これをもっと意識して作れれば、確かにコミュニティの結束は高まる印象である。
⑤同じベクトルを向くこと
ここって意外と盲点だと思う。特に集団授業であれば、生徒の目的は何もしていないと
絶対にあっちこっちを向いてバラバラになる。
予習したいのか、復習したいのか、それとも入試に備えたいのか、定期テストで点が取りたいのか、そもそも目的とか無くて、何となく通っているのか。
あくまで暫定だが、僕は口を酸っぱくして、理念は【全員が自己ベストを更新していく】というものにしている。
他者との比較なんかするな。自分が過去の自分より伸びたかどうかだけ目を向けろ。このことはずっとずっと伝えている。
ちなみに、これを伝えても自分勝手な行動を止めない、止められないのであれば、残念だが集団は無理。
放置した結果コミュニティそのものが崩れる前に、その生徒が【仮想敵】になる前に、個別授業への移行を薦めることもある。
終わりに。
ということで共通項を事例を添えて紹介してみたが、誰でも実践できるレベルで具体化というのは、まだ僕もできていない。まだ知見を貯めているところだ。
しかし何かのヒントになる部分もあると思うので、誰か1人でもそれが届いていれば嬉しい。では今日はこの辺で。