夢の中で何かへダイビングした中元です。どこからどこへ?
はい。いよいよこの伝記も、電子書籍あるあるだが、謝辞・出典のコーナーに入り、一気に終わりが見えてきた。
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次の本も、今この部分を書いている時点では、何も決めていない。興味があるものはあるのだが、それがそもそも電子書籍化されているのか、否か。
ということで終わりが見えた以上、一気呵成に読み切ってやるべし。では以下、本題である。
- 11月7日(月) 伝説のスピーチを掘り下げる
- 11月8日(火) 問われる理念
- 11月9日(水) 演説
- 11月10日(木) 愛憎入り混じる
- 11月11日(金) 胸の内を考える
- 11月12日(土) 繋がりゆく歴史
- 11月13日(日) 今するべきこと
11月7日(月) 伝説のスピーチを掘り下げる
話は少し戻るのだが、彼の教区の牧師で、つながりも20年以上という人が、結構炎上するようなスピーチ(説教)をしてしまったことがある。
こういうのはマスメディアの格好の標的であり、そこから繋がりを掘り下げられて、ある種オバマ氏は窮地に立たされた・・という話は前にも書いた。
人種だのテロ攻撃だのについて過激なコメントをしてしまった牧師のフォローを、さてどうすればいいか。ご存じの通り、彼はそれを、チャンスに変えた。
この伝記の最終章は、そのスピーチを掘り下げる的な感じっぽい。それはそれで、結構楽しみである。
11月8日(火) 問われる理念
スピーチを掘り下げる章かと思ったら、どうやら若干異なるようで、話がアメリカという国ができた地点にまで遡り始めた。いよいよ総集、ということか。
不勉強がバレて恥ずかしいのだが、僕自身アメリカ史はかなり疎く、アメリカという国ができてからの経済の流れをうっすら終える程度の知識しかない。
つまり、アメリカという国がどういう理念を持って、英国からの独立を宣言したのか、そういうスピリットの部分は、よく知らないというのが実情なのである。
建国当時の話は今住んでる日本についても知らないので何とも言えないのだが、この本を読み終わった暁には、この歴史の方も学ぶべきかなと、少し意を新たにしている。
せっかくの機会だしな。この流れには、乗るしかない。
11月9日(水) 演説
凄く自然に、オバマ氏のスピーチ原稿に話が移っていて驚いた。だが一番読みたかったモノではあるので、結構ページを目で追う速度は上がった気がする。
彼が何度も訴えたのは、「アメリカの結束」であった。人種・出自・州を問わず、アメリカという国家として結束する。
親戚全員をひっくるめれば、あらゆる人種がいると彼は語っていた。だが同時に、その出自こそ、彼が大統領選挙戦を戦う理由では”ない”とも伝えていた。
アメリカを一つにする。奴隷時代に創られてしまった闇を晴らす。そういう強い決意をスピーチから感じ取れた。
どうでもいいが、彼は牧師による問題発言を「焼夷弾」と形容しており、「がっかり」「既に断固抗議した」といった言い回しに留めていた。
強い怒りもこんな風にいなす心の柔軟さ、本当に見習いたいと思う。
11月10日(木) 愛憎入り混じる
とはいえ、Wright氏の国を批判するコメントに対し、オバマ氏は愛憎入り混じる気分だったらしい。なにせ、20年以上の付き合いなのだから。
「団結が必要なこの時に、国を分断するようなコメントをしたことは由々しき問題だ」と、オバマ氏はコメントした。
しかし同時に、「ただそれは、切り取られた一部分に過ぎないことも承知している」とも表明。
実際これは、長い説教の一部分を切り取って、TVやYouTubeで繰り返し流されたことにより、炎上したというのが発端なのだ。
前後のコンテクストを無視すれば、パンチラインも暴言に変わる。暴言になれば、暇な人の格好の攻撃材料となる。マスメディアの功罪の一部分だと言える。
人間には、集団にとって不利益な言動を取る人を、無意識に攻撃しがちというシャーデンフロイデなるバイアスが存在する。だから僕も、自動的に発動はする。
