精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

【ご褒美】教室運営における”インセンティブ設計”を考えてみよう。【あるいは罰】

ダイエットも大詰め。炭水化物を削るそれに戻して、目標体重をサクッと切ることを目指してる中元です。コンテスト?出ないですよ。

 

はい。最近はずっと小説を読んだり洋書を読んだりリーダシップ論を読んだりと、頭の中が良い意味でカオスである。

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そんな折、改めて経済学について学び直すうちに、「あ、教室運営に生かせるかも」というヒントに出会った。

 

それは最近ちょこちょこ書いている【動機づけ(インセンティブ)】だ。死ぬほど簡単に言えば、「アメとムチ」のことである。

 

これがなぜ大事なのか?実はここを上手く設計しようと頭を使うことで、好ましい言動を推奨し、逆に好ましくない言動を抑制できるためである。

 

とはいえ【動機づけ】の設計は、実は想像以上に難しい。「ご褒美あげればええんじゃろ」「たまにブチ切れればええんやろ」なんて簡単な話ではないのだ。

 

今日はその辺について、調べたことをまとめる意味でも、記事にして書いておこうと思う。

 

 

まずは【動機づけ】の種類から知っておこう。

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【動機づけ】という言葉はやや専門用語の響きがあるが、要するに「好ましい言動を増やし、好ましくないそれを減らすためのルールなり声掛けなり賞罰なりのこと」だ。

 

テストでいい点を取ったらご褒美としてゲームを与えるのもそうだし、逆に私語をした生徒を叱り倒すのもまた、そうである。

 

さて。この【動機づけ】というと、何かあげるとか、あるいはたまに怒るといったことのみを想像する方が多いのだが、実は結構種類がある。まずはそれを書いておこう。

 

※ちなみに以下の定義は、【Think Like a Freak】からの引用でござる。

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まずは、【Financial Incentive】、つまり金銭や賞品を使った動機づけである。これはもう説明の必要もないと思うので、割愛。

 

続いては、【Moral Incentive】、つまり道徳的動機づけである。簡単に言えば、「自然を守ろう」「静かな教室にしよう」といった大義に訴えかける感じかなぁ、と。

 

3つ目は【Social Incentive】、つまり社会的動機づけである。これは少し難しいが、要するにみんながトクをするという点を強調する、みたいな意味じゃないかなぁ。

 

そして最後は、【Herd-mentality Incentive】と書かれていた(たぶん)造語である。日本語に置き換えれば同調圧力のことだ。

 

これら4つの【動機づけ】を上手く使って、教室運営に生かすことができれば、学習環境としてもう1ついいものが作れるのではと僕はかなり期待しているわけで。

 

―だが、最初に書いたが、【動機づけ】とは諸刃の剣だ。良かれと思って打った施策が、好ましくない言動を爆増させる結果になった例もまた、多い。

 

ということで事項では、【動機づけのリスク】についてまとめてみようと思う。

 

別のメッセージが伝わってないかい?

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本で紹介されていた一例を引用しよう。これは、アリゾナ州にある、「化石の森国立公園」に立てられている看板に書かれた注意書きだそうだ。

ja.wikipedia.org

 

YOUR HERITAGE IS BEING VANDALIZED EVERY DAY

BY THEFT LOSSES OF PETRIFIED WOOD OF 14 TONS A YEAR,

MOSTLY A  SMALL PIECE AT A TIME.

 

ガバガバ訳:あなたの始まりの場所は、日々無残にも破壊され続けています―年間14トンにも及ぶ、化石の盗難によって。例えその一度一度は、ほんの少しであっても。

 

・・・何とも悲痛なメッセージだ。さてさて。この看板が伝えることは簡単だ。「盗まないでください」というお願い、あるいは警告なのだが・・。

 

なんとこれ、窃盗の数は増えてしまったのだという。では問題。それはなぜだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答えはシンプル。「な~んだ、みんな持って帰るんだ!!」という印象を与えてしまったからだ。

 

いわゆる「赤信号、皆で渡れば怖くない」というのと同じだ。それが伝わってしまったというわけである。(推測だけどね)

 

えてして、事実を堂々と書いて良心に訴える系の動機づけは、気を付けないと「みんなやってるよ」というメッセージをくっつけてしまう

 

例えば「ここにゴミを捨てないでください」というのも同じだ。みんなここに捨てるからこんな紙があるのだというわけなので、捨てられる確率が上がる。怖ッ。

 

この辺の裏というか脆弱性というかは、たとえ勉強ができなくても、小利口な生徒は即座に指摘し、逆手に取ってくることがある。そうなると立場はこっちが弱くなる。

 

だからこそ、やはり【動機づけ】には慎重になってしかるべきだし、ある程度の勉強も必要なのだ。

 

アメとムチの奥は深い。肝に銘じておきたいなと、強く思う。

 

では、どういう設計がカギなのか?

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実は、インセンティブの中でも、その効き目には強弱がある。使いどころや環境にも因るのだが、最強はどうやら同調圧力らしい。

 

となれば、自然それを盛り込んだ方法を考えるのがよさげ、という風になる。(ちなみに低学年には報酬系の方が効くっぽいし、逆に道徳的はまず効かない)

 

なお、同調圧力は英語で言うと【ピアプレッシャー】とも呼ばれ、心理学においても有効な手段とされている。

 

例えば手癖が悪い子に対しては、勉強にずっと意識を向けられる生徒で前後左右を囲むといった席順も一つの手となる。(うるさいとクレームが来るリスクもあるよ)

 

また、複数のそれを組み合わせれば、さらに効果は高まっていく。例えば、クラス単位で単語テストのイベントか何かを行い、平均点で優劣を決めてみる、とか。

 

これは一応ある種の精神的報酬と、同調圧力が含まれた施策であり、実はベーシックにして有効な方法の1つである。

 

ちなみに【動機づけ】を行い、実施したら、絶えず観察を続けることが推奨されていた。

 

上手く機能すればさらに改善する策を考えて、逆に意図せぬ方向に機能したら、速攻撤廃や修正に動く。抜け道を探されたら、内心舌打ちしながらも感心するといいそうだ。

 

つまり規模の大きいゲーミフィケーションである。頭は使うが、多分やってて楽しいんじゃないかなと僕は考えている。

 

終わりに。

 

ってことで、なんかボリュームが膨らんだけれど、運営のヒントになればということで書いてみた。

 

これを実際に試すことに決めたら、結果も家庭も書く予定なのでよろしくです。

 

では今日はこの辺で。

 

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