「最近揚げ物がキツくなってきたよね」と友達にボヤくと、「わかる~」の合唱が聞こえてきた中元です。
はい。2学期期末テストも終わり、ドキドキの成績回収フェーズも過ぎた今、過去中々例を見ない伸び率を達成した生徒(中1)がいた。
なんと、5科目で60点以上も伸びたのだ。全科目得点が上がり、オール3から一気に、オール4を狙えそうな水準にまで到達した。
こんな例は、あまり見ない。だから、気になる。
この生徒は、何をしたから、この成績向上を果たしたのだろうか?ここに再現性があるのなら、きちんと言語化して、僕の口から生徒に語れるようにしておきたい。
せっかくなら、類似のケースも集めて、その上で共通項を考えたい。そう思って、過去の成績をいったん集め、いっちょ前に分析してみることにした。
すると、一応共通点は、あった。しかも、心掛け次第で、別に誰でもできることだ。ただしそれは、一見すると、様々な常識や直感に反している。
とはいえ先入観をかなぐり捨てて分析すると、それはそれで理に適っていた。今日はそんなお話である。
- 一番強いのは、やる気が燃え滾っている生徒・・・・・・ではない。
- なにをしたら点が伸びるのかが明確な状態を、こちらが用意できているか?
- 健全な同調圧力を起こせ!!
- 終わりに:次回狙って発動させたいこと。
一番強いのは、やる気が燃え滾っている生徒・・・・・・ではない。
共通点としてまず浮かんだのは、モチベーションの強さについてだ。実を言うと、全員がそこまで燃え滾った何かを持っているかと言えば、そんなことは無い。
むしろ、”やるべきこと”を、”淡々と”、”必要十分な時間を掛けて”実行した生徒たちばかりというのが本当のところなのだ。
やる気という謎のエネルギーに支配されることなく、常に同じようなテンションで演習なりなんなりを重ねられる子達。それが、結局飛躍的に点を伸ばす共通点であった。
例えば、毎日一時間勉強する生徒と、毎日四時間勉強した生徒を比べると、当然後者の方が凄く聞こえるし、色んな物語に繋がるネタとしても豊富である。
ところが、ここに日数を掛け算すると話は変わる。前者は毎日一時間を3週間継続し、後者は実は5日だけ頑張ったとするなら、勉強時間はコロッと逆転するように。
そればかりでなく、恐らく記憶の定着度や問題を解く速度を考えても、伸びは前者の勝ちだと思う。
高校の頃、現代文の先生が語った記憶論を、1つだけ覚えている。それは、「覚えるのに費やした速度と忘れる速度は一致する」というものだ。
極端な話、一年かけて学んだ知識は、一年間は忘れることなく保持できるが、一夜漬けした記憶は翌日には消えるということである。
淡々と、日数をかけて勉強に取り組んだ子。こういう子が最終的に爆発的な伸びを記録するというのは、なんと含蓄のある話ではないかと思わされる。
なにをしたら点が伸びるのかが明確な状態を、こちらが用意できているか?
ところで、そうやって淡々とやるべきことをこなしてもらうためには、こちらのサポートとして極めて大事なものが1つある。
それは、やるべきことの明示だ。さながら、コーチが選手の目標と現在地の差を客観的に見つめ、そこを埋めるための練習メニューを指示するのと似ている。
毎日、それさえすればいい。ただし、当人が【日課】として継続できる負荷で、というのがミソである。ここは講師の観察眼が強く問われてくる。
そしてこの辺の数値を決めれば、あとは割り算となる。
試験までに英単語を150個覚える必要があるとして、しかし本人は毎日5個が記憶の限界だとすれば、30日前から勉強を始めさせればいい。それだけだ。
そしてそれを効率よく実行できるメニューを伝達できるか?必要とあらば教材をまとめたものを用意できるか?
学年末は、この辺りの観察と行動に注力したいと思う。
健全な同調圧力を起こせ!!
そしてさらに設計できると強いのが、ピアプレッシャー、もとい同調圧力だ。不思議とネガティブな意味合いがするのだが、それも時と場合によると思う。
「自習にこれくらいたくさんの生徒が来てたよ」「その子たちは例外なく成績が上がったで」といった声掛け。こうやってジワジワと、健全な圧を掛けていく。
もちろん最初は、例えば差し入れのおやつを用意しておくと言ったイベント性という風に、わかりやすいインセンティブを作っておくのもいい。
その内、「自習に来るのは当たり前」という文化が醸成されると信じている。ただ、長期戦になるのは覚悟せねばならない。
実際、ある塾の塾長ブログによれば、10年近く掛けて理想の雰囲気にしたというから、恐れ入る。
健全な同調圧力をどう起こすか。難問だから面白いと解釈し、これからも色んなことを試したいと思う。
終わりに:次回狙って発動させたいこと。
ということで、学年末テストに向けて、何を狙っていくか。今考えているのは、テスト対策を超前倒しで開始することだ。
高校によっては、事前に年間行事予定表で、いつからが考査か明記しているところもある。そういうのも参考に、経験則も用いて、範囲をざっくりと仮定してしまう。
そしてそれを1ヶ月かけて完成させていくというカリキュラムを、急ぎ策定し、それに則った指導なり課題なりを考える、という具合。
言葉にすればめんどくさそうだが、こういうのはただの算数なので、ぶっちゃけ15分くらいあれば完了する。
せっかく興味深いデータと実例が採れたんだから、活用しない術はない。冬休み明けが楽しみになってきた。
―ということで、今日はこの辺で。