だから発動するたび、「あっ、シャーデンフロイデに陥ってるかも」と気付けるよう、自問を意識づけている。ちゃんと前後も知っておくことを心掛けるように。
そしてWright氏の教会で、オバマ氏は良くも悪くも黒人コミュニティーを学んだという。エネルギッシュで、踊りを踊り、下品なジョークを飛ばしあい、笑いあう。
意外と、社会全体からは粗野とされる人が形成する場所も楽しいものだ。優雅な人が集まる会合は、どうにも息苦しい側面があるのと似ている。
今日読んだ一節は、色々と考えさせられる場面が多かったように思う。
11月11日(金) 胸の内を考える
住処の安心は保証されず、職業も制限され、あらゆる場所で差別を受ける。教育も不平等どころか、過去も今も、黒人の教育水準は低いままだ。
そんな中で育った一人がWright氏であり、そんな苛烈な過去がある以上、彼が抱える激しい怒りも、ある程度は察することができる。
実際、彼が白人コミュニティーに対し激しい怒りを表明していたのを聞くのは、オバマ氏にとってこれが初めての話でも何でもないのだという。
しかし、このコメントを完全に受け流し、アメリカ中に広まるのを黙認していては、まとまる必要がある国が、黒人と白人という二つに分断されてしまう。
激しいコメントにも感情論で返さず、心中を思いやり、それでも自分の目指す方向をブレさせない反応を取る。究極的に人格者だと思えてきた。
僕はそのレベルにいつか到達できるのだろうか。不惑まであと9年だが、なんか全然間に合う気がしない。
11月12日(土) 繋がりゆく歴史
アメリカは人種のるつぼ、自由の国だと言われるが、それは裏を返せば、そこかしこに【分断】の意識があるという話は目から鱗だった。
黒人と白人、男性と女性。同じ白人でも、移民なのか、否か。それぞれに線引きが存在し、時にそれは差別・区別へと繋がっていく。
差別された側が受けた怒り・憎しみは、世代を超えて、薄れながらも継承されている。当然、歳が上であればあるほど、それは濃いままだ。Wright氏のように。
オバマ氏がその炎上コメントで一番引っ掛かったのは、「アメリカは変われない」という価値観を強めるような内容だったから、だという。
先人たちが戦ってきた歴史を無にするような物言い。それは容認しきれなかったようである。しかしここから、スピーチが一気に収束する。
よりよい教育のため、経済のため、そしてアメリカを一つにするため、長きにわたる負の歴史・文化・価値観は終わりにしなければならない!
そんな熱いメッセージが飛び込んできた。おそらく明日、読了する。色々とワクワクするが、それは取っておくことにする。
11月13日(日) 今するべきこと
「私は、Wright氏のコメントにやり返してもいい。別陣営からの挑発に乗ってもいい。しかしそうすると、攻撃的なコメントで言及した施策をしなければならない。
今はそのときではない。今は、誇り高き国旗の下で、アメリカを一つにするべき時だ。等しい教育を、医療を、住居を。今はそのためのときだ。」
スピーチの最後は、「This time」といった語句が繰り返し登場した。するべきことと、するべきでないことを隔てる際、何度も彼はこの言葉を使っていた。
これ以上、差別による不当な扱いで、不幸な人を増やさない。200年以上受け継がれてきた闇の歴史を終わらせる。その気迫がひしひしと伝わってきた。
そしてこの伝記は幕を閉じるのであった―。
全部で62ぺージ程と、今までより前進している感があったし、ただ知っているだけという歴史的出来事の裏のドラマを学べたのは、意義があった。
今度はアメリカの歴史を一回予習してから、また別の大統領の伝記に触れるのもいいかもしれない。レーガンとかクリントンのそれに、興味あるしな。
あ、そうそう。次の洋書は、ちょっと迷ったが、これに決めた。
タイトルは直球の、「Genkō Kassenki: Battle Record of the Mongol Invasions」である。つまり元寇の話ですな。あのゲームの影響ですよ、ええ。
あまりにも血なまぐさい歴史があることは間違いないだけに、ちょっと覚悟を決めて読み進めたいと思う。
ということで、今週はこの辺で。