精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

みんなって、普通、どんくらい”悩んで”んの?

最近、正直完全に予想していなかったご家庭から、退塾の話を受け取った。元々会員制サブスクリプションサービスのような形態なので、生徒の減少はダメージが大きい。

 

僕は電話口でどうだったかは知らないが、わかり易く動揺してしまった。帰ってからもそれが喉に刺さった魚の骨のように残り、ゲームをしていてもどこか虚しかった。

魚骨イラスト|無料イラスト・フリー素材なら「イラストAC」

 

こういうとき、僕は”いつも”考える。自分は気持ちの切り替えが遅いなぁ、と。そして、サッと気持ちが切り替えられる人は羨ましいな、幸せだろうな、と。

 

―だが、自分の価値観というのは、意外とアテにならないということは、最近読了した【Unlearn】を読んで以来、なるべく意識するように心掛けている。

僕は他人より悩む時間が多く、気持ちの切り替えも偏差値50未満だと勝手に思い込んでいた。だがよく考えると、僕はそもそも論、一般的な悩む時間の相場を知らない

 

僕が今自分にあてがっている基準は、全く客観性が無いことに、ふと気が付いたのだ。ならばそれを調べてみることで、心の安定に繋がるかもしれない。

 

今日はそんなお話である。

 

 

データは語る。

 

ネガティブな感情が持続する時間の相場。そんなものは存在するのか少し眉唾物だったが、世界は広いし、同じことを考える人はいるものだ。

 

実際、日本人を対象としたデータではないものの、かなり参考になるアンケート結果を発見した。引用の引用になってしまうが、紹介する。

karapaia.com

 

愛するものとの別れや喪失感など、悲しみは人の心にたえ難い苦痛や悲しみをもたらす。悪いことに、この悲しみという感情は、恥、驚き、苛立ち、退屈など、他の感情よりも240倍も長く続くそうだ。

 

 ベルギーにあるルーヴェン大学のフィリップ・ヴァーダイン教授とサスキア・ラブリセン教授は、感情の持続時間とその影響を計測するため、学生233名に感情的になった最近の出来事を思い出してもらい、その持続時間を報告させた。


27種類の感情のうち、悲しみは最も持続


 その結果、27種類の感情の内、羞恥、驚き、恐怖、嫌悪、退屈、感動、苛立ち、安心といった感情がすぐに消え去ってしまうのに対して、悲しみは最も持続する感情であることが判明した。

 

 悲しみが収まるまでには平均して120時間(5日間)もかかるのに対して、嫌悪や羞恥といった感情は30分程度で消えてしまう。

 

 また憎しみは60時間、喜びは35時間ほど持続する。退屈すると時間がやたらと長く感じることはあるが、どうやらこれは比較的早く収まる類いの感情であるようだ。

 

これ自体、すごく示唆に富む話だと思う。よくゲームのラスボスは憎しみを原動力に巨大な陰謀を張り巡らせたりするが、持続時間と強度としては確かに納得である。

 

しかもそこに悲しみが加われば、一生消えないほど強い憎悪の気持ちになるように思う。絶望・憎しみ・悲しみは大体リンクする

 

主人公と敵対しているという意味では悪のはずなのに、どこか同情するキャラクターがたまにいるが、その裏には憎しみだけじゃなく悲しみも確かに在ることに気付いた

 

僕は別に物語を書くのが趣味ではないが、エンタメを主とする人にも参考になるデータであるように感じられる。だが本題ではないので、この辺で止める。

 

全体の傾向として一番気になるのは、正直一部の強い感情以外は、思ったより全然持続しないというものである。

 

特に嫌悪・羞恥・恐怖・屈辱は、30分チョイで消えるようだ。「旅の恥は掻き捨て」という言葉があるが、これのことを言ってるのだと思うと、すごく納得する。

 

―さて。となると、僕が無意識に信じていた「気持ちの切り替えは超速でなければ駄目だ!」という論理のアホさが客観的に浮き彫りとなる

 

退塾の話で自分が感じた気持ちを先の表からピックアップするなら、驚きと絶望がマッチするように思う。単純な足し算をするなら、24時間30分は続く悪感情となる。

 

となれば、「くそっ!なんで俺は10分もクヨクヨしちゃうんだ!」という自責は、口悪く言えば世間を知らなさすぎるバカのロジックになってしまう。

 

それはAmazonで注文した商品が3時間後に届かないことにイライラするのと同じだ。こんなのは病気であり、友達を失くすヤツの最たる特徴だと言える。

 

ちなみに現時点で退塾話を聞いてから22時間ほど経過しているのだが、正直もう、何も感じていない。「あー、辞めちゃうのね」というくらいの捉え方なのだ。

 

このことを考えると、むしろ僕は相場より悩む時間が少ないタイプなのではないか?という、思ってもみなかった楽観論さえ、自然と生じてくる。

 

そしてこの表自体は、色々と納得するヒントが多い。例えば僕はよく、主にアンチコメとか悲惨な携帯漫画広告等を見て嫌悪感を覚えるが、その持続時間は確かに短い

 

逆に言うと、それがもし2時間も3時間も続くとしたら、僕の潜在意識に沈む別の強い感情と紐づいているのではないか、と仮説を立てることができる

 

単純に足し算をしていいのか知らないが、例えば怒りと驚きとストレスが全て組み合わされば、7時間はイヤな気持ちが持続するのが普通ということになる。

 

となればやはり、イヤな感情が消えるまでの30分なり数時間なりを、如何に別のことで気を紛らわせながら過ごすかを考える方が健全なのだろう。

 

或いは、その感情を良いように活用する方法を講じるのも一手だ。そう思うと、また一つネガティブに対する考え方のハックができたと思える。

 

今回のアンラーンを通じて、いわゆる世間一般の人たちが悩む時間の相場を知ったことは、不思議とすごく安心に繋がった。

 

この視点を今まで持てなかったのが不思議だが、それこそがアンラーンを時折意識的に行うべき理由なのだと、強く納得している。

 

ふと気になったこと:【悲しみ】とはなにか?

 

先のグラフを見て、一つ引っ掛かったことがある。それは、他のどの感情より、悲しみは抜きん出て持続するという、その特性だ。平均値が、なんと丸5日らしい。

 

これを踏まえると、ある興味深い問いが生まれる。僕にとってなかなか消えないネガティブな思考は、何かしらの言語化できていない悲しみとリンクしているのではないか。

 

そしてそのまま続けざまに気が付いた。僕は悲しみを表現する言葉をほっとんど知らない。悲しみという感情に浸った時間も、そういえば無さそうなのだ。

 

―となれば、次にしっかりと学びを深めるべきテーマが定まった。「悲しみ」だ。僕はもっと、「悲しみ」の解像度を高めたい。今はそう思っている。

 

ただしこの記事にそれを詰め込むには、既に文字数が膨らみ過ぎている。だから一旦区切ることにしよう。

 

ということで今日はこの辺で。

 

 

にほんブログ村 教育ブログへ
にほんブログ村 にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ
にほんブログ村 ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村