「嫌われる勇気」の中でいくつか、印象に残っている言葉がある。そしてそのうちの一つを強く実感する出来事が、こないだ起きた。
それは、こんな言葉だ。
人生が困難なのではない。
あなたが人生を困難にしているのだ。
人生は、きわめてシンプルである。
これだけ聞けばなかなか腑に落ちないどころか、反発さえ抱く言葉だ。実際「嫌われる勇気」に出てくる青年も、これには強く憤っているくらいである。
しかし、マジでこの言葉は正鵠を得ている。特に思考が近視眼的になっている時には、折に触れて思い出したいメッセージだと言える。
では、僕にそう思わせる出来事として一体何があったのか、以下ご紹介してみよう。
難しく考えても答えが出なかった頃の話をしよう。
僕は睡眠に難があると、20代中盤の頃から確信している。実際、未だに8~9時間寝ないと起きられず、何か問題があるのではと、今でもすごく心配になるほどだ。
とはいえ、心当たりは高校生くらいの頃からあった。まだまだインターネットが普及しきる前だったが、僕は貪るように、眠りについて勉強していた覚えがある。
19歳の頃、イビキをかいていることを指摘され、睡眠時無呼吸症候群の検査をしてみたこともある。それくらい、眠りには神経を尖らせている。(結果は軽度のそれだった)
単純に昼寝のし過ぎが原因なのだろうが、夜に寝られない日が続いて不安になり、ドリエルを買って飲んでいた時期もある。(効いたかどうかは覚えてない)
そして20代後半からは、稼ぎを得たことから積極的に睡眠への投資を始めて、定期的にアメリカからサプリを購入しては毎晩服用するという生活を、それ以来続けている。
マグネシウム、メラトニン、アシュワガンダ。最近加えたのは、太田胃散とヨイネムリα。イヌリンやロディオラを試していた時期もある。
光時計を買って、目覚めにも神経を尖らせた。なんなら、Fitbitを購入して以来、毎晩自分の睡眠スコアを計測するという実験も、去年の夏から行っている。
数値が悪い日が続き、いよいよ酒のせいかと思って飲酒をやめる期間もあったが、一定以上のスコアになることがどうしても無く、頭を抱えた。
―行き詰ってからは、先天的な何かを疑った。ナルコレプシー、起立性調節障害、そういった怖い病気についても、あらゆる記事を並べ、読み込んだ記憶がある。
色々な情報を頭に叩き込んで、対照実験を繰り返し、自分の問題の輪郭を浮き彫りにし、その上で決定打を決めることを夢みながら、何年も何年も、色々とやった。
・・・そんなとき、本当にしょうもない仮説が、ふと閃いた。眠って眠って起きられない。それって、単にさ・・・。
疲れすぎなんじゃね?
なんと肩が抜ける話ではないか。だが、そういう観点もあることを、完全に忘れていた。だから今度はここから、問いを進めることに決めた。
まず僕は、診断を貰ったわけではないが、HSP気質だと思っている。あらゆる刺激を必要以上に吸収し疲れやすい代わりに、人より深く考えるのが得意だとされる。
実際調べてみて少し笑ってしまったのだが、HSPの人は、そうでない人に比べ、一般的に睡眠時間が長いそうである。
そう、僕は眠りに難があるのではなく、どちらかと言えば、疲労を溜め込み過ぎて、それを癒すために、単に長い睡眠を欲しているというただそれだけなのだ。
であれば、起きている最中からなるべく疲労を癒す方法を講じたり、そもそも受け取る刺激を減らす術を身に着けたりと、新しい解決方法の案が次々と閃いてきた。
なるほど、この世はシンプルだ。本当にそう感じた。そんな貴重だけどアホみたいな、対自分との問答であった。
では、今日はこの辺で。