Googleplayに不思議な電子書籍を見つけた。奇天烈過ぎて興味があるレオンハルト・オイラーという数学者の伝記なのだが、値段が約50円なのだ。
そしてページ数を見てみると、なんと総計534ページ。極端に古い伝記でもなく、これはすごくアヤシイが・・・まぁいいかと、買ってみた。
すると案の定、トータルで7ページとかそんなだった。まぁ、値段が値段なので「詐欺られた!!」とは思わないが、これではさすがに物足りない。
色々見ていると、関連する書籍にいくつか、似たようなシリーズがあることに気が付いた。ふむ。1週間くらい、ちょっとアトランダムに読むのも良いだろう。
今週はそんな、伝記オムニバスな読書ブログを頑張って書いてみる。
- 6月17日(月) 神童には見初める者が必要説。
- 6月18日(火) この世が数学で見える男。
- 6月19日(水) インドの魔術師。
- 6月20日(木) 浄土に呼び戻されたインドの魔術師。
- 6月21日(金) インド=数学のイメージの始まり。
- 6月22日(土) ゼロからイチを始めた男。
- 6月23日(日) 次の本は何に決めた?
6月17日(月) 神童には見初める者が必要説。
まずはオイラーの伝記から読み始めた。ガウスと並ぶ数学界の巨人、その人生とは如何に。
元々彼は数学者一族ではなく、職人の家系の生まれだという。父親は聖職者であり、そこだけ切り取れば数学とは無縁だ。
ホームスクーリングで勉学に励む幼少期のオイラーの才能を見初めたのは、当時名声を得ていたベルヌーイ家の人(ヨハン・ベルヌーイ)だという。
ベルヌーイ家は、まさに数学者一家というべき系譜で、数多の数学者を輩出した名家である。
父親自体は同じ聖職者への道を望んでいたそうだが、このベルヌーイ家の後押しもあり、オイラーは大学で、その数学力を活かす好機を得たそうだ。
テレンス・タオの逸話にもあるが、幼少期に天才に出会うことは、人生の指針を決定し得る大事なファクターなのかもしれない。
ふとそう思った。
6月18日(火) この世が数学で見える男。
オイラーは、人類史上最も多くの論文を書き残したと言われる。並の数学者が一生かかって書く量のそれを、毎年のように発表していたというから驚きだ。
それくらい書けるということはつまり、それくらいたくさんのネタがあったということで、その時代に存在した数学・物理学にはほぼ全て精通していたと言われるほどだ。
両眼を失明した際も、驚異的な暗算力を持つオイラーにとっては、「集中できる」状態に過ぎないわけである。ポジティブが過ぎて、もはや狂気だ。
その後衰弱しながらも死の間際まで数学を続けたオイラーは、やがて静かに息を引き取り、後世に数多の数学を遺して旅立っていったのだった。
6月19日(水) インドの魔術師。
次に選んだのは、シュリニヴァーサ・ラマヌジャンの短い伝記だ。夭逝した奇才の人生は、どんなものだったのか。
彼は生涯を通して貧困の中で生きていたが、幼少期から数学に対し抜群の才能と好奇心を抱き続けていたという。
内気な子供だったというが、算数の小ネタ(雑学)の披露を通じて友人と関わるといった面もあったという。
その後奨学金を得て大学へ進学をするも、数学以外をまるで勉強しなかったため、試験に落第。それを繰り返したため、学生を続けることができなくなってしまったのだ。
そこから彼の、たった一人での数学研究が始まる。それがゆくゆくは数奇な運命を引き寄せることになるとも知らぬままに・・。
ところで、この孤独が天才の味方をするという構図。アンドリュー・ワイルズも似たことをしていたなと、不思議な繋がりをそこに感じた。
6月20日(木) 浄土に呼び戻されたインドの魔術師。
新たに会計の仕事を得たラマヌジャンは、労働の負担が軽かったことや、雇い主が数学への理解を持っていた幸運が重なり、その研究に没頭することができたそうだ。
そして膨大な研究をまとめた彼は、イギリスの数学者、ハーディーにそれを送ることで、その価値を確かめようとした。(最初は狂人のそれと受け取られたらしい)
その後、そこに秘められた発見の価値の大きさを見初められ、彼はイギリスに招聘されると、共同研究により数多の数学を発見するに至ったのだ。
―だが、その生涯は短かった。イギリスの風土になじみ切れず、精神的にも参り、彼は心身に病気を患って、インドへの帰還を余儀なくされた。
そして32歳にして、病のためこの世を去った。あまりにも天才だったため、早めに神様に呼び戻されたのではないかと、そんな風に思えるくらい激動の生涯だった。
6月21日(金) インド=数学のイメージの始まり。
そして最後に選んだ数学者は、ブラーマグプタだ。聞き馴染みは無いかもしれないが、古代インド数学の始祖と言っていい人物だ。
大体西暦7~8世紀にインドで活躍した人物で、天文学・数学において革新的・画期的な発見と予測を行ったという。
例えば0という概念を導入し、整数に0を掛けたら0になると定めたのもこの人だという。
だがこの人物には、少しこれまでの天才とは違うところがある。それは、比較的遅咲きなことだ。
記録に残る有名な著書は30歳を過ぎてのものであり、また傑作とされるそれは、還暦を過ぎてからのものだ。
数学においては早熟の天才が好まれるが、それに属さない天才もいる。当たり前だが忘れがちにもなる、そんな観点を改めて思い出せた。
6月22日(土) ゼロからイチを始めた男。
ブラーマグプタの偉業は、「初」に纏わるものがとても多い。正負の数の概念、及びそれの会計への利用、そして特定の数列の総和の公式の発見などなど。
また、特殊な形状をした方程式についても研究した痕跡があり、純粋な整数の性質を突き詰めて、彼は学び続けたらしい。
そんな彼の業績以外の部分は、歴史の闇に溶けて、ほとんど失われてしまったらしい。そこはとても惜しく感じる。
インドの魔術師ラマヌジャンを擁する国には、もう一人の魔術師がいた。そんなことを思わされるほど、前例のない考えを生み出せる凄さを実感している。
6月23日(日) 次の本は何に決めた?
次の洋書はこれに決めた。値段が値段だけに少しだけ日和ったが、こちらは放題の方が有名だろう。「チーズはどこに消えた?」である。
中身を僕は全く知らない。知ったきっかけも、中学の頃にたまたま目にしたニュース番組の特集で、その年に一番売れたビジネス書の1つに挙げられていたというだけだ。
そろそろ実用書をまた読みたいと思っていた時にふと思い出して、原題を調べてみるとヒットしたので、選んでみたという次第である。
これはどんな本なのか。未知だからこそ、楽しみだなと、強く思う。
では今週はこの辺で。