精神年齢9歳講師のブログ

日々を自由研究の如く生きたい。

【小ネタ】『記憶に残る先生』という言葉は、実は皮肉だと思う。

いきなりだが、特に講師や教師を仕事とする方に、尋ねたい質問がある。

 

『生徒の記憶に残る先生』に、あなたはなりたいだろうか。

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―ちなみに僕は、割とハッキリ『イヤ』である。では何で講師という仕事をしてるんだと言われそうだが、それは追々。

 

さて。

 

そう思う理由はざっくり2つあるのだが、導入が頭でっかちになるので、以下続きに書いておく。

 

 

 

僕が覚えている『先生と授業』。

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まず、皆様の記憶にハッキリ残っている『先生』か『授業』を思い出してほしい。

 

例えば僕なら、『中国の歴代王朝をアルプス一万尺に合わせて歌い、記憶した』中1社会の授業を、未だに感動と共に覚えている

 

また、某衛星予備校での授業は、これまた『うわ、分かるし解ける!』という感動と共に、色濃く覚えている。それは今の仕事に活用している程だ。

 

・・・・・・。

 

うん、ハッキリ言おう。

 

授業は1000回以上受けてきたはずだし、100人以上の先生に会ってきたハズなのに、『良い意味で』記憶しているケースは、これらしか無い。

 

後はもう、ぶっちゃけ嫌な記憶だらけだ。

 

『おねえさん』と書くところを『おねいさん』と書いてしまい、何が違うのかも教えてもらえず1時間残らされた小学校1年の国語。

 

やたらに名指しで僕を立たせまくった小6の担任。

 

出席番号と日にちで数名を当て、問題を黒板に解かせ、〇か×しか言わなかった高1数学の発展クラス。

 

とんでもなく服装に厳しい生活指導の先生。

 

英語の本文の解説そっちのけで、授業の75%を雑談に毎度充ててた高3の英語。

 

―こんな風に、僕の記憶に残る授業や先生の95%以上は、『すげぇ!』ではなく『微妙・・』という感想が故に覚えているのだ。

 

逆に言えば、『生徒の記憶』に残るのは、何かしらのマズい授業をした場合なのでは?という危機感を抱いてしまう。

 

そしてコレ、同級生や生徒に、何度か聞いてみたことがある。

 

すると、『なんか分かる』という同意の感想が結構多かったのだ。(もちろん例外もあったが)

 

こういうのを受けて、僕は生徒の記憶に強く残っちゃうのは、なんかイヤだなと感じている。

 

そしてトドメは、もう1つの理由である。

 

"教育者は、孤独な存在"

今のところ4~5回は読んでいるこの本に、ズドンと突き刺さる言葉が書いてある。

 

まずはそれを紹介する前に、それが出てくる前提として、『教育の目標は【自立】である』という文言を覚えておいてほしい。

 

では、僕が衝撃を受けたフレーズを書いてみる。

 

「先生のおかげで卒業できました」とか「先生のおかげで合格できました」と言わせる教育者は、ほんとうの意味での教育には失敗しています。

 

―うーむ、今読んでも、身が引き締まる思いがする・・・。

 

本によれば、「先生のおかげ」というフレーズは、賞罰教育や、生徒が先生に依存している結果、という論理が潜んでいる。

 

裏を返せば「これは私の力じゃないです」というメタが含まれているため、なるほど『自立』とは程遠い。

 

僕自身、自分の能力に全く自信がないまま、ネジくれた日々をずっと過ごしてきたので分かるが・・

 

『自立』無きまま生きるには、社会はあまりにも厳しいところである。

 

そういう考えを知り、また自分の経験則としても思うところがあるので、やはり生徒の心に過度に残ってしまうのは本当にイヤだ、というか怖いと思ってしまう。

 

自転車に初めて乗るときの手助けみたく、存在感は本当にギリギリの濃さに留め、乗れるようになるかならないかでそっと姿を消す。

 

それくらいの存在感で居られるよう、超難問だがこの仕事を続ける所存である。

 

終わりに。

 

ということで別に同意を求めるつもりで書いたわけではないが・・。皆様が誰かに何かを伝える仕事をしているなら、その理由は何だろうか。

 

もし、『生徒の記憶に残る!』とか、『大多数に感謝される!』のがそうであるなら、もしかしたらいずれ心が辛くなるかもしれない。

 

何故そうなるのかについては、さっきも紹介したのを含む以下のシリーズに余すことなく書いてある。

 

今が苦しい人もそうじゃない人も、色んな人たちと関わる立場にあるのなら、一読しておくことを強く推す。

 

―ということでただの愚痴ではあったものの・・。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。