勉強好きな生徒が集まれば、これほど楽なことは無い。つくづくそう思う。それが本当に面白くて、また社会に貢献できる度合いが高いかどうかはさておきとして。
僕のいる校舎にも何人か、筋金入りの勉強嫌いがいる。こういう子達で能力が高い子はまだしも、成績として見栄えがするヤツはいないのが特徴だと感じている。
大人が用意した理由付け全てを頭から否定し、絶対に説得されない、やらないものはやらないと、頑としている感じ。お手上げなんだろうなと思うことさえある。
そしてそういう子達を、「いいねぇ、わっはは」と笑える鷹揚な人はたまにいるが、白状すれば僕は、言葉を丁寧に変えても「クソガキ」と思う部分がちょっとある。
しかし、そういう生徒の言動や態度に苛立ちを覚えたときは、彼ら彼女らが得意とするフィールドに足を突っ込んでると、努めて冷静になろうと決めている。
大人の揚げ足を取るプロに正面から挑んでも、転ばされるだけ。だから僕は、直球が通じないと見るや、変化球で挑む。
そのためにはどう構えたらいいか。もしかしたらサイコに聞こえるかもしれない考え方を、今日は改めてまとめておきたい。
勉強嫌いは秀才に生まれ変わらない。
勉強嫌いな子の【試し行動】に出くわした際、もし苛立ちを覚えたら、僕が必ずやることがある。それは深呼吸。いわゆるアンガーマネジメント。
そしてその上で、その子に対する期待値を下げる。感情的に思い切り下げるということはせず、あくまで妥当なラインで、引き下げていくのだ。
例えば、「うん、この時点でこんだけ勉強嫌いで努力もせんってことは、次のテストは50点台コースだな。じゃあ、それを60点にするのが俺の仕事だな」という風に。
間違っても、80点とか90点、あるいは県内有数の進学校なんて期待しない。まずはそこからである。当事者比でどれくらい上げるか。冷静になるのがまずは最初。
30点の生徒が40点になれば、それでいいじゃないか。解けない問題が100個あったら、それが90個になったら、もういいじゃないか。
まずはそこを追う。青天井な期待、迷惑な理想像を、生徒には絶対に押し付けない。ある程度以上に行き過ぎると、自分を責めすぎて心を折ってしまうので。
入塾時に厳格なテストを課すといった類の塾でない限り、本気で勉強が嫌いで、本気でそれに抵抗し、30点が50点になればハッピーという子は、平気で集まってくる。
ここは諦めとか講師側の敗北とかいろんなコメントがあるだろうが、僕はあんまり気に病みたくないため、こういう線を一本引かせていただく次第である。
変えるのは本人ではない。
正直、人はマジで変わらない。熱血教師の一撃や一喝で変わるほど、人の心はヤワじゃないのだ。
だから、もっとコスパが良くて、そして巡り巡ってもっと効果がある施策を打ちたい。それはピアプレッシャーだ。日本語で言えば、同調圧力となる。
塾は勉強をするところであり、勉強をしない・したくないヤツに用は無い。ここをもっとシビアに突き詰めて、校舎の雰囲気や掲示物などで、バンバン出してしまうのだ。
すると、その生徒がファッション反抗期なのか、ガチで嫌なのか、その辺が浮き彫りになる。前者ならその内丸くなり、後者はその内いなくなる。
僕の校舎に居る生徒の中で、勉強を真面目に頑張る子を大事にする。頑張る子ほど、実は目立たず、かつ、実はか弱い存在なのだ。
もちろん差別や贔屓は問題になるが、やらずに押し通そうとする甘ちゃんに対処するには、こちらにもある種の悪知恵や、体力的な要素が必要になるという話なのだろう。
誰に対しベクトルを向けて、どこから先を切り捨てるか。シビアな話に聞こえるが、株のトレーダーがやってるメンタルと同じと思えば、不思議とできそうな気もしてくる。
では今日はこの辺で。